[データウェアハウス&CRM EXPO開催]
今年の主役はCRM
2001/6/28
6月27日〜29日の3日間、東京国際展示場(東京ビッグサイト)において、「第6回データウェアハウス&CRM EXPO」が開催されている。
このイベントは昨年までは「データウェアハウスEXPO」という名称だったが、昨年から「e-CRM」ソリューションが登場したことを受けてか、「CRM」が追加された。
■主流はCRMソリューション
しかし、本来“データウェアハウス”と“CRM”は、まったくジャンルの異なる概念だけに、ショウの性格もさま変わりの感がある。CTIから顧客管理系、SFA、Webマーケティング、企業ポータル管理、果てはナレッジマネージメントまで幅広い製品とソリューションが出展されていた。出展者も、ハードウェアメーカー、ソフトウェアメーカーだけでなく、システムインテグレーター、ITコンサルタント、コールセンター代行業者など、賑やかなイベントとなった。
会場入り口に巨大なブースを設けていたのは、日本IBM(写真1)。BI(ビジネスインテリジェンス)というタームを前面に押し出し、顧客接点からマーケティング戦略までのトータルソリューションを強調していた。
(写真1)IBMのブース | (写真2)共同でブースを構えた日本ユニシスとマイクロソフト |
日本ユニシスとマイクロソフトは、共同ブースの形で出展し、日本ユニシスのエンタープライズサーバ「Unisys e-@ction Enterprise SErver ES7000」にマイクロソフトの「Microsoft Windows 2000 Datacenter Server」を搭載したシステムの上で「SQL Server 2000 Enterprise Edition」を稼働させ、Excel2002やWebブラウザから、データ分析を簡便に行うといったデモを実演した(写真2)。
(写真3)人気のあるSASのブース | (写真4)新製品をアピールするSPSS |
データウェアハウス利用とeCRMの火付け役ともなったデータマイニング関係では、業界の雄SASインスティチュートジャパンは、ブースはこじんまりだが人気は相変わらず。去年から引き続いて「e-Intelligence」を唱え、トータルソリューションを訴えた(写真3)。対抗勢力のエス・ピー・エス・エスも新製品Clementine6を積極的にアピールしていた(写真4)。
データウェアハウス製品関連では、日本NCRのブースが「Teradata」の豊富な事例を背景に人気を集めていたのが目立つ。
変わったところでは、国際航業の「Business GeoIntelligence」サービス。「国勢調査」「事業所・企業統計」といったデータと顧客企業が持つデータを比較しつつ、地図上に表示することができるもの。エリア内の顧客開拓の可能性、出店や新規進出テリトリーの選定などに利用できる。サービスの提供方法は複数用意されているが、Webで公開されている「WEBサイトサービス」は簡単な利用であれば無料で、報告書などの作成を行った場合も数千円からという。
■テキストマイニングに注目
データマイニングの世界では、商品名や値段、住所といった、いわゆる「定型データ」に対して分析する製品が主流だ。しかし今回の展示会では、大量の自由文書を解析して、その傾向や変化を分析する製品、いわゆるテキストマイニング分野の製品もいくつか登場している。展示会のなかからいくつか拾ってみよう。
日本電子計算の「WordMiner」は、テキスト情報をグラフ化して分析できるソフトウェア。なんといっても30万円という、この分野にしては破壊的な低価格が目につく。WordMinerは、文書を単語に分解した上でそれぞれの関係を視覚的に見ることができる。例えば、「朝食に求めることはなに?」という質問に対して、30代男性と20代女性の回答にどれだけ類似性があるか、もしくは回答者の中から類型化できそうな集団を見つけ出したり、類型化された集団の距離などが視覚的なグラフで表現される。もちろん、頻度などの基本データも取り出せる。
日本IBMの「Intelligent Navigator」は、ユーザーサポートやお客様問い合わせ窓口などに寄せられる情報を分析することを主な目的としている。例えば今月になって急激に増えた問い合わせは何か、あるいは、特定の製品名に対してどんな問い合わせが多いのか、その問い合わせの内容は何か、など、時系列と関連した問い合わせやクレームの変化。特定のクレームはどの製品が多いのか、ある製品を切り口にした問い合わせの種類を多い順に見る、といったさまざまな切り口から自由に分析可能。RS/6000で稼働し、Webブラウザから操作する。価格は480万円。
ジャストシステムの「ConceptBase Clustering」は、自由記入のアンケートを大量分析する用途などに向いているようだ。文字通り、大量の文書のなかから似ているものごとに類型化(クラスタ化)してくれる。類型化を何種類まで行うかは利用者が指定できる。ここに大きな数字を入力すれば、テキストの集合を細かく分類してくれるし、少ない数字を入力すれば、大まかに分類してくれる。類型化されたテキストの集合にはそれぞれキーワードがついており、どのキーワードが類型化に使われたのかが分かる。そのテキスト集合をさらに類型化することで、アンケートの結果からどんな傾向が読みとれるのかを効果的に知ることができたり、キーワードに表れた製品名などから、それに関連する意見をまとめて読んだりすることが簡単にできる。価格は、1サーバあたり800万円、1クライアント10万円。
ほかにも、エドベック、平和情報センターといったところが、テキストマイニングでの出展があった。
定型データを分析するCRMはいまやどのベンダーも強調しているソリューションであり、多くの企業で実践されつつある。その一方で、電話なども含む自由文書で顧客から伝えられた要求の分析はまだ手薄といえる。分析精度などに不安がないわけではないだろうが、テキストマイニングの分野は、eCRMの次のフェーズで差別化をはかるための武器として、今後注目されそうだ。
なお、東京ビッグサイトではこのイベントに並行して、「第3回データストレージEXPO」「第10回ソフトウエア開発環境展」「第4回組込みシステム開発技術展」も開催されている。
(編集局 鈴木崇、新野淳一)
[関連リンク]
第6回データウェアハウス&CRM EXPO
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