[System Environment] | |||||||||||||
「デスクトップ」や「お気に入り」をネットワーク・フォルダに配置する
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解説 |
多人数で譲り合いながら使う大型のコンピュータ・システムとは違い、ユーザーの自由に使える専用コンピュータというのが、そもそもの「パーソナル・コンピュータ」の原点である。実際パソコンは、使い続けるほどに自分色に染まっていくものだ。Windowsデスクトップにはよく使うプログラムのアイコンが並び、マイ・ドキュメントにはさまざまな作業ファイルが蓄積され、「お気に入り」には気になるサイトのURLがリスト化されていく。特別なことをしなくても、コンピュータにログオンすれば、「使い慣れた作業環境」があなたを迎えてくれるというわけだ。
しかしこれら「自分専用の環境」の情報は、基本的に各コンピュータのハードディスクに保存されるため、複数のコンピュータを使っていると、コンピュータの台数分だけ環境が作られてしまう。自宅や職場などで、複数のコンピュータを同時に使用していると、コンピュータによらず共通した環境で使いたいと思うようになる。別のコンピュータを操作していて、いつもならすぐにアクセスできるデスクトップや「お気に入り」の項目にアクセスできずに困ったという経験は誰にでもあるだろう。
前述したとおり、デスクトップや「お気に入り」、マイ・ドキュメントといった特殊フォルダは、各コンピュータのローカル・ハードディスク(デフォルトではフォルダC:\Documents and Settings\<ユーザー名>以下)に保存されるのだが、必要なら設定を変更して、ネットワーク上の共有フォルダを指定することで、どのコンピュータでも共通のデスクトップや「お気に入り」、マイ・ドキュメントを利用できるようになる。またこうした環境に関する情報を保存するフォルダをネットワーク上で統合すれば、物理的な使用ディスク容量を節約できるとともに、バックアップやコピーも非常に楽になる。
ただし、特殊フォルダは、Windowsの実行に不可欠なものであるため、常にネットワーク接続が保証されていない状況では、ネットワークが利用できないと問題が起こる場合がある。例えばWindowsの起動時に「お気に入り」フォルダにアクセスできないと、Windowsは「お気に入り」フォルダを%SystemRoot%\Favoritesに強制的に変更することがある。いったんこの設定がなされてしまうと、次回からネットワーク・アクセスが可能になっても、ネットワーク上の「お気に入り」フォルダはアクセスされず、%SystemRoot%\Favoritesが使われる。
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この問題を回避するには、設定するネットワーク上の共有ファイル/フォルダをオフライン・ファイルとして指定しておく。こうすれば、オフライン時にはローカル側のキャッシュが使われるようになる。オフライン・ファイルの詳細と使い方については関連記事を参照されたい。
操作方法 |
デスクトップや「お気に入り」、「マイ ドキュメント」の情報を保存するためのフォルダ位置は、すべてレジストリに記録されている。従ってこれらの場所を変更したければ、しかるべきレジストリ値を変更すればよい。ただし、これらの設定を間違えると、システムが重大な影響を受ける可能性があるので、レジストリ値を変更する前に、変更対象のレジストリ・キーをエクスポートしておき、トラブルに備えよう。
[注意] |
レジストリに不正な値を書き込んでしまうと、システムに重大な障害を及ぼし、最悪の場合、システムの再インストールを余儀なくされることもあります。レジストリ エディタの操作は慎重に行うとともに、あくまで御自分のリスクで設定を行ってください。何らかの障害が発生した場合でも、本Windows Server Insider編集部では責任を負いかねます。ご了承ください。 |
ユーザー個人のプロファイル情報のパスは、以下のレジストリ・キーに格納されている。
HKEY_CURRENT_USERのSoftware\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\User Shell Folders
レジストリ値と設定内容の関係は以下のとおり。
値 | 保存されるプロファイル |
Favorites | 「お気に入り」情報の保存場所 |
Desktop | デスクトップ情報の保存場所 |
Personal | マイ・ドキュメントの保存場所 |
特殊フォルダに対応するレジストリの設定値と保存されるプロファイル |
このうち最後のマイ・ドキュメントについては、レジストリを直接編集しなくても、エクスプローラのマイ・ドキュメントフォルダのプロパティ・ダイアログから設定を変更できる。
特殊フォルダの実体をデフォルトの状態から変更するには、これらのレジストリ値に希望の場所を指定する。デフォルト設定では、環境変数“%USERPROFILE%”を使用して、各ユーザーのプロファイル・フォルダが指定されているはずだ。%USERPROFILE%は、現在ログオン中のユーザー・プロファイル・フォルダのパスが格納されている環境変数の内容を指している(例:ユーザー名がyamamotoなら、C:\Documents and Settings\yamamotoなど)。
これらのレジストリ値には、各コンピュータのローカル・フォルダを指定できることはもちろん、ネットワーク上の共有フォルダを指定することもできる。具体的には、共有フォルダにドライブ文字を割り当ててそれを指定してもよいし、UNCでフルパスを指定してもよい。
例えば、「お気に入り」の実体を“server01”というコンピュータ上の“\usr\yamamoto\favorites”という共有フォルダに変更したければ、上記のFavoritesレジストリ値を、
\\server01\usr\yamamoto\favorites
に変更する。指定したフォルダが存在しなかった場合には、Windowsがそれを参照する段階でフォルダが自動的に作成される。
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ただし「解説」で述べたとおり、万一のネットワーク切断時のことを考えて、設定するネットワーク・フォルダをオフライン・フォルダとして指定しておこう。ネットワーク・フォルダの具体的な設定方法については、関連記事を参照されたい。
特殊フォルダの場所を変更する | |||||||||
ここではDesktop(デスクトップ)、Favorites(お気に入り)、Personal(マイ・ドキュメント)の保存先をネットワーク・フォルダに変更してみた。 | |||||||||
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「お気に入り」や「マイ ドキュメント」は、再ログオンしなくても新しい設定値が反映される(ただし、Internet Explorerを起動している場合には、いったん終了して再起動する)。一方、デスクトップの設定を有効にするには、いったんログオフして、再ログオンする必要がある。レジストリ変更中に起動していたExplorer.exeプロセスには変更が反映されないので、レジストリを書き換えたら、念のためにログオフして再ログオンしておこう。設定に失敗した場合などは、レジストリ値を元どおりに直しておく。
このように、設定自体はかなり簡単である。ただし、会社にあるコンピュータでこれを設定する場合には、担当の管理者にひと言断ってから作業したほうがよいだろう。コンピュータのシステム構成に手を加えることになるからだ。また、保存先をネットワーク・フォルダにする場合には、そうした目的に使用してよいネットワーク・フォルダかどうかを確認し、運用によってディスクの容量制限などに抵触しないかどうかを確認しておく必要がある。
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このリストは、デジタルアドバンテージが開発した自動関連記事探索システム Jigsaw(ジグソー) により自動抽出したものです。
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