初の広報業務支援ソフトが電通PRから

2002/7/12

 企業活動を見渡してみてIT化が遅れている部門の1つに、広報がある。営業や経理などには業務に特化したソフトウェアがあるが、広報業務を支援するITの仕組みというのはあまり聞かない。広報のプロ、電通パブリック リレーションズはこの分野のIT化に挑戦し、2年の開発期間をかけて7月11日、「ePRNavigator」を発表した。7月15日より販売を開始し、ASP形式で提供する。 「40年のパブリックリレーションの経験と実績を生かしたソフトウェア」と、同社 代表取締役社長 岩本一彦氏は自信を見せる。現在、同ソフトウェアのビジネスモデル特許も出願中だ。

電通パブリック リレーションズ 代表取締役社長 岩本一彦氏

 ePRNavigatorは、広報活動に関連する情報の一元化、外部メディアや株主への情報発信や質問への回答など、広報の基本的活動を支援するソフトウェア。現状の広報部門の抱える、生産性の向上、効率的な情報共有の促進、データに基づいた科学的アプローチ、業務ノウハウやスキルの維持・向上、といった課題を、データベース化、システム化、ネットワーク化の3つのアプローチで解決を試みたという。

 基本的な機能としては、応対メモ、活動記録、プレスリリース、記事クリップ、メディアリストなどがあり、関連情報をリンク付けして管理することが可能。例えば、応対メモでは、相手がどのようにコンタクトをとってきたのか(電話か電子メールか社内メモか、など)、対応済みか未対応か、だれが・いつ対応したのかなどが、瞬時に把握できる。項目に応じて並べ替えもできるため、未対応のものから表示したり、日付順に表示することもできる。また、スケジュール管理のためのカレンダーでは、入力情報が自動的に反映・表示される。

 セキュリティに関しては、128ビットSSLによる暗号化通信をサポートしたほか、IPアドレス制限によるアクセス制御も可能。また、同製品はASP形式で提供され、データはiDCに補完されるため、データの管理も任せられる。

 初期導入費用は、155万円+ID別初期設定費が5万円/人。月額利用料金は、ユーザー数が1〜5人の最低料金で、基本料金10万円+ID別料金2万円/人。

 クライアント側の動作環境は、IE5.5 SP2が動作するWindows。

 すでにカルビーなど数社の導入事例があり、同社では初年度で25社の獲得、6000万円程度の売り上げを目指す。

 同社 ITソリューション事業部部長 三浦健太郎氏は、広報業務の生産性アップなどの導入効果以外に、戦略的な広報活動の展開やメッセージ力のアップなどの効果が期待できると言う。「これまでの広報活動では、会社側が一方的にメッセージを発していた状態で、場合によっては社会と意識のズレがあった。広報活動の結果をデータ化し分析できることから、意識のギャップを埋めていけるのではないか」と、プロならではの洞察を述べ、企業のほか地方自治体などの団体もターゲットに展開していくとした。

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電通パブリック リレーションズ

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