CRM市場をリードするコンサルティングファーム

2003/7/11

キャップジェミニ・アーンスト&ヤングの代表取締役社長 印藤公洋氏

 コンサルティングファームのキャップジェミニ・アーンスト&ヤング(CGE&Y)は7月1日付けで、日本IBM出身の印藤公洋氏を代表取締役社長に迎えたと発表した。CGE&Yは国内では企業と協力し、経営支援やビジネスプロセスを効率化させるコンサルティングサービスの売上比率が高い。印藤氏は、「今後はシステムのアーキテクチャやソリューション最適化、インテグレーションなどのテクノロジサービスに特に注力したい」と方針を説明した。

 CGE&Yは米国を主な拠点にしていたアーンスト&ヤングと、欧州での活動が中心だったキャップジェミニが2000年5月に合併。キャップジェミニがトップ層への経営支援などが得意だったのに対し、アーンスト&ヤングはIT関連のコンサルティングに力を入れていた。合併したことで「あらゆる顧客の需要にこたえられるようになった」という。

 CGE&Yが手がけるのは、同社の区分によるとビジネスの変革を助けたり、業務プロセス効率化を支援する「コンサルティング」と、ITシステムのアーキテクチャをデザインしたり、インテグレーション、ネットワークを構築する「テクノロジー」、人事、経理などの業務プロセスや、ネットワークの運用管理などを外部委託する「アウトソーシング」の3種。印藤氏によると、2002年の売上比率は、テクノロジサービスが42%で最も高い。コンサルティングサービスが25%、アウトソーシングサービスが27%でほぼ並んでいる。最近はアウトソーシングが伸びているという。

 ワールドワイドでテクノロジサービスの売上比率が高いのに対し、国内ではコンサルティングサービスの比率が高いという。印藤氏の仕事はテクノロジーサービスの比率を高めて、ワールドワイドに近づけること。これまでグローバル展開する企業などに限ってきたシステム開発やインフラ構築のサービスを、日本でのビジネス展開を考える海外企業や、海外進出を計画する日本企業などに広げる。アウトソーシングサービスの比率も高める考えで、印藤氏は「これまでは頭でっかちだった。手足をしっかりさせたい」と述べた。

 印藤氏は前職の日本IBMではeビジネス・ソリューション担当兼アジアパシフィックeビジネス担当ディレクターで、ERPの構築なども経験した。その印藤氏から見るとERPは、「グローバルに見ると行き届いている。コアのERPパッケージではなく、そこから派生するアプリケーションが売れている状況」だという。しかし、日本では「入っていない企業が多い」といい、「中堅企業などコアのERPパッケージがまだまだ伸びる。非常に大きいマーケットがある」と市場拡大の期待を示した。

 また、印藤氏は国内のCRM市場について、「市場そのものがこれから」と指摘。「第1次のCRMはコールセンターを作るだけだった。多くの企業はその後、顧客と接点を持つプロセスをCRMを使って変えていこうとしていたが、ITバブルの崩壊で中断した。CRMへの投資はこれから再び行われるだろう。そういう波をリードしていきたい」と述べた。

(垣内郁栄)

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