コンパック、最大240台ものサーバを構築できるサーバブレード

2002/2/20

 コンパックコンピュータは2月19日、ブレード型IAサーバ製品「Compaq ProLiant BL e-Classシリーズ」とそのオプション機器、サーバ管理ソフトなどを発表した。発売はいずれも3月下旬から。

 ブレード型サーバとは、2Uや3Uサイズのラックのエンクロージャに、複数のサーバシステムを搭載可能にする高密度サーバ。実際には、CPUやHDD、メモリなどのシステムを「サーバブレード」と呼ぶ1枚のカードに実装し、それをラックに挿入して利用する。なお、電源やファンなどは共有化し、省電力化を実現している。

米コンパックコンピュータ インダストリスタンダードサーバ事業部 メインストリーム製品担当本部長 ポール・ミラー氏。手にもっているのが1枚のサーバブレード

 コンパックは昨年12月、「Adaptive Infrastructure(アダプティブ・インフラストラクチャ)」という同社のProLiantサーバに関連した新ビジョンを発表した。米コンパックコンピュータ インダストリスタンダードサーバ事業部 メインストリーム製品担当本部長 ポール・ミラー(Paul Miller)氏によると、「現在のように日々変化しているユーザーのビジネスに適応し、迅速、柔軟性、拡張性、コスト効率に優れたITインフラを実現する環境」を作っていくビジョンを指す。

 同社によると、アダプティブ・インフラストラクチャによって、次のようなことを実現できるという。なお、同社ではこれを「バーチャル・データセンター・アーキテクチャ」と呼んでいる。

  1. いつでもどこからでもシステムにアクセスでき、貴重な情報資源を入手、発信できる
  2. 技術革新に伴うシステム更新やリソース再配分を効率的に行うことができる
  3. リモート環境からでもシステム全体を適切に管理、運用できる

 それを実現する第1弾のハードウェア製品が、今回のブレード型IAサーバCompaq ProLiant BL e-Classシリーズとなる。BL e-ClassのBL 10eサーバブレードは、サーバ用に最適化された超低電圧Pentium IIIプロセッサ700MHz(キャッシュ 512KB)を1基搭載、メモリは標準で512MB搭載(最大1024MBまで搭載可能)、HDDは30GBを搭載している。ちなみに42Uのラックであれば、最大280サーバを稼働させることが可能という。

Compaq ProLiant BL10eとサーバブレードエンクロージャ

 Compaq ProLiant BL e-Classシリーズは、サーバブレードのハードなどの認識を自動化できるだけでなく、OSやアプリケーションなどのインストールも、対応したスクリプトを実行するだけで自動化できる。また、1枚または複数のブレードが故障した場合でも、電源を投入したまま抜き、新しいブレードと交換するだけでいい。新しいブレードを挿入した段階で、後述するサーバ管理ソフトなどにより、システムやディスクアレイ、サーバの再インストールまでが自動的に行われる。ミラー氏は、「従来なら、サーバの電源を落とし、ラックからサーバを抜き、プラグやコネクタを抜き、サーバを交換する。ここからOSなどをインストールするまで、すべて手動で行う必要があった。しかし、BL e-Classを利用することで、ほぼ自動化できる。その結果、ある作業では、自動化によって1日かかっていたものが時間単位までに減らすことができる。これは、ITスタッフの数をさらに減らすことが可能だということだ」と述べ、管理・運用コスト面でのブレードサーバの優位性を訴えた。

 サーバブレードが対応するOSは、Windows 2000 ServerとLinux。今後、Windows NTにも対応させる予定だという。同社のTrue64への対応は、具体的には検討されていないが、ミラー氏によると、「サーバブレードはIA64に対応する予定であり、その際にユーザーからの要求が多ければ検討したい」と語った。

 米ヒューレット・パッカードが推進している「HP Blade Server Alliance」についてポール・ミラー氏は、「HPの標準化は、HPの決めた規定に従い、HPが認可する。それは既存の業界標準(Industry Standard)のやり方ではない」と批判するとともに、「HPはサーバブレードのインターフェイスにCompact PCIを採用しているが、現在のような高密度なサーバには向かないし、ホットPlugに対応していないなど、限界がある」と指摘した。

 同社の今後のサーバブレードの製品ラインナップとしては、2002年第2四半期までに2プロセッサ搭載した「ProLiant BL p-Class」、2002年末までに4プロセッサを搭載した「ProLiant BL p-Class」を発売する予定だという。

 Compaq ProLiant BL e-Classシリーズと同時に、同社が発表したソフトは、サーバの設置・構築作業を省力化できるサーバ管理ソフトウェア「Rapid Deploymentパック」。同製品は、コンパックと米Altiris社とで共同開発した。Rapid Deploymentパックによって、前述したサーバの導入や障害対応時の再インストールの自動化が図れるという。サーバブレードだけではなく、同社の従来のサーバ製品の一部にも対応する。

 ブレードサーバでは、省電力や高密度を実現するためのハードの実装技術以上に、200台以上のサーバを管理するソフトウェア技術が特に重要になる。コンパックコンピュータでは、Rapid Deploymentパックのほか、今後さまざまなサーバ管理ソフトのリリースを予定すると同時に、ソフトウェア部門のさらなる強化策を現在検討しているという。

(編集局 大内 隆良)

[関連リンク]
コンパックコンピュータの発表資料(ブレード型IAサーバ)
コンパックコンピュータの発表資料(Rapid Deploymentパック)

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