[特集] 管理者のためのMSオフィシャル・サポート情報活用術 ―Windows 7/Office 2010移行などでTechNetオンラインを活用する― デジタルアドバンテージ 島田 広道2011/03/09 |
Windows XPのサポート終了があと3年ほどに迫り、Windows 7のService Pack 1の提供も始まったいま、どのようにWindows XPからWindows 7へ、あるいはOffice 2003からOffice 2010へ移行するか、頭を悩ませているシステム管理者は多いことだろう。
こうした移行作業ではトラブルが付きものなので情報収集は欠かせない。当サイトでも、「XP/Vista→Windows 7 完全移行マニュアル」など、こうした環境移行のための記事をまとめている。しかし記事ですべてを網羅できるわけではないし、やはり一次情報源として、マイクロソフトのWebサイトをうまく活用するスキルは管理者として不可欠だ。
そこで本稿では、こうした移行作業などに役立つ情報をマイクロソフトのWebサイトから探し出す方法を紹介する。その中心となるのは、システム管理者向け情報サイトであるTechNetオンラインの「サポート情報」ページである。
ITプロ向けサポート・サイトで移行に関する情報を探す
マイクロソフトのWebサイトでは、製品情報だけではなく、製品を使いこなすテクニックやトラブルが生じたときの原因と対策、設定方法、さらには購入・ライセンスの説明など、技術者をサポートするさまざまな情報が提供されている。そのうち、ITプロフェッショナル(システム管理者)向けの情報がまとめられているのが「TechNetオンライン」(以下TechNet)である。
マイクロソフト「TechNetオンライン」トップページ | ||||||
TechNetオンラインは、ITプロフェッショナル向けに同社製品を利用/管理/購入するための情報をまとめたサイトである。 | ||||||
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ここから移行に関する各種の情報を探すには、サポート情報のページを開く。
TechNetのサポート情報のページ | |||||||||||||||
よくある問い合わせや、膨大なサポート情報を効率よく検索するための検索窓などが1ページにまとまっている。 | |||||||||||||||
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「よくある問い合わせ」や、サポート技術情報のアクセス・ランキングは、ほかの管理者がどのような問い合わせをしているか、どのような情報を参照しているかを知るのに役立つ。問題は千差万別なように見えて、意外に共通していることも多い。いま必要な情報でなくても、将来に備えて、どのような質問や情報参照が多いのか、ざっと目を通しておくとよいだろう。
移行に必要なService Pack、移行時に活用できる各種ツールなどの入手方法
管理業務では、細かい多数の作業を順序よく、確実にこなさなければならないことが多い。幸いマイクロソフトは、管理者向けのツールなどを数多く無償提供してくれている。適切なツールを見つければ、作業を確実かつスピーディにこなせるので、これから取り組む作業に使えるツールが用意されていないか、まずは探してみるとよい。また環境の移行作業では、Service Packや評価版ソフトウェアが必要になったりすることがよくある。これらはダウンロードのページから入手できる。
TechNetのダウンロード・ページ | |||||||||
ITプロフェッショナル向けに評価版ソフトウェアや各種ツール、パッチなどがリストアップされている。 | |||||||||
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イベントIDやエラー・コードからトラブルの原因/対策を探す
移行作業中に発生したトラブルの原因や対策を探るには、前述のサポート情報のページにある「目的別検索」が役に立つ。
TechNetのサポート情報ページにある「目的別検索」 | |||||||||
これは前述のTechNetサポート情報ページの下部にある。検索対象や絞り込み範囲の異なる検索窓が3種類用意されている。 | |||||||||
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例えば移行作業時に何らかのエラーが発生したとき、そのエラーの「イベントID」や「エラー・コード」で絞り込んで検索できる(上記の)。「イベントID」とは、エラーや警告といった事象ごとに割り当てられている番号のことで、Windowsの管理ツールの1つ「イベント・ビューア」で確認できる。「エラー・コード」とはエラーの原因を表す番号のことで、エラーの発生したプログラムによってログに記録される。これはイベント・ビューアのほか、プログラムが生成したログ・ファイルを調べて見つける。
イベント・ビューアでエラーを見つけるには、まずWindowsのスタート・ボタンから[すべてのプログラム]−[管理ツール]−[イベント ビューア]をクリックする。イベント・ビューアが起動したら、左ペインより[システム]を選び、右ペインの[日付][時刻]列からエラーの発生したころの時刻を探し、その付近で[種類]列に「エラー(赤い×マークのアイコン)」「警告(黄色い三角のアイコン)」と記録された行を探す。見つけたらそれをダブルクリックすると、そのイベントの詳細が表示される。見つからない場合は、左ペインで[セキュリティ]や[アプリケーション]を選んでから、同様に探してみる。
イベント・ビューアからエラーのイベントIDやエラー・コードを見つける | ||||||
これは.NET Frameworkの言語パックのインストール時に発生したエラーがイベントとして記録されていた例。 | ||||||
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イベントIDかエラー・コードが見つかったら、「目的別検索」の「エラーコード、イベント ID で絞って検索」の欄に入力して[Enter]キーを押すと、イベントID/エラー・コードが合致する情報が検索・表示される。
技術情報だけに絞り込んでエラーの原因/対策を探す
イベントID/エラー・コードで検索しても知りたい情報が見つからなければ、「目的別検索」の「サポート技術情報に絞って検索」の欄に、エラーを表す特徴的な単語をいくつか入力して検索する。「サポート技術情報」とは、ユーザーからの技術的な問い合わせに対する同社の回答や、同社が調査して明らかになった製品の不具合やセキュリティに関する技術情報のことで、無償で閲覧できる。
サポート技術情報のページの例 |
ユーザーからの技術的な問い合わせに対して同社が回答した内容や、同社が調査して明らかになった製品の不具合やセキュリティに関する情報が「サポート技術情報」として無償で公開されている。 |
「サポート技術情報に絞って検索」の下にある「技術サポートに関する全てのデータベースを、キーワードで検索」の欄の場合、サポート技術情報のほか、ブログや各種文書、フォーラム、ダウンロード・ページなど、広い範囲が検索される。そのため、まずは前者の欄でサポート技術情報だけを検索し、それでも見つからなければ後者の欄の方で幅広く検索するとよいだろう。
それでも見つからなければGoogleで検索を試す
以上の方法でも知りたい情報が見つけられなければ、Google検索を利用するという手もある。TechNetの検索機能は同社のBingという検索サービスが用いられているため、それとはまったく別の検索サービスであるGoogleであれば、新たな発見の可能性があるからだ。例えばサポート技術情報だけをGoogleで検索するには、次のような検索文字列を指定する。
site:support.microsoft.com/kb/ "Windows XP" 移行 エラー |
「site:〜」はGoogleに対して検索対象サイトの絞り込みを指示するコマンドで、この例ではサポート技術情報のURLの共通部分を指定している。この絞り込み検索の詳細はTIPS「Googleのサイト限定検索機能を活用する」を参照していただきたい。
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マイクロソフトのWebサイトでは膨大な量の情報が公開されているが故に、知りたい情報を探すのに苦労する場合もある。だが今回紹介したTechNetサポート情報をうまく活用する方法を身に付けておけば、管理や移行など、何かにつけて必要な情報を見つけ出しやすくなるだろう。
- Windows 7新時代「第2回 XP/Vista→Windows 7完全移行マニュアル」
- 運用「Outlook Express → Windows Liveメール移行ガイド」
- Windows 7新時代「第8回 Windows XP → 7移行のアプリケーション・トラブル解決法」
- Windows TIPS「Sysinternalsツールをオンラインで使う
- Windows TIPS「Googleのサイト限定検索機能を活用する」
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