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連載:IFRS先行企業インタビュー(1)

富士通「IFRSは真のグローバル企業になるために」

垣内郁栄

IFRS 国際会計基準フォーラム

2009/7/9

2010年3月期からの適用が可能になった国際会計基準(国際財務報告基準、IFRS)は日本企業に何をもたらすのか。IFRSに積極的に取り組み、次の成長を模索する先行企業にインタビューする。第1弾は富士通。同社の財務経理本部 IFRS推進室室長の湯浅一生氏に聞いた。

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――IFRSに対応した社内体制をどう作るのか。あるべき財務・経理部の姿とは?

湯浅氏 基準についてウォッチする人はこれまで以上に必要になります。IFRSでは基準を追いかけて会計処理のポリシーを自分たちで作ることが重要。その際に、現場まで入っていかないと機能しません。そうしないと「現場の実態が分かっていない」ポリシーを作ってしまうことになって、うまくいきません。経理のファンクションを現場の各ユニットに設置して、ポリシーの考え方を伝えるとともに、現場の声を上げる仕組みを作る必要があります。IFRSの考え方を現場で本当に意識してもらうには時間がかかると思います。

IFRSをきっかけにして社内の効率化を

――仮に2015年からIFRSが強制適用になった場合、企業は本当に対応できますか? かなり大変な作業という印象がある

湯浅氏 いけますよ。基本的には90%以上は日本基準とIFRSは同じ。実感としてはそれほど変わりませんし、帳簿を付けるなどの基本的な作業は同じ。異なるのはどこかを各社で特定することが最初のステップですが、製造業など普通のビジネスでは関係するところはパターンとして決まってくるはずです。欧州の会社も実践してきたことだし、やりようの問題だと思う。

 われわれはまだ苦しんでいますが、最近いろいろな会社の方とお話しさせていただく機会が増えました。分かってきたのは、皆さん非常によく考えられているということです。経理業務の見直しと考えるのではなくて、IFRSをきっかけにして社内の効率化を図ることを考えてみてはどうですか、というのが、私がお伝えしていることです。中期的に何をやるかの計画を立てる、非常によい機会だと思います。IFRS適用を慌てる必要はない。

 仲間は多い方がいい。先行して検討される会社が増えてくれば、もっと情報交換できるようになる。IFRS適用は、何よりもIFRSが自分たちの基準になるということです。海外の基準を押し付けられるのではなくて、自分たちが日本のビジネス実態を踏まえて、基準を作成するIASBにも意見を言っていくことが重要だと思います。

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