Celeron
【セレロン】
別名
・セレロン (Celeron)
インテル製デスクトップPC向けx86プロセッサのブランド名の1つで、Pentium II/III/4(ペンティアム2/3/4)に対するローエンド版に位置付けられている。Pentium IIのローコスト版として、1998年4月15日に最初の製品が発表された。そのあと、Celeronのプロセッサ・コア設計は何回か大きく変更されており、そのたびに性能や機能が向上している。以下、コアの世代ごとに解説する。
■初代Celeron(開発コード名:Covington)
最初に登場したCeleron(Covington:コビントン)は、そのコアに当時のPentium IIと同じものを採用していた。動作クロック周波数は266MHzと300MHzの2種類で、プロセッサのパッケージには、S.E.P.P.(Single Edge Processor Package)という、Pentium IIのカセット型パッケージからプラスチック・カバーを取り外して基板をむき出しとしたものを採用した。装着するスロットはPentium IIと同じSlot 1で、FSBのクロック周波数は66MHzだった。
CovingtonコアのCeleron パッケージはS.E.P.P.(Single Edge Processor Package)。写真提供:Intel |
この初代Celeronでは、Pentium IIのプロセッサ・モジュールに搭載された2次キャッシュを省略し、コストを低減させた。2次キャッシュが省略されたことにより、コア内の32Kbytesの1次キャッシュに存在しない命令やデータを読み込むには、常に低速なメイン・メモリへのアクセスが発生してしまう。インテルの発表によれば、このオーバーヘッドにより、Celeronは同クロックのPentium IIよりも約40%程度性能が低下するとしていた。
性能が低い分、Celeronはローエンド向けプロセッサとして低価格で販売された。しかし2次キャッシュの不在が性能に与える影響は大きく、266MHz版のCeleronは233MHz版のMMX Pentiumよりも低性能であることが分かり、市場の評価は冷ややかなものになってしまった。
■2次キャッシュ内蔵の2代目Celeron(開発コード名:Mendocino)
これに対しインテルは、128Kbytesの2次キャッシュをPentium IIベースのコア上に搭載した新しいプロセッサ(Mendocino:メンドシーノ)をCeleronとして投入した。コアに統合された2次キャッシュは、コアと同じクロック周波数で動作したため、Celeronの高速化に大きく貢献した。当時、x86プロセッサの2次キャッシュは、コアとは別のSRAMチップで実装されることが多く、そのクロック周波数はコアの半分以下に落とさざるを得なかったからだ。実際、Pentium IIの2次キャッシュは容量こそ512KbytesとMendocinoの4倍もあったが、その速度は同じコア・クロックのMendocinoに対して1/2程度であった。そのため、128Kbytesに収まる小さなベンチマーク・プログラムでは、Pentium IIよりMendocinoの方が速い結果が出てしまうこともあった。
MendocinoコアのCeleron パッケージは、左がS.E.P.P.(Single Edge Processor Package)で右がPPGA(Plastic Pin Grid Array)。写真提供:Intel |
当初MendocinoコアのCeleronが製品化されたのは300MHz版と333MHz版で、すでに販売されていたCovingtonコアのCeleron-300MHzと区別するため、Mendocinoの300MHz版はCeleron-300A MHzと呼ばれた。パッケージについては、当初は従来と同じS.E.P.P.を採用していたが、そのあとSocket 370対応のPPGA(Plastic Pin Grid Array)パッケージがラインナップに追加された。クロック周波数もまた、300A MHzと333MHzに続いて、366〜533MHzまで向上した。いずれもFSBのクロックは66MHzだった。
■Pentium IIIベースの3代目Celeron(開発コード名:Coppermine-128K)
Celeronの上位プロセッサが、Pentium IIからPentium IIIへ移行したことにより、Celeronのコアもまた、Pentium IIIベースのコア(Coppermine-128K:カッパーマイン-128K)に変更された。Mendocinoに比べると、Pentium IIIと同様、ストリーミングSIMD拡張命令(SSE)をサポートしたことが大きな特徴である。また、2次キャッシュも容量は128Kbytesと変わらないながらも、コアとの接続バス(Back Side Bus:BSB)の幅は64bitsから256bitsに広がっている。パッケージは、FC-PGA(Flip Chip Pin Grid Array)という新しいタイプに変更された。ただし、Socket 370に装着すること自体は変わらない。
Coppermine-128KコアのCeleron このパッケージはFC-PGA(Flip Chip Pin Grid Array)。写真提供:Intel |
Coppermine-128Kの初登場時の動作クロック周波数は533MHzだった。この533MHz版は、Mendocinoの533MHz版と区別するために、Celeron-533A MHzと呼ばれる。またFSBクロックについては、533A〜766MHzまでは従来と同じ66MHzだったが、800MHzからは100MHzに引き上げられた。最大クロック周波数は、1.10GHzである。
■2次キャッシュ256Kbytesの4代目Celeron(開発コード名:Tualatin)
2001年10月に発表されたCeleron-1.20GHzでは、モバイルPentium III-MやPentium III-Sと同系列のプロセッサ・コア「Tualatin」が採用された。これにより2次キャッシュは256Kbytesと従来の2倍に増量されたほか、パッケージもFC-PGA2に変わっている。
TualatinコアのCeleron パッケージはFC-PGA2(Flip Chip Pin Grid Array 2)。写真提供:Intel |
2002年9月上旬の時点で、4代目Celeronの製造プロセスは0.13μm。最大クロック周波数は1.40GHzである。
■Pentium 4と同じマイクロアーキテクチャの5代目Celeron(開発コード名:Willamette-128K)
2002年5月16日に発表されたCeleron-1.70GHzは、名前こそ従来と変わらないが、マイクロアーキテクチャがP6からNetBurst(Pentium 4と同じ)へと変更された。すなわち、4代目までとはまったく異なるプロセッサ・コア「Willamette-128K(開発コード名)」が採用されている。これは、初代Pentium 4のコア「Willamette」の2次キャッシュを256Kbytesから128Kbytesに半減させたものだ。SSE2のサポートなど、機能面では特にPentium 4と違いはない。これによりハイエンドからエントリ・クラスまで、デスクトップPC向けのIntel製プロセッサはNetBurstマイクロアーキテクチャに移行することになった。
Willamette-128KコアのCeleron パッケージは小型のFC-PGA2(Flip Chip Pin Grid Array 2)。写真提供:Intel |
2002年9月上旬の時点で、5代目Celeronの製造プロセスは0.18μm。最大クロック周波数は1.80GHzである。
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関連用語
参考リンク
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■Intel Celeronのホームページ
Intel Celeronに関する各種情報が掲載されている
■インテル社のホームページ
■米Intel社のホームページ
■[解説]VIA C3はCeleronの対抗になれるのか(PC Inisder)
■[解説]CeleronのFSB 100MHz化からみるインテルのプロセッサ戦略(PC Inisder)