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第8回 デザイナーだけでなく企業ユーザーも取り込むAdobe

須賀正明
ベンチャーキャピタリスト
2007/11/6


 9月にシカゴで行われた「Adobe MAX」が、いよいよ満を持して「Adobe MAX Japan 2007」として日本にやって来ました。「Adobe MAX」で登場した新しいテクノロジーや製品があらためて日本のユーザーにお披露目された以外にも、日本独自のコンテンツやセッションが登場しました。

 「製品化、リリースの予定などは未定、製品として今後登場するかどうかも分かりません」という前置きがあったものの、1日目の夜に行われたスニークピーク(各製品の開発途中の新機能を披露)では、新たなテクノロジーや機能が発表され、会場を大いに沸かせていました。そんなスニークピークや技術セッションの中からいくつか紹介します。

日本で初めて動いた? 無料オンライン版Photoshop

 Adobeのビデオ編集ツールであるPremierは簡易版がすでにWebサービス化され、YoutubeやPhotobacketなどでも利用されています(参照:連載第4回「AIRとGearsの連携で注目のオフラインWebアプリ集」の「オフラインで使いたいFlashアプリ集」)が、AdobeのWebサービス化の流れは今後もほかの製品に広がっていきそうです。

 基調講演に登壇したKevin Lynch氏が「すべてのアプリケーションが即座にオンライン化、ホステッドサービスとして提供されるわけではない。ビジネスモデルが確立できる場合には積極的にサービス化していく予定だ」と述べているとおり、画像編集ソフトPhotoshopも“Photoshop Express”という名前でサービス化がもくろまれている製品の1つです(参照:「Photoshopだけじゃない、アドビが全製品のSaaS化に言及」)。

Photoshop Expressのデモの様子(撮影:筆者、Flexベースで作られたインターフェイスからオンラインで画像の編集が可能になっていた)
“Photoshop Express”のデモの様子(撮影:筆者、Flexベースで作られたインターフェイスからオンラインで画像の編集が可能になっていた)

 “Photoshop Express”は、製品の存在はCEOのBruce Chizenなどの口から語られていましたが、実際に動いているアプリケーションが国内で登場するのは、おそらく初めてではないでしょうか。基本的な機能だけを抽出してサービス化する予定だといわれている“Photoshop Express”のデモでは、画像の回転、赤目補正、サチュレーションの調整などの機能がお披露目されたほか、非破壊編集や色の置き換えなどの高度な編集機能のデモがありました。

誰でも簡単にビデオプレゼン − Visual Communicator


 スニークピークの中で最も盛り上がっていたのは、“Visual Communicator”のデモだったと思います。昨年の10月に買収したSerious Magic社の製品で、北米では5月にリリースされていますが、日本語版のリリースはなく、日本市場での登場は未定であるため、このスニークピークで日本では初めて登場したといってもいいかもしれません。

FlexベースのWebアプリケーションShare(ベータ)は1Gbyteのストレージ容量だけでなく、簡単に誰とでもドキュメントが共有できる機能が無料で使えます
Visual Communicatorの使用例(Adobeのサイトより引用)

 “Visual Communicator”は誰でも簡単にビデオプレゼンテーションが作れる製品です。テレプロンプトや画像、ビデオの挿入、トランジションが簡単に操作でき、ニュースキャスターのようなプレゼンテーションを簡単に作れます。制作したビデオはDVDやHDに保存できるだけでなく、FLVファイルで保存しストリーミングすることも可能です。会場の盛り上がりを受けて日本語版の発売も検討されるかもしれません。

PDFに動画やスクリプトを埋め込む!?

 FlashやFlexに負けず、PDFも進化を遂げているようです。“PDF Packaging”という名前で紹介されていたデモでは、AdobeとMacromediaが合併したときにうわさされていたPDFとFlashの融合(参照:「PDF&Flashで強化されるJ2EEリッチクライアント」)を垣間見ることができるデモでした。

PDFの中にFlashアプリケーションを埋め込んだデモ(撮影:筆者、Amazon APIを使ったFlashがPDFドキュメントの中で動作している)
PDFの中にFlashアプリケーションを埋め込んだデモ(撮影:筆者、Amazon APIを使ったFlashがPDFドキュメントの中で動作している)

 PDFの中にFlashのコンテンツが埋め込むことができ、インタラクティブなPDFドキュメントが作成できるだけでなく、複数のPDFを”パッケージ”として1つのファイルにまとめることができます。FLVファイルも埋め込むことができるので、PDFドキュメントの中にビデオを埋め込むデモがありました。さらに、JavaScriptやActionScriptがPDFの中で使えるようになる開発も進んでいることが明らかにされました。

 
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 INDEX
第8回 デザイナーだけでなく企業ユーザーも取り込むAdobe

Page1
日本で初めて動いた? 無料オンライン版Photoshop
誰でも簡単にビデオプレゼン − Visual Communicator
PDFに動画やスクリプトを埋め込む!?

  Page2
Fireworks CS4版が早くも発表?
Flex、PDF、Ajaxの縁の下の力持ち − ColdFusion 8
画期的な技術になる予感 − Seam Carving
  Page3
日本でもAIR/Flex/Flashアプリケーションが着々と
Flexが日本でも着実に定着してきている

 




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