XMLサーバカタログ/2001 Summer
〜BtoBサーバ編〜
EAI型、Webアプリケーションサーバ型 |
アリバは、おもに間接材の電子調達システムのソリューションを提供している企業だ。間接材とは、コピー用紙や名刺といったオフィス事務用品から、テスト計測機器、人材派遣サービスや出張時のホテルの予約など、仕事をする上で必要な商品やサービスの総称だと考えてよい。アリバは、こうした間接材のサプライヤーとバイヤーのための、電子商取引可能なインフラを提供している。
あらゆる企業は、その業務を行う上で必ず何らかの間接材を利用することになる。コピー用紙やペンなどのオフィス用品を全く利用しない、といった会社はまず考えられないだろう。その意味で、間接材の市場は、あらゆる企業がバイヤーとなりうる。
間接材の調達に絞ったソフトウェア
Ariba Buyerは、その間接材の電子調達システムを構築するために利用するソフトウェアだ。Ariba Buyerは、社内の電子購買ポータルとして働き、このポータルサイトに対して社員が各自のデスクトップからブラウザでアクセスする。ここで社員が購入操作を行った事務用品や出張のためのチケットなどは、そのままAriba Buyerのワークフロー機能によって社内稟議に回り、そこで承認されたものがサプライヤーへ発注されるようになっている。
Ariba BuyerがほかのBtoBサーバと異なるのは、ほかのBtoBサーバがモジュールの追加やプログラミングなどによってRosettaNetやebXMLなどに対応可能な汎用的な機能を備えるのに対し、Ariba Buyerはアリバが提供する間接材の電子購買ネットワークであるACSN(Ariba Commerce Services Network)で利用され、そこでのXML標準であるcXMLを利用することを前提にしている点だ。
ただし、Ariba Buyerがカスタマイズできないわけではない。Ariba Buyerは、「Procurement(調達)モジュール」と「Travel & Expense(出張・経費精算)モジュール」で構成されており、これらのモジュールの開発基盤として、「e-Form」と呼ばれる開発ツールがある。e-Formを利用すれば、上記のモジュール以外に、顧客が追加で開発する独自の購買プロセスを構築できる。また、ティブコの製品と組み合わせることで、社内のERPシステムなどと統合することも実現している。
ローカルカタログとパンチアウトカタログ
さて、Ariba Buyerを経由して何かを購入しようとする場合、まず事前にその商品のカタログを閲覧する必要があるだろう。このとき、カタログを参照する方法として、「ローカルカタログ」と、「パンチアウトカタログ」の2種類がある。
ローカルカタログとは、文字通りサプライヤーからカタログデータをもらい、Ariba Buyer内のデータベースに格納する方法だ。Ariba Buyerのポータル画面に統合されたカタログを閲覧できる一方、定期的にサプライヤーの最新カタログを取り込むなどの必要がある。
パンチアウトカタログとは、Ariba Buyerのポータル画面から、サプライヤーのWebサイトに移動してカタログを参照する方法である。ちょうどポータル画面の一部にフレームを使って(もしくは別ウィンドウで)サプライヤーのサイトを表示し、そこでカタログを参照するイメージだ。これだと、サプライヤーの最新カタログを参照できるだけでなく、自分専用カスタマイズされ、動的生成されたカタログを参照できるといったことまでできる。パンチアウトカタログの場合、そのままサプライヤーのサイトで購入したい物をショッピングカートに入れる。そしてその情報は、Ariba Buyerのポータル画面に自動的に引き継がれるようになっている。
商品やサービスの性質によって、どちらが最適なカタログ管理方法かは分かれるが、こうしたカタログ情報や、ショッピングカートの引き継ぎ、そして取引のためのトランザクションや注文や注文に対する返答などをやり取りするために、Ariba BuyerではXMLで定義した言語「cXML(Commerce XML)」を利用している。このcXMLは、アリバが提供する電子購買ネットワークであるACSN(Ariba Commerce Services Network)で利用されており、ACSNというインフラと、cXMLという言語を利用することで、バイヤー企業とサプライヤ企業の双方がBtoBを実現できるようになっている。
■Silver Stream xCommerce/テクマトリックス
Silver Stream xCommerceは、SilverStream Application ServerやIBM WebSphere 3.0などのJ2EEプラットフォームをサポートしたBtoBサーバだ。メインフレームからERPシステム、そして社外の取引先といったさまざまなデータソースの接続を統合的に行える機能を持つ。
J2EE環境上で稼働するBtoBサーバ
xCommerceは、XSLTの技術を利用してデータソース同士のマッピングを行う機能を中心として、社内外の取り引きを統合する。データソースから取得したXML文書を変換してほかのフォーマットに変換することで、ビジネス情報を統合、交換することができる。
対応するXMLデータソースはDTDなどで定義された通常のXML文書のほかに、RosettaNet、アリバのcXML、コマース・ワンのxCBL、ebXMLなどのXMLによる業界標準のほか、SOAPにも対応する。また、データソースがXMLでない場合でも、JDBC、3270端末、AS/400、CICS、HTMLなどからの情報をXMLに変換する「xCommerce Enterprise Enablers」が用意されており、これらからの情報もXMLに変換されると同時に、XML形式による入力を自動的にそれぞれのプロトコルに変換して渡す機能がある。そのため、これらのデータソースもほかのXML形式のデータソースと同等に扱うことができる。
データ変換のためのマッピングを行うツール「xCommerce Disigner」は、ビジュアルに示された2つのデータ構造を、ドラッグ&ドロップを利用したノンプログラミングでマッピングルールを設定する。さらに、データ統合に必要なトランザクションステップもビジュアルに定義し、その動作をシミュレーションする機能があるため、データ統合のプロセスを正確に管理可能だ。また、Javaによる関数の定義やイベントハンドラなどの開発も可能で、柔軟なシステム統合のアプリケーションを実現できるという。
これらでデータ統合のロジックを記述したら、それを実行する環境が、xCommerce Serverだ。J2EEプラットフォーム上で動作するアプリケーションであり、JDBC、Servlet、EJBなどのJava APIと組み合わせて利用することもできる。
- テクマトリックスのホームページ/xCommerceの製品情報
ここまでで紹介しきれないBtoBサーバはまだある。最後はそれらを簡単に紹介していこう。
ウェブメソッドは、企業間および企業内のシステムを統合する「BtoBインテグレーション」を提唱している。同社の「webMethods B2B Server」や「webMethods Enterprise」は、こうしたコンセプトを実現するための製品だ。
日本ティブコソフトウェアも、企業内システム統合を行うサーバアプリケーション「TIBCO ActiveEnterprise」を基盤に、他企業やマーケットプレイスと接続する「TIBCO AcitiveExchange」を同時に利用することでBtoBを実現する。ActiveExchangeには、RosettaNetとの接続モジュールのほか、Webブラウザからのアクセス、TIBCO同士の接続などをサポートする。
コマースワンは、xCBL(XML Common Business )によるBtoBを提唱している。同社の製品には、電子調達を実現する「Enterprise Buyer」などがある。
- ウェブメソッドのホームページ
- 日本ティブコソフトウェアのホームページ
- コマースワンのホームページ
続く後編では「XMLデータベース編」として、XML文書を格納できるデータベースを紹介する。
3/6 | 〜XMLデータベース編〜 |
Index | |
XMLサーバカタログ/2001 Summer 〜BtoBサーバ編〜 |
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BtoBサーバに求められる3つの機能 | |
XML/インターネット型、データベース型 Asteria/インフォテリア BizTalk Server 2000/マイクロソフト eXcelon B2B Integration Server/日本エクセロン コラム:XMLアクセラレータでBtoB通信を高速化 |
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EAI型、Webアプリケーションサーバ型 Ariba Buyer/アリバ Silver Stream xCommerce/テクマトリックス そのほか紹介できなかったBtoBサーバ |
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〜XMLデータベース編〜 | |
リレーショナルか、それともXMLネイティブか | |
XMLネイティブ型 Tamino/ビーコンIT Yggdrasill/メディアフュージョン コラム:eXcelonとAsteriaのストアは何型? |
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リレーショナル型 Oracle8i DB2 UDB iConnector そのほかのデータベース製品 |
- QAフレームワーク:仕様ガイドラインが勧告に昇格 (2005/10/21)
データベースの急速なXML対応に後押しされてか、9月に入って「XQuery」や「XPath」に関係したドラフトが一気に11本も更新された - XML勧告を記述するXMLspecとは何か (2005/10/12)
「XML 1.0勧告」はXMLspec DTDで記述され、XSLTによって生成されている。これはXMLが本当に役立っている具体的な証である - 文字符号化方式にまつわるジレンマ (2005/9/13)
文字符号化方式(UTF-8、シフトJISなど)を自動検出するには、ニワトリと卵の関係にあるジレンマを解消する仕組みが必要となる - XMLキー管理仕様(XKMS 2.0)が勧告に昇格 (2005/8/16)
セキュリティ関連のXML仕様に進展あり。また、日本発の新しいXMLソフトウェアアーキテクチャ「xfy technology」の詳細も紹介する
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