BPOが実現する究極のアウトソーシング

2002/12/14

 企業が、システム運用や経理、人事、営業などコアビジネス以外の業務を専門企業に委託して、経営資源の集中とコスト削減を実現するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)が注目を集めている。欧米では普及が進み、国内での広がりも予想される。だが本格的な活用には難しさもあるようだ。

ベリングポイントのマネージングディレクター 坂井賢二氏

 ベリングポイントのマネージングディレクター 坂井賢二氏は、ブリッジインターナショナルが主催したBPOセミナーで講演。国内企業の現状について「今まで人材派遣会社を使っていた企業がアウトソーシングに切り替えている」と説明した。坂井氏によると欧米では、よりBPOが進んでいて、管理業務や人事、サプライチェーンマネジメント、会計、カスタマケアなどに広く利用されているという。国内でも金融・保険、製造、通信などの各企業でアウトソーシングの利用比率が上がっているという。

 坂井氏は、将来のBPOについて「テクノロジだけを強調したアウトソースは困難になる」と指摘。「ダイナミックに顧客企業をマネジメントできるよう、アウトソーシング企業にはマネージドサービスのフィールドが求められる」と述べた。アウトソーシング企業には、テクノロジに加えて、財務、経理、総務、人事などのビジネスプロセスと、企業をマネジメントする戦略が必要だというのだ。坂井氏は「これからのBPOは、より広範囲でかつ、企業の根幹となるシステムを統合的にマネジメントできる機能が求められる」と述べた。アウトソーシングを依頼する企業と、依頼を受けるアウトソーシング企業が「お互いの価値を交換できるような関係になる」のが理想だという。

 究極のBPOの形の1つは、企業の意思決定部門だけを残し、ほかの業務はすべてアウトソーシングすることだ。間接部門をなくすことで極限までコストを下げることはもちろん、経理部門なら手間のかかる財務諸表や経営管理レポートの作成をアウトソーシングして、経理情報の有効活用に専念することができる。アウトソーシングをうまく使うことで、「それぞれの部門が本来の経験、スキルの向上に集中できる」と坂井氏は説明する。

 ただ、BPOを推進することには問題もある。経理部門の財務諸表や経営管理レポートの作成をアウトソーシングすると、企業の意思決定部門は、外部企業が作成した資料を基に、意思決定をすることになる。社内の重要なリソースを外部の企業が握ることになり、坂井氏は「コミュニケーションをどうするかが重要」と、BPOの難しさを指摘した。システム運用をアウトソーシングする場合でも、重要なデータが外部企業に渡ることになり、セキュリティ面での心配も残る。BPOを利用する場合は、どの業務で、どの程度までアウトソーシングするのか、コストがどの程度かかるのか、フィードバックがどのようにされるのかなどを明確にすることが重要で、BPOを妄信すると「投資に見合うリターンが得られない」と坂井氏は注意を促した。

(垣内郁栄)

 

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ベリングポイント
ブリッジインターナショナル

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