Googleに対抗、課金型の新検索サービスが来年にも上陸
2002/6/28
インターネットの進化を支えるサービスの1つが検索技術。優れた検索エンジンなしにはインターネットそのものの使い勝手は向上しないし、サイト内においても検索機能は不可欠なものとなった。その検索サービス、ヤフー!からGoogleと複数あるが、ほかのインターネットサービスがそうであるように、この分野においてもこれといった確定的ビジネスモデルはいまのところない。1997年に進出した米オーバーチュア(旧社名:GoTo.com)は有料の検索サービス。厳しい経済環境下においても、売上高を着実に伸ばしている数少ないインターネット企業だ。1990年代中ごろのドットコムブームは過ぎ去ったが、インターネットでビジネスをする試行錯誤はまだ続いている。
米オーバーチュア 社長兼CEO テッド・マイゼル氏 「社名の“overture”とは、導入や前置きを意味する言葉。日本語の“オバチャン”と響きは似ているが……(笑)」 |
日本法人を2002年1月に設立し、来月より本格的に活動を開始するオーバーチュアは、自社のサービスを「スポンサード・サーチ・サービス」と呼んでいる。インターネットでサーチをするユーザーは、製品/サービス情報かその他の一般情報かのどちらかを探すことになるが、同社は前者にターゲットを絞り、企業の効果的なオンラインマーケティングの展開を支援する。
仕組みは、企業が同社に登録し、キーワードを選択し検索結果として表示されるタイトルと説明文を作成する。これにより、ユーザーが関連するキーワードで検索すると、自社の製品やサービスに関するページに誘導できる、というものだ。オーバーチュアはクリックに応じて企業に課金する。同社はISP、ポータル、コンテンツサイトなどと提携しているため、同社のサイトに訪れるユーザー以外に提携先のサイトで検索を行うユーザーにもアピールできる。実際、クリックの95%が同社以外のサイトからという。
「インターネット上でサーチするユーザーはすでに見込み客。この顧客に適切な情報を提供するという“Pull(引き)”のアクションだけでカスタマを獲得できる」と同社 社長長兼CEO テッド・マイゼル(Ted Meisl)氏は語る。
同氏は同社が成功を収めている理由として、検索の正確さ(高品質)と収益性を挙げる。これまでのリスト表示やランキングなどの仕組みでは、必ずしもユーザーの入力したキーワードに対して正確なページを表示できていなかった。だが、登録企業が自らキーワードやタイトル、説明文を作成し、さらには同社の編集スタッフがチェックしてふるいにかけることにより、質の高い検索機能を提供できるという。収益に関しては、これまでの検索=無償という概念があったが、ビジネスモデルとしては疑いの目が向けられてきた。今回、この固定概念を打ち破り、企業側に課金することで解決する。
画面例 (クリックで拡大) |
実際、同社のビジネスでユニークなのは課金で、入札制度をとっている。入札価格が高い順に表示されるため、必然的に競争の激しいビジネス(サーチされることの多いビジネスともいえる)では高額となり、市場のルールに合っているといえる。「企業(広告主)は漠然と新聞や雑誌などに多大な費用を投じるよりも、少額からはじめられる成功報酬型のダイレクト・マーケティングの方が効果は高いと評判だ」とマイゼル氏。「ISPなどのパートナー、一般ユーザー、広告主、すべてにメリットがある仕組み」と続ける。
検索エンジンというと、日本語サービス開始によりさらにポピュラーになったGoogleがあるが、Googleも米国で同様のサービスを開始している。「Googleは自社のサイトに呼び込む仕組み。オーバーチュアは、パートナーシップ戦略と先行して開始した経験とが強み」とマイゼル氏は語り、競合に打ち勝つ意欲を見せる。
現在、広告主は6万社、クリック数は今年度第1四半期のみで約5.9億件あったという。平均入札価格も上がっており、今年度第1四半期は24ドル。日本でのサービス開始予定は来年第1四半期。すでにNTT-Xの「goo」、ライコスジャパンと提携しており、サービス開始までにさらに数社と提携したいという。
(編集局 末岡洋子)
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