「MSとIntelは重要な懸案ではない」とサンのマクネリ氏

2000/9/29

「長旅で疲れているので、長いプレゼンテーションはせずに質疑応答をしよう」とマクネリ氏。それでもいつものようにエネルギッシュに話す

 米Sun Microsystemsのスコット・マクネリ(Scott McNealy)会長兼CEOは9月28日、都内で会見を開き、前年度よりも33%増の売り上げを達成したと発表。さらに、先頃発表された米Cobalt Networksの買収は、「データセンターに対する水平的なスケーラビリティを実現する」(マクニリ氏)目的のために行ったとした。

 発表によると、9月末が年度末となる同社の、1999年度の売上高は118億600万ドル。これに対して、2000年度の売り上げは157億2100万ドルとなり、33%の伸びを見せている。これは当初の予想よりもずっと高い値だと、マクネリ氏は言う。

 また、インターネット・アプライアンスメーカーのCobalt Networksを買収したことについては、だれでもすぐにインターネットを使える(電話のトーン音に対する)WebToneを実現するためだとした。WebToneの実現には、ミッドレンジやハイエンドサーバによる垂直型のスケーラビリティと同時に、キャッシュサーバ、アプリケーションサーバ、Webサーバなどを柔軟に展開する水平的なスケーラビリティが必要であり、それを容易に実現するのがCobalt Networksの製品群だという。

以下、記者団との質疑応答。

―――順調な成長をしているように見えるが、経営上の懸案はないのか。

 3つあげることができる。まず、WebToneを実現するためには、電話交換機並の信頼性がサーバにも絶対に必要であり、それにはいままでの設計基準や製造基準を変えなければならない。そのために、「シックスシグマ」として知られる品質改善手法をアレンジした「サンシグマ」を採用し、全社で取り組んでいる。

 また、サン自身のドットコム化も課題だ。従業員のためのポータル、株主、サプライヤなどのためのポータルなどを用意して、ドットコム化を進めていく。もちろんすでに、こうした動きは行っており、数十億ドルの節約を実現したが、まだまだすすめていく。

 3つめは、企業そのもののスケーリングだ。すでに200億ドルクラスの大企業になっており、これをさらに成長させるのは難しい。従業員の教育、採用した社員のファシリティの獲得も難しいが、なによりも優れた人材の獲得が難しい。

 ご覧のように、重要な懸案の中にはMicrosoftやIntelへの対抗は含まれていない。Wintelは重要な懸案ではないのだ。

―――Wintelが眼中にないのであれば、次のライバルはどこか。

(しばし考えて)データセンターに製品を供給する全ての企業。WebToneを実現しようとしている企業と言えるだろう。ルーセント、ノキアなどがあげられるかも知れないが、彼らが本当にライバルになるのは、まだ先のことかもしれない。

―――Linuxは脅威だと考えないのか。

 LinuxはもうひとつのUNIXであり、無料で手に入る素晴らしいOSであり、UNIXを広げるものだと考えている。脅威ではない。Linux上のアプリケーションはUNIXアプリケーションであり、それはSolarisにも移植されるだろう。それに、我々はOSを売って儲けているわけではないし、(サンの)StarOfficeや、iPlanetやForteなどのアプリケーションは、Solaris版はもちろん、Linux版もある。また、Cobalt Networksを買収したことで、我々はLinuxのサプライヤーでもあるのだ。

―――Windows 2000 Datacenterなどは、サンの市場にぶつかることになる。もし2年前にこの製品がマイクロソフトから出ていたら、今の成長はなかったと思うか。

 そう思う。でも彼らは、そうはできなかった。それだけだ。

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サン・マイクロソシテムズのホームページ

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