[Interview]
不正侵入検知をもっとセキュリティのメジャー分野にしたい
2002/4/20
「データ・インテグリティ・アシュアランス」を提唱するトリップワイヤ・ジャパンは、イー・スリー・ネットワークス(以下、E3)とネットワークのセキュリティ分野での業務提携を発表した。E3は、三井物産の子会社で、ネットワークシステム管理ソフトウェアやサービスの販売・サポートなどを行っている企業。
データ・インテグリティ・アシュアランスとは、ワークステーション/サーバからルータ/スイッチに至るまでのネットワーク上のデータが、常に望ましい状態にあるかを監視し、情報システムの完全性を保証しようとする、トリップワイヤが提唱する考え方だ。
今回の提携では、E3の主力製品であるネットワーク管理ツールの「hp OpenView」やネットワーク設計支援ツールの「OPNET」に、トリップワイヤのシスコ製ルータ/スイッチの完全性を保証するネットワーク監視ソフトウェア「Tripwire for Routers & Switches」を組み合わせて、顧客に提案していくという。これに関連して両社では、「TEAM-ONE」(Tripwire/E3 Association for Management of Optimal Network Environment)というバーチャルカンパニーを設立し、データ・インテグリティ・アシュアランスの啓蒙活動を行う。E3では、この提携によって初年度で1億円の売り上げを目指している。
今回のトリップワイヤ・ジャパンとE3の提携の目的と背景、そして日本法人の今後の戦略などを、同社 代表取締役社長 北原真之氏に聞いた。
――今回の提携の目的は?
トリップワイヤ・ジャパン 代表取締役社長に今年1月に就任したばかりの北原氏。シマンテック取締役からの転身の理由を聞くと、「一度、魅力ある製品を持つスタートアップ企業で力を試したかった」という答えが返ってきた |
北原氏 まず、今回の提携の背景について説明したい。E3の石黒氏(同社 代表取締役)とは、私がシマンテックにいたころからの付き合いだ。当時の石黒氏は、三井物産にいて、エンタープライズ関連のビジネスでさまざまな協力をお願いした。こうした個人的な信頼があったことが、提携の背景にあった。
もちろん、個人的な関係だけで提携は成り立たない。まず、E3にとってのメリットだが、E3はこれまで、ネットワーク設計や構築ツールの「OPNET」や、ネットワーク管理ツールの「hp OpenView」などを扱っていた。これに当社の「Tripwire for Routers & Switches」を扱うことで、ネットワークの事前、運用、そして監視をワンストップで扱うことができるようになる。
そして、当社にとってのメリットだが、当社の製品を世に広めるためには、ネットワーク監視という分野を、もっと広げなければならない。現在、データセキュリティや侵入検知システム(IDS)は、セキュリティの一分野でしかない。これをもっとメジャーにする必要がある。しかし、当社でできることは限られる。そのためにも、E3との提携によって共同で啓蒙やマーケティング活動を行い、侵入検知システムやトリップワイヤの製品への知識を広げていきたいと考えた。
――両社でバーチャルカンパニーを設立するとあるが、これはどのようなものか?
北原氏 実際に会社を設立するわけではない。あくまでE3の人的リソースやノウハウと、当社のノウハウを組み合わせて、セミナーの開催やマーケティング活動などを行っていく、バーチャルな組織のことだ。また、この組織はオープンにして、他社の参加も可能としたい。
――トリップワイヤの今後の戦略として、E3のほかにも提携先を増やす考えはあるか?
北原氏 今回のE3との提携で、パートナーは6社となった。これを積極的に増やすことはない。ただし、当社の製品と、パートナーとなる企業のソリューションや製品を組み合わせ、顧客によりよい製品ソリューションを提供できるところとは組んでいきたい。その場合、バーチャルカンパニーへの参加要請もあるだろう。
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