[System Environment] | ||||||||||||
volrestコマンドでシャドウ・コピーから以前のバージョンのファイルを取り出す
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解説 |
TIPS「シャドウ・コピーでファイルを自動バックアップする(サーバ編)」では、Windows Server 2003やWindows Server 2008上のボリューム・シャドウ・コピー・サービスを使って、更新や削除された以前のバージョンのファイルを取り出せるようにする方法について解説した。サーバ上でボリューム・シャドウ・コピーを有効にしておくと、ファイルが更新されているたびにバックアップが自動的に作成され(デフォルトでは1日2回、変更のチェックとスナップショットの作成が行われる)、間違ってファイルを上書きしたり、削除したりしても、最大で64回分までさかのぼって復旧させることができる(ディスクの空き容量が少ないと、さかのぼれる回数も少なくなる)。
古いバージョンのファイルを復旧させるには、エクスプローラでサーバの共有フォルダを開き(必ず共有フォルダ経由で作業すること)、ファイルやフォルダを選択して[プロパティ]ダイアログを表示させ、[以前のバージョン]というタブを使って復旧させる。具体的な方法については先のTIPS「シャドウ・コピーで過去のバージョンのファイルを取り出す(クライアント編)」「シャドウ・コピーで削除したファイルを復活させる(クライアント編)」などを参照していただきたい。
だがWindows XP/Windows Server 2003向けのResource Kitに含まれるvolrest.exeというツールを利用すると、コマンド・プロンプト上から過去のバージョンのファイルを取り出すことができる。大量のファイルを戻したり、複数のサブフォルダの内容をまとめて戻したりするような作業の場合は、コマンド・プロンプト上で作業する方が効率がよい場合がある。本TIPSではその方法について解説する。
操作方法 |
volrest.exe(Shadow Copies for Shared Folders Restore Tool)というコマンドはWindows Server 2003/Windows XP向けのリソースキットに含まれているツールである。リソースキット・ツールの入手方法や簡単な解説については、Windows TIPS「Windows OS向けリソースキット・ツールを入手する」を参照していただきたい。いったんこれらのOS上にインストールしてしまえば、そこからvolrest.exeだけをコピーして、Windows Vista上で利用することもできるようである。
volrestコマンドの使い方
このツールの使い方は、引数なしで起動すると表示される。
C:\>volrest …引数なしで起動するとヘルプが表示される |
引数としてファイル名(ワイルドカード可能)を付けると、そのファイルの過去のバージョンが一覧表示され、/rオプションを付けると、それらのファイルがまとめて指定されたフォルダへ復元される。以下、具体的な手順について説明する。
手順1――過去のバージョンのファイルを一覧表示させる
まずは、希望する過去のバージョンのファイルがサーバ上のボリューム・シャドウ・コピーのスナップショットとして保存されているかどうかを確認する。このためには、確認したいファイル名を付けてvolrestコマンドを起動する。単一のファイル名でもよいし、ワイルドカードを使ったファイル名を指定してもよい。ただしいずれの場合でも、指定可能なのはリモートのファイル・サーバの共有フォルダ上のファイルだけである。\\server\userのような共有フォルダ名を直接指定してもよいし、そのフォルダをローカルのドライブにマップしたものでもよい。ローカルのコンピュータ上のフォルダを直接指定することはできない(「以前のバージョン」機能は共有フォルダ経由でしか利用できないため)。なお指定できるファイル名(ワイルドカード)は1つだけである。対象が複数ある場合は、引数を変えて複数回実行する。
例えば、「*.doc」というファイルの過去のバージョンの一覧を表示させるには、次のようにする(すべてのファイルを調べたければ「*」や「*.*」と指定する)。
Z:\user01\企画原稿>volrest *.doc …長形式で表示させる |
この例では、ファイル名が長くなって折り返しており、見づらくなっている。そこで/bを付けて実行してみよう。ファイル名の部分のみが表示される。
Z:\user01\企画原稿>volrest *.doc /b …短形式で表示 |
同じ名前のファイル名が5つ表示されているが、これがサーバ上に保存されている過去のバージョンの全ファイルである。最初の長形式の結果を見ると分かるが、ファイルの更新日付がすべて異なっている。またこのファイル名をよく見ると分かるように、先頭の方に(正確には\\server\sahreなどの共有名や、マップしたドライブ名Z:などの直後に)「\@GMT-2008.06.16-23.00.02」などという文字列が付加されている。これはスナップショットを作成した日付と時刻である。この例なら「GMTの2008年06月16日 23時00分02秒」のスナップショットであることが分かる(GMT:グリニッジ標準時のこと)。
サブフォルダまで検索したければ/sオプションを付ければよい。また/ahや/asオプションを付けると、隠しファイルやシステム・ファイルも検索対象となる。
なお過去のバージョンのファイルが見つからない場合は、次のように「0 File(s)」と表示される。
Z:\user01\企画原稿>volrest *.xls …存在しないファイルの場合 |
手順2――過去のバージョンのファイルを取り出す
過去のバージョンのファイルが見つかったら、それを取り出してみよう。そのためには、先ほどのコマンドの最後に「/r:<展開先フォルダ>」というオプションを追加する。展開先はどこでもよいが、いったんローカルのディスク上に展開してから、必要なファイルだけを探したり、コピーしたりすればよいだろう。フォルダが存在しない場合は自動的に作成される。
なおこのコマンドを実行すると、先ほど表示された過去のバージョンのファイルがすべて展開、コピーされる。先のTIPSで紹介したGUIベースの操作と違い、特定のバージョンだけを選んでコピーすることはできない。
Z:\user01\企画原稿>volrest *.doc /r:extracted …extractedフォルダへ展開させる |
この例では、「Restoring previous versions from ……」というメッセージとともに、過去のファイルがすべて展開されている。ただしこのままではファイル名がすべて同じになってしまうので、それを避けるため、2つ目以降のファイルには末尾に「(1)」「(2」「(3)」……というふうに、数字が付けられている。展開先のフォルダを確認すると、次のようになっている。
Z:\user01\企画原稿>dir extracted …展開した先のフォルダを見てみる |
過去のバージョンの5つのファイルが、異なる名前に変更されて展開されていることが分かるだろう(それぞれ、ファイルの更新日付がすべて異なっている)。なおこの中には、現在サーバ上に存在する最新のファイルは含まれていない(ファイルが変更されたり削除されたりしない限り、過去のバージョンとして扱われないため)。
このように、volrestコマンドを利用すると、過去のバージョンのファイルがすべて取り出されるので、不要なファイルは手動で削除する必要がある。
ところで展開時にさらに/scrオプションを指定すると、スナップショットが作成された日付/時刻の情報がファイル名の一部に組み込まれる。ファイル名だけで簡単に識別できるようにしたい場合は、このオプションを使うとよいだろう。
Z:\user01\企画原稿>volrest *.doc /r:extracted2 /sct …/sctオプション付きで実行する |
このファイル名の途中にある「(火曜日, 6月 17, 2008, 16.00.02)」などが、スナップショットの作成時刻である(ファイルの更新時刻ではない)。なお、日付の表記が日本語になっているが、コマンド・プロンプトを英語モードにしておくと(usコマンドを実行しておく)、「企画原稿01 (Wednesday, June 18, 2008, 08.00.03).doc」といったファイル名になる。
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このリストは、デジタルアドバンテージが開発した自動関連記事探索システム Jigsaw(ジグソー) により自動抽出したものです。
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