解説

Intel Xeon搭載サーバの工夫を検証する
――「Express5800/120Me」に見る最新ワークグループ・サーバのハードウェア――

2. 工夫が見られる冷却ファンでの排熱の仕組み

デジタルアドバンテージ
2002/08/28

解説タイトル


 一般的にコンピュータのパーツの中で、モーターなど可動機構を持つ部品は、半導体部品よりも故障しやすいといわれている。冷却ファンやハードディスクの故障率も、実際のところ、ほかの非可動部品より高いようだ。そのため、可用性が求められるIAサーバでは、なるべくシステムを停止させることなく故障したパーツを速やかに交換して、正常な状態に復帰させるための仕組みが必要となる。

 本機の冷却ファンに注目すると、前のページで述べたとおり、バック・パネルに装備されたファンはケースを開けなくても交換可能である。またケース内部のファンも以下のような工夫が施されている。

ケース内部のファンも容易に交換可能
これはケース左側の側板に設けられたトビラを開けたところ。青色の部品3点が冷却ファンで、ワンタッチの操作で着脱可能だ。バック・パネルと同様、たとえケース内部でも、冷却ファンが故障したらすぐに交換できる構造は評価できる。

 また、冷却ファンの交換だけではなく、冷却効率についても注意が払われており、ダクト・カバーによって発熱の多い部品を中心に風が流れるようになっている。ダクト・カバーがあるため、メンテナンス性は悪くなるような気もするが、このカバーは簡単に取り外しが行えるので、それほど障害にはならないだろう。

ダクト・カバーで高められている冷却能力
透明なダクト・カバーがプロセッサ/メモリ部分と、拡張スロット部分にそれぞれかぶせられており、その両脇に冷却ファンが設置されていることが分かる。赤い矢印線は、風が流れる道筋をおおまかに表したものだ。ダクト・カバーは、立体的に成型されており、風の流れを速めて冷却効果を高める工夫が施されている。

 上の写真で、ドライブ・ベイと拡張スロット部分の間には2基の冷却ファンが並んでいるが、通常は両方とも稼働している。もし片方が故障して停止しても、もう一方のファンが送風し続けることで、拡張スロット部分の冷却が完全に止まるのを防いでいる。一方、ドライブ・ベイとプロセッサの間にある冷却ファンが止まった場合は、バック・パネル側の冷却ファン2基によって(完全ではないものの)ケース外部への熱の排出が継続される。またバック・パネル側の冷却ファンは、1基が止まってももう1基によって熱の排出が続けられるようになっている。このように、1基のファンが止まると風が止んでしまい、特定パーツの冷却が完全に滞るという最悪の事態を防ぐように、冷却ファンの数や設置場所などが設計されていることが分かる。

ハードディスク・ベイからプロセッサへと風を通す仕組み
これはハードディスク・ベイの裏側にあるバックプレーンの部分。すぐ後ろには、冷却ファンが装着され、さらにまた後ろにはマザーボードが位置する。
  ハードディスク・ベイのバックプレーン
 ハードディスクの並びに合わせて、いくつかの通風孔が空いている。に装着される冷却ファンと合わせて、フロント・パネルからハードディスクの間を通って空気を吸い込む仕組みとなっている。
  冷却ファンの電源コネクタ
 の間に冷却ファンが挿入され、の向きに風を作り出す。
  プロセッサのヒートシンク
 に装着された冷却ファンから出る風は、このヒートシンクに当たってその熱を奪いつつ本体後部に向かって流れていく。

 このようにフロント・パネルから本体後部に向かって風を通すことで、ハードディスクからマザーボード上のデバイス、拡張カードといった主要な熱源を冷却している。なお電源ブロックには専用のファン2基が装着されているが、これは簡単に交換できそうになかった(電源ブロックごと取り外して交換する必要があるようだ)。

 本機のように冷却ファンが充実しているマシンの場合、気になるのはその稼働音だ。特にペデスタル型サーバはオフィスの一画に配置されることも多いので、稼働音が大きすぎると仕事に支障をきたすことも考えられる。本機の場合、電源オンの直後には冷却ファンがフル稼働して、そのままでは耐えられないほどの稼働音が発生するが、2〜3秒ほどですぐに音は小さくなる。OS稼働時でも音は小さかった。さすがに仕事机のすぐ脇に本機を置くと、稼働音が若干うるさく感じられたが、数mほど机から離せば、ほかの雑音に紛れて分からなくなった。よほど狭いオフィスでもないかぎり、稼働音がうるさく感じられることはないものと思われる。

 次のページでは、サーバの中核部分といえるマザーボードに注目してみる。

  関連リンク 
Express5800/120Meの製品情報ページ
 
 
 
 INDEX
  Intel Xeon搭載サーバの工夫を検証する
    1.やや大きめだがメンテナンスのしやすいケース
  2.工夫が見られる冷却ファンでの排熱の仕組み
    3.高密度実装で標準規格対応のマザーボード
    4.Intel Xeonサーバか、Pentium III-Sサーバか?
 
目次ページへ  「System Insiderの解説」


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