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第8回 デザイナーだけでなく企業ユーザーも取り込むAdobe

須賀正明
ベンチャーキャピタリスト
2007/11/6

Fireworks CS4版が早くも発表？

　現在リリースされているバージョンがCS3であるFireworks（Webグラフィックス作成用ツール、参照「デスクトッププラットフォームを制するのはApolloかWPF/Eか」）で作ったグラフィックから簡単にプレビューを作ることができる機能がデモされました。CS4とは明言されていませんでしたが、製品のユーザーインターフェイスにしっくりと埋め込まれていたことを考えると、次のFireworksで登場してくる機能だと思われます。

　通常通りFireworksで画面を作り、MXML（Flex）でプレビューやAIRアプリケーションとしてプレビューを選ぶだけでそれぞれのモックアップが作成できます。これらのモックアップは実際の機能は実装されていませんが、プロトタイプやモックアップを作っていく開発プロセスの中では非常に便利な機能になるのではないでしょうか。デザイナーがRIA開発プロセスに簡単に入れる機能や製品をリリースしていこうというAdobeの今後の戦略がここにも伺えます。

次期Fireworksで作られた画像をAIRでプレビューしたところ（撮影：筆者、AIRのアプリケーションとしてルック＆フィールを確認するモックアップがFireworksで簡単に作ることができる）

　「CS3がリリースされたばかりだというのに……」という声が聞こえてきそうですが、次期バージョンの製品への取り組みが粛々と続けられていることをアピールしていたデモでした。

Flex、PDF、Ajaxの縁の下の力持ち − ColdFusion 8

　FlashやAIRなどのユーザーインターフェイス関連テクノロジーが注目を浴びる中、バックエンドのテクノロジーも着実に進化を遂げていました。“ColdFusion”はそんなRIAの縁の下の力持ち的な存在の製品です。今回でバージョンアップも重ねること8回となりました（参照：「Adobe ColdFusion 8、リッチインターネットアプリ開発のハブとして」）。

　Ajaxアプリケーションを簡単に作れるよう進化したほかに、PDFやFlexとの親和性がこれまで以上に高くなりました。特に、PDF関連の機能は充実しており、複数のPDFをまとめたり特定のページを削除するだけでなく、暗号化したりパスワードで保護できるようになっています。サーバサイドの印刷もサポートされ、PDFファイルのバッチプリントなどがプログラム的にコントロールできるようになりました。

ColdFusion 8のデモサイト

画期的な技術になる予感 − Seam Carving

　個人的にはこのテクノロジーが最もインパクトのあるデモでした。“Seam Carving”は画像のリサイズにかかわるテクノロジーですが、通常のリサイズとは異なり、不必要な部分を優先的に間引いて画像の縮小を行うものです。イメージの中にある重要な対象物の形をほとんど崩さずに画面のリサイズを行うことができます。

Flashを使ったSeam Carvingのテスト実装例で横に小さくなる動きを3枚の画像でキャプチャ

　PC用の画像でも携帯電話や非PCデバイス上で、縦横比にとらわれずに対象をはっきりと見せることのできる画期的な技術になるのではと予感させます。言葉ではなかなか伝わりにくいので、こちらのビデオや実際にデモなどを使ってみると、そのすごさが体感できると思います。

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INDEX
第8回 デザイナーだけでなく企業ユーザーも取り込むAdobe
	Page1 日本で初めて動いた？ 無料オンライン版Photoshop 誰でも簡単にビデオプレゼン − Visual Communicator PDFに動画やスクリプトを埋め込む!?
	Page2 Fireworks CS4版が早くも発表？ Flex、PDF、Ajaxの縁の下の力持ち − ColdFusion 8 画期的な技術になる予感 − Seam Carving
	Page3 日本でもAIR／Flex／Flashアプリケーションが着々と Flexが日本でも着実に定着してきている

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