競合製品も管理するシマンテックの新戦略
2002/11/7
米シマンテックの会長兼CEO ジョン・W・トンプソン(John W. Thompson)氏 |
シマンテックは11月6、7日に開催しているプライベートイベント「Symantec SecureXchange 2002」で、シマンテック製品や他社製のセキュリティソリューションを管理、監視できるソフトウェア「Symantec Security Management System」(SSMS)を2003年第1四半期に発売すると発表した。
SSMSは、シマンテックが開発した他社と相互運用が可能なフレームワーク「Symantec Enterprise Security Architecture」(SESA)を利用して構築。シマンテックが今後発売するエンタープライズ向け製品はすべてSESAを利用して構築する方針で、さまざまな製品で他社製品の管理が可能になる。シマンテックは他社製品を含むセキュリティの統合管理という新たな市場に進出したことになる。
米シマンテックの会長兼CEO ジョン・W・トンプソン(John W. Thompson)氏は「複合的な機能を持つウイルスの流行など企業のセキュリティ被害は手に負えなくなってきた」と現状を説明。「セキュリティ製品は企業にあふれているが、被害の一部分ずつに対応しているだけで、統合的な管理ができなくなっている」と指摘し、「シンプルで一元的な管理が必要だ」と述べ、他社製品を含むセキュリティシステムを管理可能にするSESAの重要性を強調した。
シマンテックが来年第1四半期に発売する予定のSSMSはセキュリティ管理のソフトウェアで、複数のベンダのセキュリティ製品が混在するシステムでも集中管理が可能になる。シマンテックは主要なシステム運用管理ソフトとSSMSが連携を図るための接続インターフェイスを開発中で、NECの「WebSAM」や日立製作所の「JP1」、富士通の「Systemwalker」、米IBMの「Tivoli Enterprise Console」と連携ができるようになるという。
11月11日に発売する「Symantec Enterprise Security Manager 5.5」もSESAを利用して開発されたソフトウェア。設定しておいたセキュリティポリシーを企業のシステムが遵守しているかどうかや、ぜい弱性をチェックして報告する。BS7799やISO17799などのセキュリティ基準に沿ったセキュリティポリシーの運用が可能になるという。シマンテックはシステムを監視して不正アクセスの兆候など疑わしい行動を報告するソフトウェア「Symantec Event Managers」(SEM)も来年の第1四半期に発売する予定。SEMではシマンテック製品はもちろん、競合のトレンドマイクロやネットワーク・アソシエイツ、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズなどのウイルス対策ソフトやファイアウォールツールからも報告を受けることができる。今後は他社のIDS(Intrusion Detection System:侵入検知システム)製品からも報告を受けることができるようインターフェイスの開発を進める。
シマンテックは、SESAを利用して他社製品を含むセキュリティシステムを管理することで、一気に対象顧客を広げる。シマンテックの代表取締役社長 成田明彦氏は新戦略について「セキュリティ対策をしている企業すべてが対象になり、市場が広がる」と述べた。シマンテックはSESAの開発を続けて、連携できるシステム運用管理ソフトや、情報を収集できる他社のセキュリティソフトを増やすという。
(垣内郁栄)
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