通信料金下落を追い風に、マルチホーミングは普及するか?

2002/9/14

「iSurfJanus-CX」。小型のデスクトップサイズ。上位機種の「iSurfJanus-RX」は1Uサイズ

 米通信機器ベンダのアンプリファイネットは中小企業向けのマルチホーミング対応アプライアンス機器「iSurfJanus-CX」を日本で10月1日に発売すると発表した。アンプリファイネットは、CXを米国などの世界市場に先駆けて日本で先行発売する。その背景には、ADSLなど広帯域通信回線の料金が下落したことで、日本でマルチホーミングが普及する可能性が高まってきたことがあるようだ。

 マルチホーミングは複数のWAN回線を接続して、同時に通信させることで付加分散し、必要な帯域を確保する技術。回線の1つにトラブルが生じても別の回線でバックアップする。WAN回線は専用線のほかに、ADSLやケーブルなど種類の異なるさまざまな回線に対応することが多い。すでに企業のVPNのほかに、VoIPやストリーミングなど、通信の停滞や切断が許されないサービスで活用されている。

アンプリファイネットのプレジデント兼CEO ポーリン・ロー・アルカー氏

 アンプリファイネットは今年8月に、3本のWAN回線に対応したCXの上位機種「iSurfJanus-RX」を68万円で発売している。今回発売するCXはRXの下位機種。CXは2つのWAN回線に接続可能で、NAT/IPマッピング、DHCPクライアント/サーバ、DNSサーバ、ロードバランスの機能が標準で利用できる。スループットは下り10Mbps、上り3Mbps。ソフトウェアオプションを使えばファイアウォール/VPNも利用可能だ。価格は31万円からで、ネットワールドを通じて販売する。初年度の販売目標は1万台。

 総務省が9月11日に発表した通信サービスの内外価格差調査によると、2002年3月の東京のADSL料金はISP料金込みで4850円。ニューヨークなどほかの都市に比べて最も低水準な料金だ。アンプリファイネットのプレジデント兼CEO ポーリン・ロー・アルカー(Pauline Lo Alker)氏はマルチホーミングについて、「日本では新しく聞く言葉だと思う。だが、これから聞く機会が増えるだろう」と述べた。通信料金の下落を追い風に、マルチホーミングは日本で急速に普及するかもしれない。

(垣内郁栄)

[関連リンク]
米アンプリファイネット
ネットワールド

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