ワークステーション戦争に向け準備万端のIBM

2000/12/22
(12/19/00, 8:16 p.m ET)By Mark Hachman, TechWeb News

 IBMは、Power3チップを採用するワークステーションのクロックスピードとグラフィックス機能を向上させ、Sun Microsystemsにさらに大きな圧力をかける計画だ。

 IBMの関係者が12月19日に語ったところによると、同社は2001年2月9日に、IBMの「44P-170」シングルプロセッサワークステーションで採用されるPower3の450Hz版を追加するという。同チップはIBMが12月8日に投入を開始したもので、これまでのカードのグラフィックスパフォーマンスを2倍、もしくは3倍にまで引き上げる強化グラフィックスプロセッサの補完的役割を担うことになる。

 IBMは去る2月に、333および400MHzのPower3チップと旧型のグラフィックスチップを採用した「Model 170」ワークステーションシリーズをデビューさせた。

 IBMのワークステーション/Webサーバグループの製品マーケティング部に所属するJim McGaughan氏は、今回の新しいクロックスピードによって、「非常に素晴らしい接戦」を演じることができるだろうと語った。「カスタマーは3つのパフォーマンスレンジを選択することができ、必要なスピードを選ぶことができる」(McGaughan氏)

 IDCによると、第3四半期にマーケットシェアを大きく失い、Hewlett-Packard(HP)に後れを取ったIBMにとって、新たな強化対策は重要だという。

 Sunは8万6700台という販売台数(全販売台数の61.5%)でUNIXワークステーション市場を引き続き独占している。一方、IBMはUNIXの総販売台数では3位だった。ワークステーション市場全体では、Intelのマイクロプロセッサを採用したマシンしか発売していないDell Computerがリードしている。

 McGaughan氏によると、IBMの170ワークステーションは今年は完売となっているという。

 Sunの関係者も同様の主張を行うことも考えられるが、アナリストによると、同社は主にUltraSparc IIIマイクロプロセッサの供給不足から問題を抱えているという(12月16日付け記事「Sun、Ultra Sparc III搭載サーバの出荷延期 」参照)。

SunはUltraSparc IIIを最大900 MHzのスピードまで発売を開始したが、同社は750MHzのチップを搭載したマシンしか発売していない。Sunの関係者は、自社のワークステーションに対する需要があまりにも高すぎてこれを満たすことができないとし、伝えられている品不足を否定している。同社では、1月にはカスタマーの大量注文に応えられるようになると期待している。

 IBMワークステーションの定価は3万1215ドルで、Sunの「Sun Blade」の定価は1万400〜1万3100ドルとなっている。

 「450MHz(のスピード)のものは発売したばかりであるため、これにプレミアムが付くことは確実だ」(McGaughan氏)

 IBMの自社テストによると、450MHzチップを古い333MHzバージョンのものに入れ替えれば合計は1万7000ドルに低下するが、価格と同時にパフォーマンスも低下するという。Model 170のパフォーマンスはParametric TechnologyのProCDRSベンチマーク(Model 170が有利なMCADアプリケーション)で最高のパフォーマンスを発揮する。

 同ワークステーションのグラフィックスパフォーマンスでカギとなっているのは、同社の新しい「GXT4000」および「GXT6000」の両カードだ。このコンポーネントはIBMのマイクロエレクトロニクス事業部によって製造されている。

 Model 170シリーズは、2月には古い「GXT2000」および「GXT3000」の両カードを搭載して発売された。GXT2000は一般市場でもSonicblueが保有する「Diamond FireGL」シリーズで販売された。

 Model 170を購入するカスタマーは、このグラフィックスカードに対する追加料金を支払う必要があり、今のところ、カスタマーはこの新しいGXT6000を6000ドルの追加料金で購入することができる。

 IBMのGXT4000カードは離散型ジオメトリー・チップを搭載していないため、IBMではワークステーションのソフトウェアによってジオメトリー処理を行っている。

 IBMでは、ワークステーションに新たなプロセッサを追加したModel 270も発売している。

 McGaughan氏によると、マルチスレッド化されたアプリケーションも続々と開発されており、複数のプロセッサも活用されているが、IBMが販売するワークステーションの大部分は依然としてシングルプロセッサマシンだという。

 IBMでは、同社の次世代チップであるPower4を2001年末に発表する予定だ。

[英文記事]
IBM Pumps Up For Workstation War

[関連リンク]
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