エンタープライズの次はスモールビジネス、
マイクロソフトがSBS 2000を発表

2001/3/7

 マイクロソフトは3月6日、同社のサーバ・アプリケーション群をまとめ、中小企業向けに再構成したパッケージ製品「Microsoft Small Business Server 2000」(以下、SBS 2000)を4月12日に発売すると発表した。

 SBS 2000は、同社の販売するサーバ製品である「Windows 2000 Server」「Exchange 2000 Server」「SQL Server 2000」「Internet Security and Acceleration Server 2000」を組み合わせたものに、オリジナルアプリケーション「共有FAXサービス」や専用の管理コンソールを加えたパッケージ製品の最新版。専任のネットワーク管理者のいないような中小規模の企業での使用を想定しており、導入や運用が容易に行えるように開発した点が特徴である。同製品の導入すれば、ファイル/プリンタ共有、FAX共有、インターネット接続、電子メールといったネットワークシステムでの一般的な機能がまとめて実現できる。

GroupBoardの画面 (クリックで拡大)

 同社では、初回5000本限定の特典として、「bパワーアップキット」(“b”は“スモールビジネス”と読む)を無償提供するキャンペーンを実施する。bパワーアップキットには、「Microsoft GroupBoard 1.0」「ExLook 2000 for Small Business Server 2000」の2つのオリジナル・アプリケーションのほか、アンチウイルスソフトが無償で購入可能なクーポン券(「Norton AntiVirus for Small Business Server」か「トレンドマイクロ・ウイルス対策キット for Microsoft Small Business Server」のいずれかを選択)が含まれる。

 GroupBoardは、近年市場が拡大しつつあるWebグループウェア製品で、電子メール、予定表、掲示板といった機能がWebブラウザから容易に利用できるもの。日本独自開発の完全オリジナル・アプリケーションだという。ExLookは、インターネットアクセスに対応した携帯電話やPHSからExchange 2000 Serverへのアクセス機能を提供するゲートウェイ製品。ExLookを利用することにより、携帯電話からExchange上のメールやアドレス帳などの参照が可能になる。同社では、キャンペーン終了後も、GroupBoardに関しては、Exchange 2000 Serverへのバンドルという形で提供していくという(製品単体での販売は未定)。

 従来製品の「SBS 4.5」と比べ大きく強化されたポイントは、SIなどのシステム業者がユーザー企業へのSBSの導入・運用を行う際に必要な各種監視機能を充実した点。導入・運用が容易だと言いつつも、ユーザー企業にとって本業ではないシステム管理をすべて自前で行うのは困難だ。多くの場合、システム構築や運用管理は専門業者に依頼することになると思われる。SBS 2000では、サーバのステータスを定期的にレポートする機能のほか、HDDの空き容量がしきい値を超えた場合に警告を発する「ヘルスモニタ 2.1」、「ターミナルサービス」で外部からサーバのコンソールを直接操作できるなど、リモート監視に必要な機能がひととおり揃っている。また、マイクロソフトでは、従業員100名以下、PC50台までの環境をもつ企業を“スモールビジネス”企業と位置付け、この市場を対象にした「スモールビジネス事業部」を設置した。同事業部では、各種イベントを開催し、中小規模事業者へのSBS導入を推進する啓蒙活動を行うほか、SBSを組み合わせたソリューションを提供するSIなどのパートナー企業への支援を積極的に行っていくことも発表している。

 これまでマイクロソフトからはSBSの販売本数についての正式発表は行われていないが、日本市場への浸透はあまり芳しくなかったと言われている。これについて、同社 代表取締役社長の阿多親市氏は「中小企業にはシステム専任者がいないこと、インストールだけでは終わらず運用についても引き続きサポートしていく必要があること」と原因を分析したという。そのためにパートナーやベンダーとの関係をより強化し、ユーザーにはSBS導入による具体的なメリットをアピールしていくと、今後の展開について語った。専門の事業部を設置し、パートナー向けの支援機能の強化で、潜在的需要の高い中小企業市場への浸透を図る。

 SBS 2000の5クライアント・アクセス・ライセンス(CAL)付きパッケージは28万7000円。最大50CALまでの追加が可能で、それ以上のユーザーからのアクセスに対応するにはBackOffice Server 2000へのアップグレードを行う必要がある。

(編集部 鈴木淳也)

[関連リンク]
スモールビジネス市場への取り組み
Small Business Server 2000
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