「事業として勝ちぬく戦略が必要」、IT事業強化を図る三菱

2001/4/13

 三菱電機は4月12日、総合的なIT事業に対応するため、同社情報システム・サービス事業本部を再編したことを明らかにした。また、この体制変革に伴い、新会社「三菱電機インフォメーションシステムズ」と「三菱電機インフォメーションテクノロジー」を設立したことも発表した。

「時代の波に乗れば、再生・新生できるはず」と野間口氏。2000年8月に発足した再編プロジェクトにが発足、途中から参画した野間口氏は積極的にかかわったという

 これまで同社では、コンピューター事業に関しては情報システム事業本部が、ネットワーク・サービス関連事業に関してはインフォメーション・ネットワーク事業推進本部下の子会社(三菱電機情報ネットワークやトラフィック・ワン・コミュニケーションズなど)が担当してきた。今回の組織再編により、この2部門が本社に新しく設置する「インフォメーションシステム事業推進本部」に統合され、同本部下に関連会社として新会社2社を含む9社を置いた。

 新体制では、本社では企画・立案、他本部との連携、他社とのアライアンスなど、基本的な戦略の設計を担当する。それ以外の細かい部分は関連会社が担当する。「三菱のIT戦略の核となり、ポータル的にソリューションを発表する」と新事業本部部長に就任した専務取締役 野間口有氏。三菱ではグループ全体で情報技術関連に注力していく構えで、IT関連事業の強化・拡大と基幹事業の収益力強化を図る。特に、同社が得意とする衛星関連、半導体、セキュリティなどに重点投入し、家電や自動車機器など幅広い分野を持つ強みを活かしたソリューションを提供するという。

 本社は、新事業本部下の9社の持ち株会社となってはいない。環境の変化に対し、速やかに意思決定し実行するためには分社化が最善の策だと判断したという。

 同本部は1998年、1999年と2年連続で赤字を計上した。情報技術関連は成長市場、同社にとってこの赤字の持つ意味は大きい。これまでも手を打たなかったわけではなく、組織改革を行ってきた。黒字転換への対策は「人員の効率化、組織の簡素化、事業内容の見なおし」と野間口氏。同社の情報システム事業が振るわない理由を「技術力は問題ない。事業として勝ちぬく戦略が欠けている」と分析した。

 新会社の社長にはそれぞれ、三菱電機インフォメーションシステムズには笠井鯉太郎氏、三菱電機インフォメーションテクノロジーには松山功武氏が就任した。

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