[Interview] アップルとJavaの深い関係
2002/9/28
9月25〜27日まで3日間開催されたJavaOneに合わせ、米アップルコンピュータのWebObjects製品責任者であるJava Product Managerのアレン・デニソン(Allen Denison)氏が来日した。アプリケーションサーバ・ソフトが登場し始め、J2EEが脚光を浴び始めた当初を知る人は、アップルのWebObjectsが同市場の初期のリーダー的存在であったことを覚えているだろう。5.0から完全なJava対応となったWebObjectsを擁し、OSからハード、開発環境と文字どおりJavaプラットフォームを手に入れたアップルのJava、WebObjectsに対する意気込みを聞いた。
――(WebObjectsは5.0から完全なJava対応となったが)アップルにおいて、Javaとはそもそもどのような位置付けか?
米アップルのJava Product Managerのアレン・デニソン氏 |
デニソン氏 純粋にアップル社内に限定していえば、社内システムの多くはJavaとWebObjectsによって構築されているといっていい。例えば、人事システム、Apple Storeなどだ。オープンかつクロスプラットフォームの環境を実現できるという意味で、Javaの存在はアップルにとって非常に重要だ。
これはビジネス面のインパクトでも同じ。アップルには、OS(Mac OS X Server 10.2、およびMac OS X 10.2=Jaguar)とハードウェア(Xserve)がそろっていて、サーバ上ではOracleやSybaseといった2大データベースベンダの製品が動く。そこに開発ツールであるWebObjectsがあり、しかもこれは完全にJava対応だ。アップルが押し進めるスイッチング戦略、つまりWindowsからMacへの転換を促す材料がすべてそろったことになる。
――では、実際、どのような市場でWebObjectsを売っていこうと考えているのか。現時点でも、WebObjects+Xserveの運用実績はあるわけだが。
デニソン氏 ご存じのように、アップルが焦点を当てる市場は3つある。1つ目は教育市場、2つ目は出版、デザインなどのクリエイティブ市場、3つ目は科学技術分野。これらの市場に対しては、これからも引き続き製品を提供していこうと思っている。
――現在、アプリケーションサーバ市場では、BEAとIBMが際だって強いベンダになっている。WebObjectsも同様の製品だが、このようなJ2EEプラットフォーム市場でのアップルの最大のライバルというのはどこか。
デニソン氏 アプリケーションサーバ市場というのはとても複雑な市場で、Javaに対応したオープン環境だからこそ、基本的にどのハード上でもほとんどのアプリケーション、開発環境を動作させることができる。IBMのハードの上で(BEAの)WebLogicが動いたり、サンのマシン上で(IBMの)WebSphereが動作したり、導入企業によってさまざまなケースがある。そのため、どこをライバルとするかはとても難しい。ただ、アプリケーションの開発環境を提供するとなると、必ずOSは必要になってくる。アップルの強みはそこにある。
――サンもOSを持ち、ハードを持ち、開発環境を持っているベンダだが、アプリケーションサーバ市場では苦戦しているようだが。アップルとの類似性はないのか。
デニソン氏 他社のことについてコメントするのはできないが、確かに、この市場ではIBMとBEAのブランドが圧倒的だ。今後市場全体でふるい落としが行われるだろうが、それでも個々の製品は残っていくと思う。そこで、WebObjectsがどう生き残っていくかだが、ほかの開発ツールに比べて開発期間がとても短いという点が強みだろうか。
実際、ネクスト・ソフトウェアの時代から多くの企業顧客がWebObjectsを利用してシステム開発を行っている。基幹系システムの開発にかかわっているケースもたくさんある。3000社くらいの導入実績はあると思う。日本でも、NTT東日本/西日本や大成建設などが導入している。
――最後に、開発者がWebObjectsを選択する際の決め手を教えてほしい。
デニソン氏 コーディングを意識することなしに開発を行うことができる点だろう。完全なビジュアル開発ツールだからだ。
(編集局 谷古宇浩司)
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