新社長に聞く、「Googleで働くには?」
2003/6/13
Google日本法人の代表取締役社長に4月1日に就任した村上憲郎氏は、米国などですでに始まっているGoogleの新しい広告モデル「Content-Targeted Advertising」について、開始時期は未定としながらも「国内でやる方向で考えている」と述べ、前向きな姿勢を示した。Google日本法人は2002年9月にクリック回数によって表示位置が変わる「アドワーズ広告」を開始。検索サービスをベースに収益拡大を狙うGoogleのビジネスが国内でも本格化してきた。
Google日本法人の代表取締役社長 村上憲郎氏。ノーテルネットワークスやドーセントの日本法人で代表取締役社長を務めた |
Content-Targeted AdvertisingはGoogleが提携した一般のWebサイトにアドワーズ広告を表示する広告モデル。広告の出稿企業はGoogle以外のWebサイトにも広告を出稿できることになる。米国では、すでにいくつかの提携Webサイトが広告を掲載している。Google日本法人は、国内でもいくつかのWebサイトと提携し、日本企業の広告を表示できるようにするとみられる。
村上氏はアドワーズ広告の現状について、「順調な伸びを示している」と説明。Googleサイトからのオンライン出稿についても、「順調な伸びを示している」と述べた。広告主は数1000に達し、当初予定を上回っているという。
Googleのアドワーズ広告は、検索キーワードによって広告をポータルサイトに表示する米オーバーチュアの「スポンサードサーチ」と比較されることが多い。しかし、村上氏は、「Googleは広告も情報であると考えている。検索をいかに迅速、正確に使いやすい形で提供するかが目的で、それを支えるために広告がある。オーバーチュアとは少しポイントの置き方が違う」と述べ、「あまり競合とは思っていない」と語った。しかし、「オーバーチュアも(われわれと)近い説明をしていると思う」として、「Googleとオーバーチュアは広告業界の少数派。“盟友”であるともいえる」と述べた。
一方、村上氏はGoogleがエンタープライズ向け検索サービスとして、北米で提供しているアプライアンスについては、「国内でも問い合わせは多数もらっている。だが、日本でのアプライアンスの提供は、出す、出さないかを含めて未定」と述べた。日本法人では企業の検索サービスをホスティングするサービスをすでに提供中。外部公開用の検索サービスは日刊スポーツやワコールなどが利用している。イントラネット内で利用する検索サービスのホスティングも多数の企業に提供しているという。
Google日本法人は、パートナー担当や広告営業担当などで社員が急増している。村上氏によると、「毎週入社している」状態で、30人弱まで人員は増加した。しかし、日本法人は営業職が中心。検索エンジンやサービスの開発は現在は、米国本社で行っている。本社には、検索エンジンのコアな部分を開発している日本人のエンジニアもいるという。
世界各国の言語で検索サービスと提供しているGoogleの特性上、「エンジニアの中にネイティブに近い形で、各国語が話せる人が必要になる。体制的にも開発の当初からマルチランゲージ的な仕組みになっている」(村上氏)という。そのため日本から米国に渡ったエンジニアや、留学後にGoogleに就任したエンジニア、日本語が堪能な外国人など「日本語をネイティブレベルで話せるエンジニアがいる」という。
では、日本人エンジニアがGoogleの米国本社で働きたいと考えた場合、何が課題になるだろう。村上氏は「一番の障壁は英語。コアのエンジンを作っているエンジニアとのコミュニケーションで必要になる」と指摘した。Googleは90あまりの言語で検索サービスを提供中。社内には3カ国語以上を話す社員は普通で、最も多くの言語を操る社員は12の言語を話すという。村上氏は「日本の優秀なエンジニアがGoogleの米国本社で働いてほしいと思う」と語った。
(垣内郁栄、編集局 大内隆良)
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