XML eXpert eXchange
第5回 読者調査結果発表
〜XML技術者がいま必要としている技術/知識とは?〜
小柴豊
@ITマーケティングサービス担当
2002/1/25
XMLがITの基盤技術として浸透するにつれ、その用途や、利用に必要とされる知識も多様化/細分化しているという。XML eXpert eXchangeフォーラムでは、先日5回目となる読者アンケートを実施し、現在のXMLの活用目的や読者の情報ニーズについて調査した。本稿ではその主な結果を紹介する。
■Webサービス関連技術の習得意向高まる
まず読者がXMLとかかわる主な目的について聞いた結果が図1だ。ご覧のとおり「企業内/企業間でのアプリケーション統合やデータ交換(EAI/BtoB)」が全体の半数を占めたほか、「文書管理やナレッジマネジメント」「Webデザイン」などの用途にフォーカスした読者も一定のボリュームで存在している。XMLの用途はビジネスデータの交換を中心にしつつも、それだけにとどまらない広がりを見せているようだ。
図1 XMLの活用目的(N=203) |
XMLの用途が多様化するにつれ、その活用分野ごとに必要とされる技術や知識の範囲も広がっている。ではいま読者が求めるXML関連技術/知識には、どのような傾向があるのだろうか? 14のキーワードを提示した中から3つまでの複数回答で選ばれた結果が図2だ最も必要度が高かったのは、「XML、XSLや名前空間などの基本的知識」だった。実際当フォーラムでも「連載:XMLを学ぼう」などの入門系記事はサイト開設以来コンスタントに読まれており、XMLに携わるエンジニアのすそ野の広がりを実感している。
次に、基本知識を除いたランキング上位を見ると、「XMLデータをやりとりするSOAPなどのプロトコル」および「Webサービス(XML Webサービス)によるシステム開発」といった、Webサービス関連項目が上位に並んでいる点が注目される。XMLの歴史から考えると「DTD、XMLSchema、RELAX NGなどのスキーマ言語」や「各種言語からDOM/SAXを利用したXMLプログラミング」など、古くから議論されてきた項目のポイントがもっと上位にくるものと予想していたのだが、Webサービス関連技術にはそれら以上にエンジニアの学習意欲をそそるものがあるようだ。
図2 XML関連で必要な・学びたい技術/知識 (3つまでの複数回答 N=203) |
■ BtoBシステム開発状況とBtoBサーバ
前述のとおり読者がXMLとかかわる最大の目的は「企業内/企業間でのアプリケーション統合やデータ交換」にあった。では実際のところどのくらいの読者がXML-BtoBシステムを稼働させているのだろうか?
現時点での開発状況を聞いた結果、「すでにシステムを稼動している」または「現在システムを構築中である」人が全体の12%、「現在検討中である」人は15%という結果であった(図3)。全体的には「興味はあるが、まだ具体的な予定はない」人が過半数を占めており、現在のところXML-BtoB市場はまだ助走期間にあるといえそうだ。
図3 XML-BtoBシステム構築状況(N=237) |
BtoB関連の話題といえば、2001年にインフォテリアやマイクロソフトなどのベンダから“BtoBサーバ製品”が発売されたことも記憶に新しい。BtoBに必要なシステムをパッケージ化したこの新カテゴリの製品は、ターゲット層にどの程度利用されているのだろうか?
XML-BtoBシステム関与者(前項で稼働中・構築中または検討中と答えた読者)を対象にその利用状況を聞いたところ、「すでに利用している」「利用を検討している」人が合計で5割弱、「アプリケーションサーバ上で作り込むので、BtoBサーバ製品は不要」という意見が25%となった(図4)。またBtoB関与者の中でも4人に1人は「BtoBサーバ製品を知らない/よく分からない」と答えており、同カテゴリ製品の周知がまだ徹底されていない状況が表れている。
図4 BtoBサーバ製品利用状況(N=55) |
最後にBtoBサーバ製品を選択する際の重視点について、同製品利用者/検討者に聞いた結果を紹介しておこう(図5)。該当者数が少ないためあくまで参考値ではあるが、最も重視度が高かったのは「RosettaNet/ebXML/cXMLなどのビジネスプロトコルへの対応」であった。BtoBを実現するためには標準的なビジネスプロトコルに合わせてシステムを開発する必要があるが、BtoBサーバ製品がそのインターフェイスを用意することで、開発工数削減につながるメリットがある。同機能に次いで「GUIツールやテンプレートを使った開発環境が提供されること」のポイントも高くなっており、複雑になりがちな企業間電子取引をなるべく簡単に実現させたいという開発者のニーズが強いと思われる。
図5 BtoBサーバ製品選択時の重視点(3つまでの複数回答 N=26) |
■調査概要
- 調査方法:XML eXpert eXchange サイトからリンクした Webアンケート
- 調査期間:2001年10月12日〜11月9日
- 回答数:203件
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