ゲーム嫌いも知らないと損する
ゲーミフィケーション入門
あなたの生活を変える「Gamification」現状まとめ
株式会社ライブドア
マークアップエンジニア/ディレクター 浜 俊太朗
2011/9/16
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「Gamification(ゲーミフィケーション)」という言葉をご存じでしょうか? 最近よく話題になっているので、見掛けたことのある方も多いことでしょう。本稿では、今後のWeb業界のキーワードとなり得るゲーミフィケーションの解説と現状、そして未来予想をお届けします。
今年の初めごろまでは一部の人が注目しているだけでしたが、ここ最近ではセミナーや勉強会が開催されたり書籍も出版されるなど、盛り上がりを見せています。
「ゲーミフィケーション」とは、何なのか
ゲーミフィケーションは海外で生まれた概念で、その本質を説明すると「ユーザーエンゲージメントを高めるために、ユーザーに楽しんでもらうための方法」といえます。
「ユーザーエンゲージメント」とは、ユーザーからの愛着心や信頼のことです。つまりゲーミフィケーションとは、Webサイトでいうなら、「ユーザーに愛してもらうWebサイトを作るために、ユーザーに楽しんでもらう方法」となります。
ゲーミフィケーションのための典型的な手法が、ゲーム業界のノウハウを応用することです。なぜならば、ゲーム業界には、ユーザーから愛されるためのノウハウが多く存在すると考えられているからです。
ゲームは、多くの場合“娯楽”であり、暮らしていくだけなら必要性の薄いものです。冷蔵庫や洗濯機などの必需品は多少使いづらくても我慢して使わざるを得ませんが、娯楽であるゲームは気に入ってもらえなければ、すぐに使われなくなってしまいます。多くのゲームでは、この問題を解決するために、ユーザーを「ハマらせ」、そのゲームを「好きになってもらう」ための“仕掛け”を用意しているのです。
ゲーミフィケーションは、特に人間の心理面に注目することが多いようです。例えば、人が「ハマる」状態になるための条件や、継続的に「利用したい」と思わせる手段などです。
コラム 「Gamification」は「ゲーム化」か? |
Gamificationを「ゲーム化」としている記事を見かけますが、これには若干の違和感を感じます。結果的に行う施策としては間違っていないケースもありますが、「ゲーム化」という単語を用いてしまうと、思考の幅を狭めたり、手段と目的が混同してしまう恐れがあるのではないでしょうか。 ゲーミフィケーションは「ユーザーから愛されるために、ユーザーを楽しませる」ことが目的であり、ゲームの要素を持ち込むことは、そのための手段です。それに、「ゲーム化」というと、まるでゲームそのものを作るかのように思えてしまいます。 |
Webでよく使われるゲーミフィケーションの3要素
ゲーミフィケーションを採用しているWeb上のサービスには、以下の要素が存在することがあります。
以下でそれぞれを解説していきます。
■ 【1】課題
ゲームでは「クエスト」「ミッション」などと表現されることが多い、挑戦するべき課題のことです。課題に挑戦し、クリアすることでユーザーは達成感を得ます。
例えばfoursquareでは、チェックインの後にランキングが表示され、後どれくらいでライバルに追い付けるかが把握できます。この機能により、ランクを上げる、または下がらないようにという目標が生まれ、モチベーションの向上につながります。
foursquareのiPhoneアプリの画面 |
課題を考える際に重要な点は、同じ難易度ばかり続いてしまうとユーザーがやがて飽きてしまうということです。ゲームが進行するに連れて徐々に難しくなっていくように、慣れてきたユーザーを飽きさせない工夫が必要になるでしょう。
また、難易度が高い課題が序盤から登場しても、ユーザーはうんざりしてしまい、放棄してしまいます。
ユーザーの熟練度と課題の難易度のバランスを取ることは、ユーザーがハマるかどうかの重要なポイントです。このバランスがうまく取れていれば、つまりユーザーの熟練度に合わせた難易度の課題を提供し続けられれば、ユーザーはハマる可能性が高くなります。
課題のバランスは、ゲーミフィケーションにおいて重要な要素といえるでしょう。
■ 【2】報酬
課題をクリアすることで得られる“ご褒美”です。現在ではバッジと呼ばれるアイコン画像を獲得できる形式が典型ですが、経験値がたまりレベルアップするようなものもあります。
報酬もバランスが重要です。課題の難易度に合わせた報酬でなければ、ユーザーを満足させることはできないからです。
難しい課題をクリアした報酬は、より貴重なものであるべきです。以下の画像は、ロケタッチの1周年記念日にのみ獲得できた報酬です。
ロケタッチのiPhoneアプリの画面 |
バッジやレベルアップは、突き詰めればただのデータであり、獲得したからといって直接的なメリットがあるわけではありません。単にデータを贈っただけでは、ユーザーを喜ばせることはできないでしょう。そのため、課題と報酬、そして次に解説する交流の要素をうまく組み合わせ、ユーザーを楽しませる必要があります。
あるいは、そうでなければ、実店舗のクーポンやポイントなどを発行して、実生活でメリットになる展開が必要でしょう。
■ 【3】交流
ゲーミフィケーションにおいて非常に重要な要素が、この「交流」です。交流というと、チャットやBBSのようなテキストコミュニケーションを想像するかもしれませんが、それだけではありません。
例えば、対戦要素も1つの交流の形です。多くの対戦型ゲームにおいて、究極のライバルはコンピュータではなく人間です。コンピュータに勝つよりも人間のライバルに勝つ方が盛り上がることは、対戦型ゲームにハマッた経験のある人ならば理解できることと思います。
Web上のサービスでは直接的な対戦を演出することは難しいかもしれませんが、ランキングでライバルとの差を可視化したり、いわゆる「いいね!」などのソーシャル共有ボタンの実装による「いいね数争い」などが近いでしょうか。
「自慢」できる場も重要です。「報酬」を獲得したら、それを見せびらかしたくなるのは自然な感情でしょう。ただし、自分から見せびらかしては嫌味になりがちなので、「消極的な自慢」をできる場が必要になります。
例えば、アバター要素を盛り込んだネットゲーム/オンラインゲームでは、レアな装備に身を固めたキャラクターを自慢したいなら、街を歩けばいいのです。それだけで注目され(ているような気分になれ)ます。
Web上のサービスでこれを行うには、ユーザープロフィールページにレベルや獲得した報酬を載せることが典型でしょうか。
テキストによるコミュニケーションも、もちろん重要です。ネットゲームが、特に運営年数がたっていくに連れてチャットツール化していくことはよくあることからも、直接的なコミュニケーションは人にとって必要なものであるといえます。
また、ユーザー同士の交流に限らず、ユーザーと開発者の交流も重要です。人気を博しているネットゲームでは、運営サイドとユーザーサイドの距離が近いことがよくあります。ゲーム内や公式BBSなどにGM(ゲームマスター:運営スタッフのこと)が登場しコミュニケーションを取ったり、運営方針についてのアンケートを行い、実際にそれをゲームに反映したりします。
さらに、オフラインイベントを開催し、ユーザーを招待してお祭り騒ぎをすることもあります。
これらは、どれも片手間では行えず、リソースが必要になります。GMが存在するネットゲームは、ユーザーとコミュニケーションを取ることを重要視していて、そのためのリソースを確保していると考えてよいでしょう。これは、Web上のサービスではなかなか見られないことではないでしょうか。
次ページでは、数あるゲーミフィケーションの事例の中から10個厳選して紹介していきます。国内でもゲーミフィケーションを採用しているWeb上のサービスが登場しています。
コラム GM的手法の例 |
例えばライブドアでは、Twitterなどを利用したアクティブ・サポートを行っています。これはTwitter検索などを行い、困っていそうな人を見つけたら、こちらから声を掛けて問題を解決するという手法です。 中には、なっちゃん(@livedoorblog)のように、キャラが立っている担当もいて、これはネットゲームでいうところのGM的手法といえるでしょう。 |
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INDEX | ||
あなたの生活を変える「Gamification」現状まとめ ゲーム嫌いも知らないと損するゲーミフィケーション入門 |
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Page1 「ゲーミフィケーション」とは、何なのか コラム 「Gamification」は「ゲーム化」か? Webでよく使われるゲーミフィケーションの3要素 コラム GM的手法の例 |
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Page2 今すぐ試せるゲーミフィケーション事例、10選 位置ゲー系「ロケタッチ」 位置ゲー系「foursquare」 位置ゲー系「Gowalla」 Tumblr+BBS「ANKER」 ニュース評価「楽天ソーシャルニュース」 フィットネス系「計るだけダイエット」 フィットネス系「Arookoo」 ラーニング系「ココネ」 ラーニング系「Codecademy」 オンラインストレージ「Dropbox」 |
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