AIR製スマホゲームをMobage対応にできるSDKとは
ディー・エヌ・エー CTO室 ソフトウェアエンジニア 藤吾郎氏 |
ディー・エヌ・エーの藤吾郎氏は、同社で開発中の「Mobage AIR SDK」を紹介した。
ディー・エヌ・エーでは、外部開発者がMobageでゲームを公開できるための場として「Mobage Open Platform」を提供している。スマートフォン向けの開発環境として、現時点ではJavaScript用の「ngCore」と、ネイティブの機能を使うための「Mobage Native SDK」(言語はJavaとObjective-C)を用意しているが、間もなくここに加わることになるのが「Mobage AIR SDK」だ。
「Mobage Open Platform」の概要(藤氏の講演資料より) |
Mobage AIR SDKでは、モバゲーの機能をAIRアプリから利用できる開発環境であり、これを使うことで、AIRで作ったゲームをMobageで公開できるようになる。
Flash Builder 4.6で開発したMobage APIのActionScriptコード例 |
Mobage Open Platformは、仮想通貨やアイテム購入、ソーシャルグラフへのアクセス、ユーザーの拒否リストの管理、禁止ワードのチェック、ゲームないミニメッセージの管理などといった機能を利用できるAPIを用意している。Mobage AIR SDKでは、これらのAPIを利用することで、AIRゲームを手軽にMobageに対応できるという。
Mobage AIR SDKで作ったAndroidアプリのエミュレータによる課金デモ |
Mobage AIR SDKは現在正規リリースに向けて準備を進めている最中であり、近日公開予定との話だ。
現場が教えるAIRのスマホネイティブアプリ開発のコツ
グリー取締役執行役員 CTO 開発本部長 藤本真樹氏 |
グリーでは、スマートフォン向けのソーシャルアプリ開発のプラットフォーム「GREE Platform for Smartphone」として新たに、サーバ側にはNode.jsを、端末側にAIRを採用した(プレスリリース)。
同社の藤本真樹氏によれば、AIR採用に向けた大きなターニングポイントになったのが、AIR 3でANEが追加されたことだという。ANEの登場によって実現できる機能の幅が大きく広がったのだ。
「GREE Platform for Smartphone」の概要(藤本氏の講演資料より) |
また、採用を決定した理由として、藤本氏は「HTML5はFlashの3倍重かった! 描画パフォーマンスの比較 | ClockMaker Blog」の資料を引用してFlashのパフォーマンスが高いことを挙げた。その他、Flash開発者が多く人材やノウハウが生かせること、開発ツールやオーサリングツールの完成度では他の追随を許さないことなどの理由から、採用を決定したとのことだ。
AIRを使ってスマートフォン向けアプリを開発するうえでの注意点としては、メモリサイズが限られていることを挙げた。特にAndroidでは、メモリを消費し過ぎると自動的にアプリを終了させられたりするため、常にどの程度のメモリを使用しているのかを気に掛ける必要があるという。対策としては、ローカルのデータベースをうまく使うことでメモリを節約する方法などを紹介した。
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パッケージサイズについても、AIRアプリは容量が大きくなりがちなので、場合によってはiOSの3Gダウンロード制限である20Mbytesを超えてしまうことがあるので注意が必要とのこと。Captive Runtimeを利用する場合には特に気を付けなければならない。
また、Androidなどは端末の種類が多いため、どの機能が使えるのかをコード内で常に確認する必要が生じる。Flash.system.Capabilitiesである程度は調べられるが、十分でないケースもあるため、端末ごとのサポート状況一覧をプロパティファイルにまとめて確認できるようにしておくというTipsも紹介された。
その他、シームレスな通信のために便利な機能として「WebSocket」にも言及があった。ActionScriptでWebSocketを使うためには、GitHubで公開されている「websocket-as」というクライアントライブラリを勧めていた。
「websocket-as」のコード例(藤本氏の講演資料より) |
最後に藤本氏は「グリーでもFlashの資産を気軽に利用できるようなSDKのプラグインなどをどんどん作っていきます。皆でいろいろ挑戦して、日本に止まらず、世界で評価されるアプリが出てきてくれればと思います」と締めくくった。
なお、サーバサイドにおけるNode.jsへの取り組みについては、Developer Summit 2012のセッションレポート「ソーシャルアプリのインフラはNode.jsが主役になるか」で紹介しているので、本稿と併せて参考にしていただきたい。
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INDEX | ||
「ADC MEETUP 04 Social Gaming」レポート ソーシャルゲームのUI開発はAdobe AIR/Flashが主役になるか |
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Page1 ゲームに注力するFlashプラットフォーム ソーシャルゲーム市場とAdobe AIR/Flashの最新動向 |
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Page2 ソーシャルの力で楽しさの増幅にチャレンジ Flashのみによるスマホ向けゲーム制作の3事例 |
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Page3 AIR製スマホゲームをMobage対応にできるSDKとは 現場が教えるAIRのスマホネイティブアプリ開発のコツ |
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Page4 Stage3DでコンソールクオリティのWebコンテンツを実現 世界的ヒットゲーム「Angry Birds」でもFlashを採用 |
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