勤務中のネットの個人利用、日本でも規制へ?

2001/7/13

 企業はもとより、公共施設、教育の場でもインターネットが普及しつつある。しかし、情報が知りたいときにすぐに手に入るという便利さの影に、インターネットの普及の負の影響も出始めている。

 例えば、ポルノ関連サイトにおけるトラフィックの70%は平日の9時から17時に集中しているといわれている。この時間帯は多くの会社の勤務時間にあたる時間帯だ。ポルノサイトだけではない。株取引サイト利用の90%以上、オンラインオークションサイト利用の50%以上がこの時間帯に利用されているという。日本ガートナーグループが5月末に発表した調査結果によれば、会社でのインターネットの私的利用に対して、回答者の6割が「ある程度、必要なこと」と回答している。インターネット利用に対してガイドラインを設けている会社は56.9%、4割以上の企業が明確なガイドラインを持たないか、明示していない状況にある。

 米国では、私用メールを禁じるなどの明確なガイドラインを設定している企業は多く、規制の傾向は強い。だが日本では、ガイドラインをあいまいにしている企業が多いといえよう。 社員による私的な有害サイトへのアクセスが、個人を超えて会社に影響を与えるケースもある。例えば、レスポンスの悪化(仕事に無関係なアクセスは回線の6割を占めるといわれている)、社員の生産性低下といった問題に加え、情報の漏えいも考えられるからだ。また、“○○のサイトに××企業の社員がアクセスしている”といったひぼう・中傷的コメントが書き込まれれば、会社のイメージはダウンするだろう。 そのため、日本の企業でも明確なガイドライン設定の動きが出てくる可能性がある。

 フィルタリング・ソフトウェアのベンダ、デジタルアーツは、フィルタリング・ツールでもかなりの問題が解決できるという。フィルタリング・ツールは無用・有害と思われるコンテンツの利用を制限できるツールで、同社は「i-フィルター」を提供している。現在日本国内で、フィルタリング・ツールの開発を行っているのは同社一社で、学校などの教育の場への導入事例を多く持つ。

 現在、無用・有害なコンテンツ利用を制限するフィルタリング手法はPICS、ブラックリスト、ホワイトリスト、語句・単語ブロックの4つがあり、それぞれメリット、デメリットがある。PICSはコンテンツ製作者が発する自主規制信号を受けてブロックする手法で、信号を発していないサイトには効力はない。ブラックリストはフィルタリング会社が集めた有害サイトのデータベースとの照合で規制をかける手法。ホワイトリストは発想を転換し、閲覧を許可するサイトを設定する手法。語句・単語ブロックは、指定した語句・単語を含むサイトへのアクセスを禁じる方法。

 同社はこの4手法すべてを採用し、バランス良く精度の高いフィルタリングを実現するという。この他、時間や曜日ごとの設定、端末機を指定しての設定、ブロック解除機能などを持つ。

 これにより、無用・有害なコンテンツへのアクセスがブロックできるが、インターネットの良さはその情報量にある。特に教育の場では、生徒の「知る権利」を侵害する可能性もある。同社代表取締役社長 道具登志夫氏は、「見たくない人の目に触れることを防ぐこと、環境に応じ選択の余地を持たせることが重要」と言う。ガイドラインの設定にしろ、フィルタリング・ツールにしろ、個人が良識ある判断・行動をすれば必要ないものだ。匿名性という特徴をもつインターネットが普及するにあたり、われわれに求められているのはモラル向上といえそうだ。

(編集局 末岡洋子)

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デジタルアーツ
日本ガートナーの発表資料

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