オークションで掲載順序を決定、Googleの新広告

2002/9/19

 Googleの日本法人は中小規模のショップ向けにオークション型の新広告「アドワーズ広告」を日本で本格的に始めると発表した。広告が表示された段階ではなく、ユーザーが広告をクリックした段階で広告費が発生するクリック保証型に、広告主の入札によって広告が表示される位置が変わる要素を組み合わせた点が特徴。

米Googleのワールドワイドセールス&フィールドオペレーション担当 上級副社長 オミッド・コーデスタニ氏は、「今後もアドワーズ広告を掲載するポータルを増やし、広告の効果を最大限伸ばす」と述べた

 米Googleのワールドワイドセールス&フィールドオペレーション担当 上級副社長 オミッド・コーデスタニ(Omid Kordestani)氏は「ユーザーはキーワード検索で関連のある広告を見ることができ、広告主は高い投資対効果が期待できる」と、アドワーズ広告のメリットを強調した。

 アドワーズ広告は、Googleで検索した際に、検索結果画面の右側に、検索したキーワードに関連する複数の広告が縦に表示されるテキスト広告。広告主は広告を出稿する段階で、どのキーワードで広告を表示させるかを設定する。ほかの企業が同じキーワードで広告を出稿している場合、ユーザーが1回クリックするごとに企業がGoogleに支払うクリック単価と、ユーザーのクリック率によって計算されるスコアにより、広告が表示される順番が変わる(画面)。

 例えば、A社が1クリック当たり200円まで支払うと設定した場合、クリック率が2%だと、200×2%でスコアは4となる。B社がクリック単価を150円、クリック率を同じ2%とした場合はスコアが3(150×2%)となり、スコアの高いA社の広告がページの上位に表示されることになる。B社の実際のクリック単価は、Googleがキーワードごとに定める最低クリック単価となり、A社は最低クリック単価に1円を追加した価格となる。最低クリック単価は平均で100円前後。“自動車保険”などクリック率が高いキーワードだと200円程度になるという。

画面の右側に表示されているのがGoogleのアドワード広告。クリック単価とクリック率で掲載の順序が変わる(画面をクリックすると拡大表示されます)

 アドワーズ広告はページの上位に表示される方がユーザーの注意を引き、有効だ。自社のアドワード広告をページの上位に表示させるには、クリック単価の上限を上げるか、ユーザーの目を引く広告になるようテキストを工夫することが重要になる。広告のクリック率が0.5%を下回ると表示されなくなってしまうので、テキストを変更するなどの対策が必要になる。広告主は専用のサイトで自社広告を編集することができる。1日当たりの広告費をあらかじめ設定しておき、広告出稿を自動で調整することも可能だ。

 アドワード広告は日本のGoogleサイトですでに2カ月前から試験的に行っている。中小企業のショップなどを中心に数百社が利用しているという。Google日本法人のセールス&オペレーション・ディレクター 佐藤康夫氏は、「オークション課金に慣れない顧客からは戸惑いも聞かれるが、全般的に好評だ。1社当たりの月額広告費は平均して7万5000円以下」と説明した。

 Googleは本格展開に合わせて、ポータルサイトのBIGLOBE、Exciteにアドワーズ広告を提供。さらに、ヤフー・ジャパンなど別のパートナーにもアドワーズ広告を提供していく考えだ。

 Googleはまた、来年初めにもイントラネット内のデータを検索できる、Googleエンジンを搭載した1Uサイズのアプライアンス「Google・サーチ・アプライアンス」を日本で発売することも明らかにした。全体を黄色に塗装したアプライアンスで、10万円前後で発売するという。

 Googleは昨年10月から大企業向けに検索結果の最上位にテキスト広告が表示する「プレミアム・スポンサーシップ広告」を始めている。今回のアドワーズ広告で、すべての規模の企業を対象に広告商品を提供できるようになる。日本ではポップアップ広告など既存の広告がユーザーの支持を集めにくくなってきているだけに、オークションによって広告費が決まるGoogleの新ビジネスは広告業界全体の注目を集めそうだ。

[関連リンク]
Googleのアドワーズ広告サイト

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