マルチディスプレイ (multi-display)
1台のコンピュータに複数台のディスプレイを接続し、それらを同時に使用して1つの大きなデスクトップ(コンピュータの作業環境)を構成可能にする機能。
以前より、ウィンドウシステム上のソフトウェア開発などでは、通常のユーザー環境(ウィンドウ環境)とは別に、もう1つディスプレイを接続して、ここにデバッグ用の情報を出力することなどがあった(プログラムのデバッグ時には、ウィンドウシステム自身を停止させてステータスを確認する必要に迫られることがあり、通常の表示デバイスとはハードウェア的に分離された、別の表示デバイスがあると便利であった)。しかし現在では、ウィンドウシステムとプログラム開発環境の統合化が進み、デバッグ情報などもウィンドウの1つに問題なく表示できるようになったため、この方法はあまり使われなくなった。
現在では、マルチウィンドウシステムにおいて、広いデスクトップを安価に構築するためにマルチディスプレイを利用するのが一般的である。マルチウィンドウシステムでは、複数のウィンドウを同時に表示させて作業を進められるため、デスクトップ(ディスプレイ画面)は広いほど便利である。この際、単純には、高解像度をサポートするグラフィックスカードと、高解像度表示が可能な大画面のディスプレイデバイスを組み合わせればよいことになるが、これらは高価で、またCRTディスプレイはその構造上、大画面になればなるほど奥行きが必要になり、設置スペースの問題もある。これに対しマルチディスプレイでは、コンピュータに複数のグラフィックスカードを組み込み、このそれぞれにディスプレイを接続して、オペレーティングシステムの機能によってこれらを1つのデスクトップとして使えるようにする。表示は複数のディスプレイに渡るが、あくまでデスクトップは1つなので、別のディスプレイに表示されたウィンドウから、別ディスプレイのウィンドウに対してコピー&ペーストやドラッグ&ドロップなどが行える。
マルチディスプレイ環境を構築するには、複数のグラフィックスカードとディスプレイが必要なので、相応のコストがかかるが、いずれも広く市販されているコストパフォーマンスの高い製品を利用できるというメリットがある。
それまでも、マルチディスプレイ環境を実現する専用の製品などがあったし、Macintoshでは比較的早い時期からこの機能をサポートしていたが、Windows 98でも標準でこのマルチディスプレイ機能を搭載するようになったことから、多くのユーザーにとって身近な存在になりつつある。
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