ボーランド、KylixでWindowsプログラマーの移行を促進
2001/2/6
1月に社名をインプライズからボーランドに戻し、古くからのユーザーを喜ばせた同社が、社名変更後国内で初めてプレスを集めたのが「Borland Kylix First Preview」である。これは、ニューヨークで開催されたLinuxWorldにて、1月31日に米国本社が発表した内容を受けたもので、Kylixの製品構成や英語版によるデモが公開された。
Vine Linux 2.1にインストールしたKylix。glibc2.1環境の場合、インストールにはパッチが必要。ボーランドは、ディストリビュータ各社にパッチの提供を呼びかけていくという(クリックで拡大します) |
「Kylix」はもともと開発コードネームであり、製品版では「Delphi for Linux」になるのではないかともささやかれていたが、最終的に「Borland Kylix」が正式名称となった。
KylixはWindows版のDelphiとほとんど同じ画面構成で、開発言語もDelphiと同じくPascalであるなど、DelphiユーザーならWindows環境と同じ感覚で利用できる。同社のマーケティング部部長 藤井等氏は、「Delphiと同じビジュアル開発環境を用意することにより、DelphiやVisual Basicなどを使っているWindows開発者の移行を加速させたい」と語り、開発者のLinux市場への新規参入や既存開発者の工期短縮にKylixが貢献できることを強調した。
Kylixの主な特徴としては、ソースレベルのデバッグ環境やLinux専用ネイティブコンパイラの搭載、CLX(Component Library for Cross Platform)アーキテクチャ、Apache用モジュール/CGI作成機能、データベースエンジン(MyBase)付属などがある。
CLX(クリックス)はクロスプラットフォーム開発用コンポーネントライブラリで、WindowsとLinux双方に対応したアプリケーションの開発が可能になる。
Kylixには3つの製品形態が用意される。
最上位版が「Kylix Server Developer」で、165以上のCLXコンポーネントやWebBroker(CGI作成機能など)、Apache用モジュール作成機能、Oracle/DB2用ネイティブドライバなど、Kylixの全機能を装備する。価格は1999ドルで2001年第1四半期出荷予定。
「Kylix Desktop Developer」は130以上のCLXコンポーネントやMyBaseデータベースエンジン、InterBase/MySQL用ドライバなどの機能がある。価格は999ドルで同じく2001年第1四半期出荷予定。
「Kylix Open Edition」の機能はさらに制限されているが、ビジュアル開発環境やネイティブコードコンパイラ、ソースレベルデバッガ、CLXコンポーネントなど、Kylixの特徴をなす機能はすべて備えている。GPLに従ったオープンソース開発専用バージョンであり、同社より無償でダウンロード可能(パッケージ版は99ドル)。公開(出荷)は2001年半ばの予定。
ちなみに、公式発言ではなかったため具体名を挙げるのは控えるが、Kylixの後にも同社人気製品のLinux版を出す計画が進んでいるという。開発環境の老舗である同社は、Linux市場においても重要な役割を果たすことになりそうだ。
なお、Kylixについては、後ほどLinux Squareにて詳しく紹介する予定だ。
(編集局 中澤勇)
[関連リンク]
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