WebSphereの新コンポーネントはMS Officeキラーか
2003/5/30
日本IBMは今年第3四半期(7月〜9月)にも発表を予定している「WebSphere Portal」の次期バージョンに、「Microsoft Office」などのオフィス文書をWebブラウザだけで閲覧できる新コンポーネントを追加することを明らかにした。閲覧だけでなく、編集する機能も付く見通し。IBMでは「オフィススイートを完全に置き換える機能ではないが、社員全員がオフィススイートを持つ必要はない」としていて、文書閲覧がメインの社員向けに提供する考えを示した。
新コンポーネントは、「プロダクティビティ・コンポーネント」の名称。Internet ExplorerとNetscape、Mozillaに対応し、Microsoft OfficeがなくてもWebブラウザ上でWordやExcel、PowerPointの文書を開くことができる。JavaスクリプトとHTMLを使って、基の文書と同じレイアウトで表示可能。文書データはサーバ側に保存して、必要なデータだけをクライアントPCにダウンロードして閲覧、編集する。編集した内容はサーバ側に送信して、保存できる。
プロダクティビティ・コンポーネントは、IBMが考えるクライアントPCの将来像「Thin&Rich」に基づく機能。Thin&Richは、クライアントへの依存を極力排除して、サーバでデータやアプリケーションを集中管理する考え方。データとユーザー・インターフェイスを切り離し、ThinクライアントでもRichなインターフェイスを実現するのが基本だ。IBMでは「サーバセントリックの重要性が大きくなってきている。LinuxをクライアントPCで利用することも見据えて開発している」としている。IBMではVisual Basicで作成されたアプリケーションをJ2EEに移行させるツールも提供する予定。
日本IBMのソフトウェア事業 WebSphere事業部長 山下晶夫氏 |
IBMはまた、11業種に特化した同社「WebSphere Business Integration」用のテンプレートを順次提供すると発表した。業種別のテンプレートを適用することで、ビジネス統合を早期に実現するという。
WebSphere Business Integrationは、IBMが2002年1月に買収したクロスワールズ・ソフトウェアの製品をWebSphereと連携させたソリューション。新たに提供するテンプレートは、業界独自の業務スタイルや慣習に最適化。特定のビジネス・プロセスを自動化し、取引先や関連会社とのシステム連携をスムーズに行えるようにする。テンプレートは、自動車、金融、石油化学、エレクトロニクスなど11業種で、48のソリューションに対応する。日本IBMのソフトウェア事業 WebSphere事業部長 山下晶夫氏は「IBMの年間900以上の統合事例をフィードバックしてテンプレートを作成した」と述べ、「ビジネス・プロセスの定義、統合が非常に簡単になる」とアピールした。
(垣内郁栄)
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