「社会的責任を果たす」、IBMのリサイクルサービス

2002/11/16

 日本IBMは企業のPCを引き取って、リサイクルする各種の新サービスを11月18日から順次開始すると発表した。PCのリサイクルについては2001年4月に「資源の有効な利用の促進に関する法律」(改正リサイクル法)が施行され、企業の使用済みPCを回収し再資源としてリサイクルすることがベンダの義務となった。IBMは日立製作所とリサイクルサービスのための共同センターを設立し、対応する。IBMでは「リサイクルは利潤を追求するサービスではない」としているが、産業廃棄物としてPCを処理している企業にとっては頼もしいサービスだろう。

 IBMが行う「IBMリサイクル・ソリューション・サービス」は、企業のPC利用に合わせてさまざまなメニューを用意。メニューの1つ、「PC回収リサイクル・サービス」は企業が使用したPCを引き取り、改正リサイクル法に沿った形で廃棄処理するサービス。日立と共同で設立したリサイクルセンターで作業する。PC本体とPCの周辺機器が対象。依頼した企業は引き取りから最終処理までWebサイトで処理の状況を確認することができる。企業は処理をIBMに依頼することで、自治体への廃棄後の報告が不要になるなど手間を省くことができる。

 IBMは企業のPCを買い取って、中古PCとして再び流通させる「お客様所有PC買取りサービス」も11月18日に始める。IBMが企業のPCを買い取ってデータを消去したのち、外観や内部機能をチェック。中古PCとして利用できるようならショップに卸したり、IBMと取引する企業に直接販売する。他社のPCも買い取る。中古PCとして再利用できない場合は、廃棄処理する。企業にとっては手間とコストをかけて自社で廃棄処理をする必要がなく、買い取りによる収入も期待できる。

日本IBMの環境担当 小林光男氏。IBMは“再資源化委員会”を社内に組織してリサイクルサービスを検討。「今回の発表はその集大成」だという

 IBMリサイクル・ソリューション・サービスではほかに、スペックが低く、最新のWindows OSなどが動作しない企業のPCをIBMが預かり、Linuxをインストールして返却する「PCロングライフ・サービス」も用意。Windows OSに比べて低スペックのPCでも動作するLinuxを導入することで、Webブラウズ、電子メールなどに用途を限定したPCに再生する。導入するLinuxは顧客企業がRedHat、TurboLinux、SuSEから選択できる。企業がPCを廃棄したり、売却する前にPCのハードディスクに保存されたデータを完全に消去するサービスも別に用意する。

 日本IBMの環境担当 小林光男氏はIBMの新しいソリューションについて「2002年には8万トンのPCが廃棄される予定で、産業廃棄物を埋める土地はひっ迫している」と指摘したうえで、「PCをリサイクルすることは企業の社会的責任となっている」と述べた。IBMでは企業に販売したPCの3割程度の台数が、リサイクルサービスを利用して、再資源化されると予想している。

(垣内郁栄)

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日本IBMの発表資料

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