[エクストリーム・プログラミング&アジャイル開発プロセスセミナー開催]
「ソフト開発は発明とコミュニケーションの協調ゲーム」とコーバーン氏
2002/9/11
ケント・ベック氏(Kent Beck) |
9月9日と10日の2日間、都内で「エクストリーム・プログラミング&アジャイル開発プロセスセミナー」が開催された。セミナーのテーマは「XP最新状況、テスト駆動開発、アジャイルソフトウェア開発、クリスタル手法」。XPの提唱者として著名なケント・ベック氏(Kent Beck)とアジャイル開発方法論の論客アリスター・コーバーン氏(Alistair Cockburn)を招き、最新のソフトウェア開発手法に関する議論を繰り広げた。
ソフトウェア開発現場の最新トレンドである「アジャイル開発プロセス」は、エクストリーム・プログラミング(XP)、スクラム(Scrum)、フィーチャ駆動型開発(FDD)、クリスタル(Crystal)、適応型ソフトウェア開発(ASD)、リーン・ソフトウェア開発(LSD)、エクストリーム・モデリング(XM)など多種多様な開発プロセスを包含した大きな流れといえる。メタボリックスの山田正樹氏によると「今後、書籍や雑誌にアジャイルをキーワードとした開発プロセスの詳細が続々と紹介されるだろう。もちろん多くの関連書籍を読むことは重要だが、実際に開発現場で使ってみなければ、実用に結びつけることはできない」ことを強調した。
アリスター・コーバーン氏(Alistair Cockburn) |
昨年も来日し、XPに関する講演を行ったスリーリバーズ インスティチュート ファウンディングディレクター ケント・ベック氏は「Lean Software development」(看板方式とソフトウェア)と題し、予想のつかない生産要求に柔軟に対応するために日本で開発されたリーン・プロダクション(看板方式)を、ソフトウェア開発モデルとして適用する方法について講演を行った。
今回が初来日となるヒューマンズ アンド テクノロジー コンサルティングフェロー アリスター・コーバーン氏の講演は、「Agile Software Development Part1・2」(『アジャイル開発方法論の流れ』と『アジャイル・ソフトウェア開発概要』)。インクリメンツやインストロペクションといったアジャイル開発の先駆けとなったものの解説、適切な粒度のインクリメンタルな開発、ローパッチサイズのプロセス、チームの反省など、アジャイル開発方法論の全体的な概要を実際のエクササイズを交えて紹介した。
コーバーン氏によるエクササイズを行う参加者たち |
エクササイズは、参加者が4〜5人のチームを作り、33日間で14ある部屋の引っ越し計画を立てる、というものと、それぞれ2〜3人で構成される2チームの片方が指示を出しながら、もう片方のチームに図を描かせるというもの。後者のケースでは、指示を出すチームが的確な要求をしなければ、図を描くチームはイメージをうまく図案化できない。また時間配分も考えなければならない。
結果的に、指示を出すチームは要求を少しずつ提出し、図を描くチームは、図を描き終わったらすぐに、要求とともに指示を出すチームに返却、図の成否を問うというやり方を行うことで、要求と結果に整合性を持たせることができるようになっていった。
これはXPを活用したソフトウェア開発の基礎を実践させようとするものだ。小規模な開発において、細かな要求の成果物を繰り返して作成することで、顧客の要件定義を的確なものにし、プロジェクトの最終段階でできるだけ、顧客の要求とのほごをなくす効果を示している。
コーバーン氏は「ソフトウェア開発は発明とコミュニケーションのゲームで、このゲームはなにより、関係者(顧客側、開発側)の相互の協力が不可欠だ」と話した。また、方法論とは水着(swimsuit)のようなものであり、用途に合わせて選択するもの(この考え方については「The Rational Edge:プロジェクトの特性に合わせた要件定義手法の選択」、を参照)と説明した。
(編集局 谷古宇浩司)
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