特集 3. 飛行機とホテルの賢い選択法 |
飛行機の席はどこがいい?
忙しいときには、飛行機の中でも仕事をしなければならないことがある。しかし、ビジネス・クラスならいざしらず、エコノミー・クラスでPCを使うときには多少注意が必要だ。まず、A4フルサイズのノートPCでは、前の席の背もたれに液晶ディスプレイ部分が当たってしまい、ほとんど使えない状態に近い。膝の上に置いて見下ろすような形なら使えなくもないという具合だ。B5サイズのミニノートPCならば、何とか使えなくもないが、それでもキーボードが打ちやすい場所にノートPCを配置することは難しい。
Targus製の電源アダプタ「Universal Auto/Air Notebook Power Adapter」 |
航空機やクルマから電源を取るためのアダプタ。東芝、コンパック、IBMの各ノートPCに対応したアダプタが付属する。 |
そこで飛行機の席を選ぶことが重要になる。ノートPCが使いやすい席は、エコノミー・クラスの一番前や非常口の後ろ側である。事前に席が選べるのなら、「バルクヘッドあるいはスクリーンの前の席」と言って、一番前や途中の壁の前(非常口の隣)の席を予約するとよい。しかもこの場所は、ほかよりも多少広く、足が伸ばせる。ただ、非常口の前の席は、事前に指定することができないので、空港に早めにいって指定を行うと確保できる(この席は、飛行機からの緊急脱出時に係員に協力しなければならず、英語が分からないと座らせてもらえないことがあるので注意)。
米国には西海岸へ8時間程度かかり、離着陸や途中の食事や軽食の時間を引いても、4〜5時間程度は作業ができる(時差ボケ対策のために寝るというのもよい選択なのだが)。このため、長時間運用の可能なノートPCの方が有利だ。増設バッテリなどを用意しておいた方がいいかもしれない。また、ボーイング777のような機体では、専用のアダプタを使うことでPCへの電力供給ができる。ただし、航空会社によっても異なるが、すべての席で利用できるとは限らない。これは航空会社に確認するしかない。また、専用アダプタは、Targus(ターガス)などが扱っており、日本国内でも入手は可能だ(Targusの「電源アダプタの紹介ページ」)。自動車用のカーバッテリ・アダプタにもなるので、入手しておくとクルマでPCを使うときにも利用できる。対応機種が限られるので、Webサイトなどで対応機種を確認しておこう。
ホテルを選ぶならば
会社によっては出張時のホテルの選択に自由がないところもあるが、もしある程度自由に選べるのならば、部屋で「高速インターネット接続」が可能なところを選ぼう。これらのサービスでは、部屋にイーサネットのポートがあり、ノートPCをイーサネット経由で接続することで、高速なインターネット接続が行える。多くは、10ドル/日程度で利用でき、割安な1週間レート(40ドル/週程度)が用意されているところもあるし、場合によってはまったく無料というホテルもある。
高速インターネット接続用ボックス |
Marriott系のホテルで使われているSTSN社の高速インターネット用の接続ボックス。イーサネットのほか、USBでも接続が可能だ。これに接続できるようにイーサネット・ケーブルを忘れずに持っていきたい。 |
高速インターネット接続に関する案内 |
Marriott系ホテルの部屋にあった高速インターネット接続に関する案内。9ドル95セントで24時間利用することができる。頻繁にインターネットに接続して、電子メールの確認が必要ならば、むしろこうしたサービスを利用した方が安く済む。 |
最近では、大手のホテル・チェーンは、インターネットから予約できるように世界各地のホテル情報が閲覧できる。インターネットの接続サービスがあるようなホテルならば、部屋の条件として「High Speed Internet」などという表記やマークが記載されているので、これを手掛りにホテルを探すとよいだろう。
ホテルの案内ページ |
ホテルによっては、部屋から高速インターネット接続ができるところもある。これはニューヨークにあるMarriottホテルの案内ページだが、赤線で囲んだように「High-speed Internet Access」と書かれており、高速インターネット接続が行えることが分かる。 |
ただ、世界中に多数のホテルを持つチェーンでは、こうした情報がいいかげんなこともあり、実際に行ってみたら利用できなかったということもある。筆者もいくつかのホテル・チェーンに泊まってみたが、情報の確実性が高かったのは、マリオット系(Marriott HotelやCourtYard by Marriottなど)のみ(Marriottのホームページ)。日本にも進出している古参大手ホテル・チェーンに至っては、日本の予約センターで高速インターネット接続があることを確認したにもかかわらず、現地のホテルでは「そういう部屋はない」と言われるなど、いいがけんなところもある。
こうした高速回線なら、画像データの転送もラクだし、料金も1日単位なのであまり時間を気にせずにインターネットが利用できる。必要なのは、イーサーネット・カード(10/100BASE)とLANケーブルだけだ。最近では、イーサネットが内蔵されたノートPCが増えているが、アナログ・モデムの場合と同様、事前に動作を確認しておこう。
なお、こうしたホテルの施設は、部屋や建物によって使えたり、使えなかったりするため、チェック・イン時に必ず確認すること(特に喫煙可の部屋には、こうしたサービスがないことが多い)。そして、最初にホテルの部屋に入ったときにポートと動作をすぐに確認しよう。場合によっては接続ができず、部屋の変更を行わなければならないこともある。荷物を広げたあとでは、移動が面倒になるからだ。
次ページでは、現地のホテルでインターネットに接続する方法と、接続のノウハウ、トラブルシューティングについて解説する。
関連リンク | |
電源アダプタの紹介ページ | |
ホテル情報の検索ページ |
INDEX | ||
[特集]海外出張で役立つインターネット接続術 | ||
1.出張前の機材準備 | ||
2.日本でのインターネット接続の準備 | ||
3.飛行機とホテルの賢い選択法 | ||
4. ホテルでインターネット接続 | ||
5. 電子メールを上手に使う | ||
6. インターネット接続の緊急手段 | ||
「System Insiderの特集」 |
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