ITサービス・ビジネス戦国時代:サンの場合
2003/5/9
米サン・マイクロシステムズExecutive Vice President Sun Services パトリシア・キャリー・スルツ(Patricia Cary Sueltz)氏(右)と日本法人サン・サポート・サービス統括本部 常務取締役担当 ジェヤ・クマー(Jeya Kumar)氏(左) |
「サン・マイクロシステムズ全体に占めるサービスビジネスの売り上げは32%、およそ35億ドルである。サービスビジネスの占める比率としては理想的な数値といえる」。新たに米サン・マイクロシステムズ Sun Services部門のトップに就任したExecutive Vice President Sun Services パトリシア・キャリー・スルツ(Patricia Cary Sueltz)氏はこう話す。サンにおけるソフトウェア開発戦略の責任者というバックグラウンドを持つ同氏にとって、従来の(サンの)サービス事業は、抜本的に改革されるものだった。
すなわち、「サンのハードウェアに限定し、しかもサンの戦略にかなった時にだけ、1回限りの修理作業を行う」(スルツ氏)が、極論すれば、これまでの(サンの)サービス・ビジネスの実態だったと話す。このような体制を刷新し、異機種混在環境を前提に、アーキテクチャの設計、アプリケーションの実装、管理といったシステム構築全般に対する包括的なサポート体制を行えるよう機構改革を実施、サービス・ビジネスで“先行”するIBM、HPを追撃する構えを整えようとしている。
自らホワイトボードを使ってSun Servicesの戦略を解説するスルツ氏 |
とはいえ、スルツ氏もサンの遺伝子(スコット・マクネリ氏の遺伝子か)を忠実にひいているとみえ、IBM、HPに対する強烈なライバル心を隠さない。「IBMやHPが推進する“サービス・ビジネス”とはすなわち、単なるアウトソーシングサービスのことである。時には、パートナー企業とバッティングする場合も大いにある。しかも、ハードからミドルウェア、アプリケーションに至るまでかなり密な状況で結合されており、柔軟性は極めて低い」(スルツ氏)。しかし、サンのサービス・ビジネスは、「顧客の要望に応じてミドルウェアやアプリケーションを自由に選択可能。統合技術はサンが提供し、実際に構築作業を展開するのはビジネスパートナー、という柔軟性を持っている」(スルツ氏)。
スルツ氏のこのような発言の中核にあるのが「Orion」と呼ばれるサーバソフトウェアのパッケージ統合プログラムである。SPARCおよびIAベースのチップ上に搭載されるSolaris(Linuxも選択可能)を基盤とし、その上で動作するアプリケーション・サーバやディレクトリ・サーバなどのミドルウェアをIBM、BEA、ノベルなど複数ベンダの製品で組み合わせ、柔軟性を持たせた。簡単に言えば、サーバソフトウェアの購入やインストール、統合、アップデートなどを簡易化するパッケージである。
サンが提供するのはあくまで(Orionに代表される)テクノロジであり、それを利用してビジネスを展開するのはビジネス・パートナーという図式こそ、同社がIBMやHPと差別化を図る点であることをスルツ氏は強調した。
(編集局 谷古宇浩司)
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