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レポート:IFRSパートナーコンソーシアムセミナー

財務・経理部門が頭を悩ます「次世代IFRS」問題

垣内郁栄
IFRS 国際会計基準フォーラム
2009/6/29

国際会計基準(IFRS)と米国会計基準のコンバージェンスによって2011年6月にも「次世代IFRS」が誕生する。次世代IFRSは企業のIFRS適用ロードマップにも影響を与える。「IFRSパートナーコンソーシアムセミナー」のレポートをお伝えする。(→記事要約<Page 2>へ)

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 ERPやデータベースを提供するITベンダ、日本オラクルと、コンサルティングファームなどのパートナー企業が組織する「IFRSパートナーコンソーシアム」は6月17日、2回目のセミナーを開催した。第2回のテーマはIFRSが連結会計に与える影響。セミナーで講演したヒューロン コンサルティング グループのマネージング ディレクターで公認会計士の井上寅喜氏は、「企業の経理部門にとって“次世代IFRS”は頭が痛い問題だ」と話した。

 井上氏がここでいう次世代IFRSとは、IASB(国際会計基準審議会)とFASB(米国財務会計基準審議会)がMoU(Memorandum of Understanding、覚書)に基づき行っている作業を経て生み出される会計基準を指す。IASBとFASBは2006年2月にIFRSと米国会計基準をコンバージェンスさせるMoUを合意し、そのためのロードマップを公開した。2008年9月にはMoUのアップデート版が公表され、2011年6月までにコンバージェンスを完成させることを合意した。アップデートされたコンバージェンス項目は以下の9項目。

収益認識 公正価値測定 連結方針
認識の中止 財務諸表の表示 退職後給付
リース 金融商品
(現行基準の見直し)
資本と負債の区分

 

次世代IFRSは「日々の業務やITに大きな影響」

 日本も日本基準とIFRSとのコンバージェンス作業を継続して行っているが、MoUによる作業ではIFRS、米国会計基準ともに修正され、違いが少なくなっていくと見られる。井上氏はこの2011年6月以降に生まれる次世代IFRSこそが「インパクトが大きい」と強調する。

ヒューロン コンサルティング グループのマネージング ディレクターで公認会計士の井上寅喜氏

 日本の会計基準はIFRSへのコンバージェンス作業を行っていて、コンバージェンスが終了する2011年6月の段階では「日本の会計基準とIFRSとではそれほど違いはないようになっているはず」(井上氏)。しかし、それは「会計処理に限った話だ」(同氏)。井上氏の考えではMoUの作業を経て生まれる次世代IFRSでは、「会計処理そのものが変わり、日々の業務やITが大きな影響を受けるだろう」と予測する。

 影響を受けるのは例えば収益認識だ。現行のIFRSにおける収益認識も多くの日本企業に影響を与えることが予測されているが、次世代IFRSでは現行IFRSの収益認識がさらに変更される見通しだ。現行IFRSの収益認識(IAS18号)では、すべての収益に共通して適用される認識要件として、「取引に関連する経済的便益が企業に流入する可能性が高いこと」「収益の金額を信頼を持って測定できること」を挙げている。加えて、「物品の販売」「役務の提供」などのカテゴリごとに要件を示している。

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