連載:Webオーサリングツールを使ってみよう(1)

有償版3大Webオーサリングツールの特徴とは?


セカンドファクトリー 新谷剛史

2007/3/1 

 なぜ「テキストエディタ」が「アプリケーション開発環境」ではないのかについては、デザインビューや効率的でないといった面でご理解していただけただろうか。 続いて、Webオーサリングツールについて、もう少し詳しく確認していこう。

 「ホームページ・ビルダー」が向いている方向性を考える

  Dreamweaver 8やExpression Webの紹介に入る前に、まずIBMの「ホームページ・ビルダー」についても触れておきたい。 「ホームページ・ビルダー」は、Webサイトの爆発的な普及が始まった頃から存在するアプリケーションである。

 執筆時点での最新版は2006年12月に発売された「ホームページ・ビルダー11」で、CSSによるレイアウトはもちろん、音声ブラウザ対応や文字の大きさをボタンで変える「虫めがねボタン」が簡単に可能であるなど、Dreamweaver 8やExpression Webにはない特徴がある。自動生成させたソースはW3Cのバリデータを通過できるような標準的ソースでもある。

画面1 広いユーザーをターゲットにしているホームページ・ビルダー

 Dreamweaver 8やExpression Webなどと比較した場合、ホームページ・ビルダーはより広いユーザー、つまりプロとしてHTMLやCSSを制作しているユーザー以外の方の使用を視野に入れている。バンドルされている素材集やロゴ作成ソフトからも分かるのだが、それ以外にも生成されるHTMLの文書型に対する制約や「どこでも配置モード」などのモードの存在は、ターゲットユーザの違いが表れているといっていいだろう。

画面2 バンドルソフトの呼び出しメニュー

 今回のホームページ・ビルダーの進化は、アクセシビリティ対応が間もなく当たり前のものとなる、というようなことを予言しているようにも感じられる。今後も注目していきたい。


 それでは、Dreamweaver 8とExpression Webについて見ていくこととしよう。これから数回にわたって、これらのアプリケーションで何ができるのかを紹介していきたい。

 「Dreamweaver 8」とは?

  Webサイト開発環境としてすでに一定の地位を確立しているDreamweaver 8の特徴は、ユーザーの希望を取り入れて進化を繰り返した使い勝手にあると考えている。

 「FlashやFireworksなど、姉妹製品には動画や画像を扱うアプリケーションまで用意されており、すぐにでもこれらをまとめたStudio環境を手に入れることができる」ことや、「機能を拡張してくれる多彩なエクステンションの存在」「テンプレート機能やチェックイン/チェックアウト機能を中心に、一般ユーザー向けアプリケーションのContributeとも連携が可能」などは、長い時間をかけて進化してきたDreamweaverならではの注目ポイントだ。

 開発者環境の充実度、ファイルの納品先となる一般ユーザーのデータ更新ソリューションまで用意されている安心感は、他社の競合アプリケーションにはないメリットだ。販売から数年が経過し、次のバージョンのうわさも出始めていることからも分かるとおり、若干古さも感じるが、いまもって最高の開発環境の1つであるといえるだろう。

 「Expression Web」とは?

 今回取り上げるもう1つのアプリケーションであるExpression Webは、Webサイト開発環境として2007年2月16日に発売が開始されたばかりの新製品である。

 近い将来、Expression BlendなどのWPFの開発環境などとセットになったExpression Studioの発売も予定されているが、Expression Webが先行して単体で販売された。

 執筆時点ではStudioが未発売のため、統合開発環境としての完成度はもちろん未知数ではある。

 Expression WebをDreamweaver 8単体と比較した場合の特徴は、コーディング中にリアルタイムでエラーチェックができるなど「エラーの少ないサイト構築」ができる点や、ローカル環境で難しいセットアップが不要な「開発用サーバ」の存在などである。

 Microsoftにはもともと、FrontPageというWebページ作成ソフトが存在しており、また、Visual Studioというアプリケーション開発の統合環境も存在するので、完成度や今後の展開が期待できるソリューションである。

 では、Dreamweaver 8とExpression Webについて詳しく見ていくことにしよう。

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 INDEX
連載:Webオーサリングツールがわかる(1) 
  Page1
インタラクティブメディアのビッグバン│「専用の開発ツールが使われる理由」を再確認する
Page2
「ホームページ・ビルダー」が向いている方向性を考える│「Dreamweaver 8」とは?│「Expression Web」とは?
  Page3
今回の課題:「CSSによるレイアウト」│Dreamweaver 8でCSSによるレイアウトを行う例│Dreamweaver 8でプロパティやクラス・IDを追加するには
  Page4
Expression WebでCSSによるレイアウトを行う例│CSSの再現性はどちらが優れているの?

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