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4月25日、ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)主催による「Mobage オープンプラットフォーム Forum−国内外、成長の方程式−」が開催された。本稿では、同フォーラムの内容について詳細にレポートする。
- 巨大プラットフォームとして成長した「Mobage」の概況
- 海外展開の秘訣は日本での成功モデル+各国のトレンド
- “ソーシャル”において「ビッグデータ」とどう向き合うか
- 米中韓に着々と拡大するグローバルプラットフォーム
- 米国での成功の鍵となる4つの要素とは
- 今後のメインターゲットは「スマホのブラウザ」とHTML5
巨大プラットフォームとして成長した「Mobage」の概況
DeNA代表取締役社長 守安功氏 |
オープニングでは、DeNA代表取締役社長の守安功氏が2011年度の実績として、モバコインの消費額が第四半期だけで約500億円、年間では2000億円の突破を見込んでいることを発表。特に、サードパーティのソーシャルゲームプロバイダ(以下、プロバイダ)製アプリによる消費は4〜5倍の伸びを見せており、Mobageの成長がサードパーティの貢献によるところが大きいことを強調した。
2012年度には、さらなる成長を目指してグローバル展開に注力していくとのこと。基本になるのは、クロスボーダー/クロスデバイス戦略で、複数のリージョンごとにプラットフォームを提供しつつ、それぞれの差異をプラットフォームとゲームエンジンで吸収する。これによって開発者は複数の国や端末向けに、一括でゲームの開発ができる。
Mobageプラットフォームのクロスボーダー/クロスデバイス戦略 |
4カ国でのプラットフォームの展開を実現 |
プラットフォームとしては、すでに日本のほかにグローバル、中国、韓国向けの展開を実現しており、事業拠点・開発拠点も世界中に拡大しているとのこと。さらに守安氏は、米国のGoogle Play(旧、Android Market)で「Rage of Bahamut」(カードバトル)が全アプリ売上1位を獲得した事例を挙げて「日本で培ったノウハウがグローバルで通用することを確信しました」と語り、参加者に向けて海外展開への挑戦を呼び掛けた。
Mobageプラットフォームの概況 |
日本はすでに成熟期に入っており、今後も新しいタイトルを続々と投入していく一方で、中国と韓国は導入期として、ヒットタイトルの創出やアライアンス提携の拡大を進めていく方針。米国は、いまがまさに成長期であり、「いま出て行かなければいつ行くのかという状況」(守安氏)で、最優先で新しいタイトルを投入していくとのことだった。
■ ディズニーとソーシャルゲーム
ウォルト・ディズニー・ジャパン ゼネラルマネージャー/バイスプレシデント ジャスティン・スカルポーネ氏 |
続いて、2012年3月にDeNAとの提携を発表したウォルト・ディズニー・ジャパンのゼネラルマネージャー/バイスプレシデント ジャスティン・スカルポーネ氏が壇上に上がり、同社のこれまでの取り組みと、今後のグローバル展開について紹介した。
ディズニー・ジャパンは12年間にわたって携帯電話市場でコンテンツやブランド端末を提供してきた実績を持つ。ただし、これまでの主なターゲットはフィーチャーフォンであり、日本国内の市場を中心とした展開であった。「今回、DeNAとのパートナーシップによって、初めてグローバル向けのコンテンツ配信ができるようになりました」とスカルポーネ氏は語る。
すでに同社では、スマートフォン向けに「ディズニー・パーティー」「ディズニー・ファンタジー・クエスト」といったコンテンツの提供を始めている。そして、今夏には傘下にある「マーベル」のキャラクターを使ったカードバトル型ゲームの投入を予定している。マーベルはスパイダーマンやX-Menなどといったキャラクターを有する非常に強力なブランドである。今後も、ディスニーやマーベルのブランドを活用しながら日本ならびにグローバルでの展開を進めていくとのことだ。
「日本市場のことは日本の皆さんもよくご存じなはずです。ここには、豊富な実績、世界に誇れる実績があります。私たちは、スマートフォンとDeNAのプラットフォームという2つの要素によってグローバルな戦略が取れるようになりました。ディズニーは、これからもDeNAと一緒にグローバル戦略を推し進めていきます」(スカルポーネ氏)
海外展開の秘訣は日本での成功モデル+各国のトレンド
続いて行われたパネルディスカッション「成功の方程式」では、DeNA執行役員 柴田大介氏(モデレータ)、gloops代表取締役社長 川方慎介氏、KLab取締役 森田英克氏、DeNA取締役 小林賢治氏の4名が、この1年間で強化したポイントや成功の秘訣、日本のノウハウの生かし方などを語り合った。
柴田大介氏(左上)、川方慎介氏(右上)、森田英克氏(左下)、小林賢治氏(右下) |
■ リアルタイム同期とチームとゲームバランス
まず、小林氏はMobageにおけるファーストパーティとしてのDeNAの取り組みとして、「ロワイヤル」型や、「リアルタイム・チームバトル」「ソーシャル・レイドボス・バトル」(多数のユーザーで同期的に1つのボスと戦うバトル)などといった、より進化したソーシャル性の採用、SWF変換エンジン「ExGame」をフル活用した演出でテキスト中心型進行からの脱却などを進めてきたことを紹介した。
その結果として制作ボリュームが大きくなったが、従来の「企画+エンジニア」という体制から、「企画+エンジニア+クリエイティブ+分析」というチーム体制に見直すことによって、開発・運営は円滑に進められているという。
また、ソーシャル性を維持するための“ゲームバランス”には特に気を配っていると語る。「最初の設計がしっかりできていなければ、後からバランスをチューニングすることも難しくなります。そこで核になる部分は初期の段階からコアメンバが一体となって設計し、リリース後にもチューニングを施しながらソーシャルアクティビティを維持に努めています」(小林氏)とのこと。
森田氏はKLabにおけるここ1年の強化ポイントとして、グローバル拠点の整備や人材の確保への注力、チーム開発ではチームバトル系ゲームへの本格的なシフトや、IP(Intellectual Property)タイトル(漫画や映画など版権があるもの)の強化などを挙げた。成功の秘訣としては、ソーシャル性を生かす独自システムの考案や、世界観やシステムの作り込みの強化、IPタイトルでは原作の深い理解を徹底した点などを紹介。また、ゲームバランスの最適化はすべてのゲームに共通する必須ポイントであることを語った。
gloopsの場合は、この1年の間に「個人に依存しない組織体制の構築」「大規模なWebシステムの安定稼働」「コーポレートブランディングの強化」という3つのポイントに特に力を入れてきたと川方氏は説明した。またゲームシステムにおいては、より同期性の高いオンラインゲームの要素をあえて取り入れることで、これまでのソーシャルゲームにはなかった新しいユーザー体験を実現できていることを挙げた。
■ 日本での成功モデルをどう生かすか
「日本市場の経験で得たノウハウを海外でどう生かしていくべきか」というお題に対しては、森田氏が「海外ゲーム市場のトレンドを把握し、そこにカード要素やチーム要素などといった日本でヒットした要素をうまくミックスしていくことが重要です」と指摘している。
海外スマートフォンゲームのトレンドを把握する |
また小林氏は、「イベントやキャンペーンを重視して展開してきた日本でのやり方は海外でも十分に通用します。過度にブランチアウトするのではなく、日本での成功パターンがいち早く展開できる素地を整えることが大切です」と語った。ただし、「ユーザーを含めて市場を育てるつもりで、覚悟を持って進出しなければいけない。単発ではなく、エコシステムとして勝負しましょう」とも付け加えている。
グローバル展開を考慮した開発プロセスを構築。KLabの場合は国際分業で現地カルチャーの融合を図っている |
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INDEX | ||
MobageオープンプラットフォームForumまとめレポート 日本のソーシャルゲームは新たなモデルでも海外展開できるのか |
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Page1 巨大プラットフォームとして成長した「Mobage」の概況 海外展開の秘訣は日本での成功モデル+各国のトレンド |
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Page2 “ソーシャル”において「ビッグデータ」とどう向き合うか 米中韓に着々と拡大するグローバルプラットフォーム |
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Page3 米国での成功の鍵となる4つの要素とは 今後のメインターゲットは「スマホのブラウザ」とHTML5 「ガチャ」に頼らない新たな成功モデルへの挑戦も |
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