新製品を“おまけ”にするウォッチガードの大胆戦略
2003/3/12
ウォッチガード・テクノロジーズは中小企業、SOHO向けのファイアウォール/VPN アプライアンス「Firebox S6シリーズ」を発売した。ウォッチガードは、同社の別の製品を購入した顧客に対して、新製品のFirebox S6を無料提供するなど、他社にないマーケティング手法でFirebox S6シリーズを拡販する考えだ。ウォッチガード・テクノロジーズの「Firebox S6シリーズ」 |
Firebox S6シリーズはASICベースのセキュリティ機能と、スループットが75Mbpsのファイアウォール、20MbpsのVPNに対応する製品。セキュリティ機能ではインバウンド/アウトバウンドのトラフィックについて、ポート、プロトコルでフィルタリングして、不正アクセスや情報の漏えいを防止する。Webコンテンツフィルタリングやウイルス対策にも利用できる。VPNトンネル数は6本、IPSecクライアント数は最大10で、リモートユーザーやSOHO利用者が企業のシステムに安全にアクセスできるようにする。
Firebox S6シリーズには、VPN機能対応で10ユーザーまで利用できる「Firebox S6-VPN」(13万8000円)と、同機能で50ユーザー対応の「Firebox S6-VPN」(20万8000円)、ファイアウォールアプライアンスの「Firebox S6」(9万8000円)がある。なお、Firebox S6はオプションでVPNに対応させることができる。
米ウォッチガード・テクノロジーズのマーケティング担当シニア・バイス・プレジデント ジャン・ナサー氏 |
ウォッチガードがFirebox S6シリーズの販売で最大の目玉にしたいのは、日本企業向けに独自に追加した機能だ。ユーザー・インターフェイスやマニュアルなどの日本語化はもちろん、国内にサポートセンターの電話窓口を設置し、日本語でサポートを受けられる。ソフトのアップデートやセキュリティに関する情報、テクニカルサポートなどを提供するWebページの「LiveSecurity」も日本語化した。米ウォッチガード・テクノロジーズのマーケティング担当シニア・バイス・プレジデント ジャン・ナサー(Jean Nassar)氏は、「ウォッチガードの世界での売上比率は北米・南米が44%、欧州、中東、アフリカが36%、アジア太平洋諸国が20%」と説明し、「アジア太平洋諸国の売り上げを少なくとも欧州諸国と同じにしたい。目標達成にために日本はとても重要だ」と述べて、日本重視の姿勢を強調した。
ウォッチガードは、今年6月末までにFirebox S6シリーズの上位機種に当たるFirebox 700、1000、2500、4500を購入すると10ユーザー対応のFirebox S6-VPNを無料提供するキャンペーンを実施することも明らかにした。大企業にFireboxの上位機種を購入してもらい、支社や部門でFirebox S6シリーズを使ってもらおうという作戦だ。中小企業やSOHO向けのファイアウォール/VPN アプライアンスはSonicWALLやチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズなどが続々と製品を出荷し、市場が盛り上がりつつある。アプライアンスを“おまけ”にするウォッチガードの大胆な戦略で、競争がさらに激しくなるのは確実だ。
(垣内郁栄)
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