[基礎解説]
Windowsの互換性テクノロジの仕組み(後編) 1.Application Compatibility Toolkit(ACT)とは? 佐藤 芳樹2010/06/30 |
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前編では、「Windows 互換性テクノロジ」の仕組みと用途、そしてそれらがアプリケーションの互換性問題に与える利点について解説した。後編では、Windows互換性テクノロジのカスタマイズや展開のために必須の「互換性データベース」の作成方法や、Windows互換性テクノロジの限界、仮想化技術を併用した活用方法について解説する。
Windows互換性テクノロジの利用方法
まずは、Windows互換性テクノロジをどのようにすれば利用できるようになるのかについて説明する。実行ファイルのプロパティから指定可能な互換モードのようにOS標準で搭載されているものは比較的利用しやすいが、実際にはこうしたデフォルトのモードだけで解決できる互換性問題はそれほど多くないかもしれない。では、どうすればWindows互換性テクノロジを最大限に活用できるのか。それには「Application Compatibility Toolkit(ACT)」というマイクロソフト提供の無償ツールを利用する必要がある。簡単にいえばACTとは、Windows互換性テクノロジを利用して、任意のアプリケーションの互換性問題を解決するための各種機能を備えた統合ツールだ。本稿執筆時点では、最新のVer.5.6を同社のダウンロード・センターから入手できる。
- Application Compatibility Toolkitのダウンロード・ページ(マイクロソフト ダウンロード・センター)
項目 | 内容 |
Windows OS | Windows 2000 SP4/Windows XP SP3/Windows Server 2003 SP1以降/Windows Vista/Windows 7(一部のツールはWindows 2000 SP4で利用できない) |
SQL Server | SQL Server 2005/SQL Server 2005 Express/SQL Server 2008(ただし互換性データベースの作成にSQL Serverは必須ではない) |
そのほかの要件 | .NET Framework 3.5 |
ACTのシステム要件 | |
ACTの実行に必要なOSおよびソフトウェア・コンポーネント。PCから収集したアプリケーション一覧などの情報を保存するためにSQL Serverを用意する必要がある。ただし、本稿で説明する互換性データベースの作成には、SQL Serverは必ずしも必要ではない。 |
ダウンロードしたインストール・パッケージ(ApplicationCompatibilityToolkitSetup.exe)を実行してACTをインストールすると、次のツールが利用できるようになる。
ツール名 | 内容 |
Application Compatibility Manager | PCにインストールされているソフトウェア一覧を収集するためのエージェントの作成と、収集されたソフトウェアごとの互換性問題を管理するためのツール |
Standard User Analyzer | ユーザー・アカウント制御(UAC)により影響が発生する場合の原因を分析するためのツール |
Internet Explorer Compatibility Test Tool | Internet Explorer(IE) 7およびIE8を利用する際、Webアプリケーション上で発生する問題点を分析するためのツール |
Setup Analysis Tool | アプリケーション・インストール・ファイルを自動的に実行し、各アプリケーションのインストーラで実行される操作を監視するためのツール |
Compatibility Administrator | 互換性データベース(後述)を作成・適用するためのツール |
Application Compatibility Toolkit(ACT) 5.6に含まれるツール |
ACTによってアプリケーションの互換性を分析・検証・修復する手順の概要を以下に記す。
ACTによるアプリケーションの互換性の分析・検証・修復の概要 | |||||||||||||||
ACTを利用すると、ユーザーのコンピュータからアプリケーションの情報を収集し、その互換性を分析・検証して、Windows互換性テクノロジを利用した対策を実施できる。以下はその手順の概要を表している。 | |||||||||||||||
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ACTのプログラム自体は英語版しか提供されていないが、技術情報としては日本語のテクニカル・リファレンスが公開されているので安心してほしい。
- Application Compatibility Toolkit テクニカル リファレンス(マイクロソフト TechNet)
次のページでは、ACTに含まれるCompatibility Administratorというツールを用いて、「互換性データベース」を作成する方法を解説する。
INDEX | ||
[基礎解説]Windowsの互換性テクノロジの仕組み(前編) | ||
1.互換性問題が生じるワケ | ||
2.Windows 7との互換性を確保する「shim」 | ||
3.互換性テクノロジが効果を発揮する場面 | ||
[基礎解説]Windowsの互換性テクノロジの仕組み(後編) | ||
1.Application Compatibility Toolkit(ACT)とは? | ||
2.ACTで「互換性データベース」を作る | ||
3.Windows互換性テクノロジの限界と活用 | ||
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基礎解説 |
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