製品レビュー
企業ユーザーのためのSFU 3.5活用ガイダンス

第1回 SFU 3.5の概要とNFS機能

4.NFSサーバとNFSゲートウェイ

たかはしもとのぶ <monyo@home.monyo.com>
2004/04/29

NFSサーバ機能

 「NFS サーバー」コンポーネントをインストールすることで、NFSクライアントとは逆に、Windows側のファイルをNFS経由でUNIX側に公開することが可能となる。

 フォルダのプロパティを開くと次のような[NFS 共有]タブが表示されるため、読み出し専用で公開するだけであれば、[このフォルダを共有する]を選択して、[匿名のアクセスを許可する]のチェック・ボックスをオンにするだけでよい。

[NFS 共有]タブによるNFS共有の設定
「NFS サーバー」コンポーネントをインストールすると、フォルダをNFSプロトコルで公開することができる。
  「NFS サーバー」コンポーネントをインストールすると、フォルダのプロパティ・ダイアログにこのタブが表示される。
  公開するフォルダの共有名。
  エンコード方法の指定。例えば[EUC-JP]とすると、日本語のファイル名やフォルダ名がEUCコードでNFSクライアントに送信される。
  匿名アクセスを許可する場合にはこれをオンにする。
  匿名アクセス時に使われるuidとgidの指定。
  NFSクライアント単位に読み書きの制御や送信する文字コードの指定などを行う場合は、ここから設定を行う。

 なお、匿名以外でアクセスを行わせたい場合は、前述したユーザーのマッピング機能を使用して、UNIX側のuidをWindows側のユーザーにマッピングする必要がある。

 [アクセス権]ボタンを押すと、次のような[NFS共有アクセス権]画面が表示され、UNIXのNFSサーバと同様に、ホスト単位の読み書きアクセスやNFSクライアントに送信するファイル名の文字コードの設定などを行うことができる。

NFS共有に対するアクセス権の設定
ALL_MACHINESは、すべてのマシンを示す。ホストをいくつかまとめた「クライアントグループ」という単位で、アクセス権の設定が行える。
  現在のアクセス権設定の表示。
  ホスト単位のアクセス権を追加する。
  アクセス権の種類を設定する。
  rootからアクセスがあった場合に、rootとして扱うかどうかの設定。
  ファイル名のエンコード方法の指定。

 UNIX側からマウントを行う際には、通常のNFS共有への接続と何ら変わるところはない。

SFUで作成したNFS共有にUNIX側から接続したところ
Windowsマシン上のフォルダをNFS経由でmountし、ファイルの一覧を表示させたところ。日本語のファイル名なども正しく表示されている。

NFSゲートウェイ機能

 NFSゲートウェイとは、次のように、SFUをインストールしたサーバが、NFSサーバ上の共有リソースをWindowsマシンに対して、Windowsの共有として公開する機能のことである。Windowsマシンが通常のSMBプロトコルでNFSゲートウェイ・マシンへアクセスすると、その要求はNFSプロトコルへと変換され、UNIXサーバへ送られる。NFS機能を持たないWindowsマシンが間接的にNFS共有にアクセスすることが可能になる。

NFSゲートウェイ機能
NFSゲートウェイ機能を利用すると、Windowsマシンに対して、通常のSMBプロトコルのままUNIXマシンのNFS共有リソースを提供することができる。クライアントのWindowsマシンにはSFUをインストールする必要はない。

 「NFSゲートウェイ」コンポーネントをインストールすると、管理ツールに[NFSゲートウェイの構成]というツールが登録される。このツールから、接続先のNFS共有やWindowsマシンに公開する共有名などの設定を行うことができる。

NFSゲートウェイの構成
NFSゲートウェイ機能を利用するためには、[NFSゲートウェイの構成]を起動して、公開するリソースの設定を行う。
  Windowsマシンに向けてSMBプロトコルで公開する場合の共有名。
  NFSゲートウェイ・マシンからNFS共有リソースを参照する際に使用するドライブ名。必ずドライブ名にマップしてから参照する必要がある。
  NFSサーバの公開しているNFS共有リソースの名前。
  エンコード方法の指定。
  公開リソースに付けるコメント。
  NFSサーバ・マシンが公開している共有リソース。
  アクセス可能なユーザー数の指定。

 このコンポーネントは「NFSクライアント」相当の機能を含んでいるため、「NFSクライアント」コンポーネントと同時にインストールすることはできない。

そのほかの注意点

 SFUのNFS機能はNFSv3(NFS version 3プロトコル)に対応しており、デフォルトはNFSv3でTCPを使用するという設定になっている。そのため、古いNFSサーバと接続する場合は[Services For UNIX の管理]ツールから設定を変更してほしい。

 またSFUでは日本語のファイル名として「シフトJIS」と「EUC-JP」に対応しているが、EUC-JPの場合、機種依存文字などには完全には対応していない。手元で「i@I.TXT」といった、機種依存文字の中でも処理が難しいローマ数字の小文字を含むファイルをEUC-JPで扱えるか試してみたが、文字化けしてしまうことを確認している。注意してほしい。

ファイルの文字化けの例
文字コードを「EUC-JP」に設定したNFS共有上で「@@T.TXT」という名称のファイルを作成したところ。ファイル作成後にファイル名を確認すると、「z@@T.txt」と文字化けしてしまっていることが確認できる。

 今回は、SFU 3.5のインストールと、NFS機能について解説した。次回は、UNIXとWindowsシステムのユーザー・アカウントを統合管理する、パスワード同期の機能について解説する。End of Article


 INDEX
  [製品レビュー]企業ユーザーのためのSFU 3.5活用ガイダンス 
  第1回 SFU 3.5の概要とNFS機能
    1.SFUの入手とインストール
    2.NFSとユーザー名マッピング
    3.NFSクライアント
  4.NFSサーバとNFSゲートウェイ
 
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