今年度もITへの投資欲は減退気味

2002/6/27

 IT不景気とされた2001年がなんとか過ぎ去ったものの、今年になっても状況は好転しないようだ。ガートナー ジャパンが発表した最新の2002年度国内IT投資動向調査によると、伸び率はわずかにマイナス。日本企業のITへの投資意欲はいまだに復活しないようだ。

 今回同社が発表した調査結果は、同社が実施している年2回のユーザー調査から複数の調査結果をまとめて分析したもの。分析を行ったのは同社 ITデマンド調査室 主席アナリスト 片山博之氏。調査期間は今年2月15日から3月20日で、対象企業は50人以下の小規模企業を除いた国内1230社で、回答者はIS部門の管理者となっている。

 同調査によると、2001年と比較して2002年度のIT予算を「減少予定」と回答した企業の割合は27.6%となり、「増加予定」と回答した企業の割合(27.6%)を上回る結果となった。特に、「20%以上増加予定」の企業は前回から半減している。残りの43.2%は「変化なし」と回答。ちなみに、前回(2001年3月実施)の調査では、「増加予定」は41.3%、「減少予定」は20%となっていた。

 投資対象をセグメント別に見ると、減少したのはハードウェア関連と人件費などで、増加したのはソフトウェア関連、外部委託費、ネットワークなど。ソフトウェア関連の増減率が6.4%で最も高かったのに対し、ハードウェア関連は−3.5%。だが、全ハードウェアがマイナスというわけではない。内訳では、UNIXサーバやPCサーバ、ストレージは増加傾向にあり、ガートナーでは、「ハードウェアそのものへの購入意欲が減ったわけではなく、その価格性能比の劇的な向上が影響を与えている」と分析している。

 同社では、アプリケーション/ソリューションごとの投資状況も合わせて発表した。それによると、高い関心が寄せられているのは、Webアプリケーションサーバ、EIP、データウェアハウスの3分野。これらを利用中/導入中、あるいは新規利用予定とする企業が目立つ結果となった。アプリケーションサーバは約30%の企業が利用中/導入中と回答、今後3年以内に導入率は43%と過半数近くに達する見込みだ。これら、インフラ系アプリケーション、あるいはソリューションへの高い需要が浮き彫りになったことについて、同社では、「大量に蓄積されたデータの有効活用」「インターネット技術の有効活用」と2つの理由を挙げている。

 ビジネスアプリケーション系では、CRMは利用中/導入中が7.3%、1年以内に利用予定が2.7%で、ERPは利用中/導入中が17.5%、1年以内に利用予定が1.4%と、実際の市場は、ベンダのもくろみほどは盛り上がっていない。新しいeラーニング分野に関しても、利用中/導入中が5.1%、1年以内に利用予定が1.8%と、ブームはまだまだ先といえそうだ。興味深いのはASP。景気低迷という時代背景を顕著に表し、導入予定と回答する企業は12.6%となっている。

(編集局 末岡洋子)

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ガートナー ジャパン

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