[事例研究]
株式会社神戸製鋼所 都市環境・エンジニアリングカンパニー

2.ADとの連携、使い勝手のよいUIからExchange 2000を選択

デジタルアドバンテージ
2001/10/10

 Windows 2000ベースのネットワーク環境導入は決定されたものの、そのうえで稼働するグループウェアは、Exchange 2000にすんなり決まったわけではなかった。最終候補としてロータス社のノーツとExchange 2000が残り、一時はロータス社のノーツに傾きかけたこともあったという。「グループウェアとしては、最終的にロータス・ノーツとExchange 2000の選択になりました。両者の評価にあたっては、数百項目に及ぶ機能比較表を独自に作成し、徹底的に比較しました」(IPEカンパニー 獅山晴之 氏)

 しかし最終的にはWindows 2000 Active Directoryとの連携により効率的なユーザー管理が可能なこと、そしてクライアント・ソフトウェア(Outlook 2000)の使い勝手の良さから、Exchange 2000を選択した。「業務の内容上、人の移動や組織の改廃などが頻繁に起こります。Active Directoryによって、ファイル・サーバもメール・サーバも、ユーザーを一元管理することで(シングル・サインオン)、こうした人事異動や組織改編に伴う管理作業を効率化できるという点が最大の魅力でした」(IPEカンパニー 獅山晴之 氏)

Macintoshから、WindowsノートPCに変わったクライアント環境
各ユーザー向けには、Windows 2000 ProfessionalをインストールしたノートPCがクライアントとして導入された。これまで慣れ親しんできたMacintosh環境からの移行負担をできるだけ軽減するため、メール環境としては、Windowsの流儀にのっとって操作が可能なOutlook 2000+Exchange 2000を選択した。

 「また今回、ユーザーには、手に馴染んだMacintosh環境からWindows環境に移行してもらうわけです。言ってみれば文化が変わるということであり、できるだけユーザーの負担を減らしてあげたかった。この点、ノーツ・クライアントとOutlook 2000を比較すると、当然ながらOutlookのほうが、Windowsの流儀にのっとった自然な操作が可能でした」(IPEカンパニー 獅山晴之 氏)

 さらに、将来に向けた拡張という点でも、Exchange 2000が評価されたようだ。「Visual Basicのようなポピュラーな開発言語を使って機能拡張を行えるという点もExchange 2000の魅力でした。またExchange 2000はADO(Active Data Object)のプロバイダとしても機能するので、SQL Serverに慣れたプログラマが、その知識をExchange 2000プログラミングでもそのまま活かせるというメリットもあります」(コベルコシステム 大津自然 氏)

約2年をかけて綿密な仕様策定、システム設計と検証を実施

 このほか今回の移行計画では、高価なダイヤルアップに頼っていたARA(Apple Remote Access)を、安価なインターネットを使えるVPN(Virtual Private Network)に移行させた。また長年にわたり作成してきた4th Dimension+FileMaker Pro 5による営業情報/コスト管理情報システムをWindows 2000環境に移行させることにした。以上、今回IPEカンパニーが実施することになった移行計画をまとめると次のようになる。

移行作業 作業内容
クライアントPCのリプレース Macintosh(2000台)をWindows 2000 Professionalに移行
ファイル・サーバの再構築とデータ移行 AppleShareサーバからWindows 2000ベースのファイル共有サービスに移行。複数のAppleShareサーバに分散していたユーザー管理情報をActive Directoryに統合して一元管理
メール・システムの再構築 QuickMail(社内用)およびNetscape Messenger+UNIXメール・サーバ(社外用)をExchange 2000+Outlook 2000に移行
外部アクセス・システムの再構築 ARA(Apple Remote Access)からインターネットを経由したVPNに移行
分散系システムの移行 4th Dimension+FileMaker Pro 5で管理していた営業情報/コスト管理情報を新しいWindows 2000環境に移行
移行に必要な作業

 4th Dimension+FileMaker Pro 5で開発されたシステムは、プラント開発に関係するさまざまな機材(ポンプやコンプレッサー、貯蔵庫など)を管理するために、社内開発したものである。最終的なコスト計算などは、ホスト・コンピュータを利用するが、ユーザーが直接ホストにアクセスするのでは負担が大きいので、フロントエンドとして機能するデータベース・システムを構築したのだという。これらについては、新しいWindows 2000環境にもそのまま持ち越すことにした。

 すでに述べているとおり、今回の移行に関する基本構想の検討が開始されたのは1999年初旬。それから製品の選定やシステム設計に1年をかけ、2000年からは実機でのテスト検証を開始し、2000年後半からはサーバの導入を開始、続いてクライアントPCの導入とデータの移行作業などを開始して、2001年の正月休みにシステムの全面的な切り替えを実施した。「今回はシステムの新規導入ではなく、すでに業務で稼働しているシステムを切り替えるわけですから、失敗は許されません。万が一にも、サーバにアクセスできないとか、メールが届かないといった問題を起こすわけにはいかないのです。業務に支障を来すことなく、スムースな移行を達成するために、計画に十分な時間を割いて入念な設計と検証を行いました」(IPEカンパニー 獅山晴之 氏)


 INDEX
  [事例研究]株式会社 神戸製鋼所 都市環境・エンジニアリングカンパニー
    1.Macintoshベースのネットワーク環境をいち早く導入し、2000台規模に拡大。ネットワーク管理は煩雑さを極める
  2.ADとの連携、使い勝手のよいUIからExchange 2000を選択
    3.大規模拠点のExchange 2000サーバはクラスタリングにより信頼性を向上
    4.従来はダイヤルアップに頼っていたリモート接続にはVPNを活用
 
事例研究


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