[caworld 2003開催]
システムの混沌を秩序に変え、制御するには
2003/7/16
Webサービスを含むWebシステム環境の運用管理を考えるとき、企業のCIOが頭を抱える問題は、多階層に渡るWebアプリケーションのトランザクションのパフォーマンスをいかに把握し、測定するかだろう。また、障害を予測し、解析し、解決するためにWebシステムのインフラストラクチャに存在する全レイヤを縦横無尽にモニターしておく必要もある。次世代の企業システムの姿は1社限定の閉じたシステムではなく、不特定多数の企業間とリアルタイムに情報の流通を行う有機的なシステム群の中の1つとして機能することになる。システムの“管理”という概念およびその具体的なソリューションは、導入されるべくして導入されるに違いない。
米コンピュータ・アソシエイツ(CA)が7月14日(現地時間)、caworld 2003の会場で発表した「Unicenter Web Services Distributed Management(WSDM)」は、Webサービスを含むWebシステム全体のポートフォリオをモニタリングし、“最適な”パフォーマンスを維持する管理ソリューションである。Webサービスのネットワークレイヤとアプリケーションサーバレイヤを重点的にモニタリングする。.NETフレームワーク向けとJ2EE向けの2バージョンがあり、J2EE向けではBEAシステムズのWebLogicとIBMのWebSphereに対応している。
米コンピュータ・アソシエイツ Vice PresidentのDmitri Tcherevik氏 |
Webシステムの管理ソリューションでは、HPのOpenViewやIBMのTivoliに代表されるように、すでに多くの製品が競合している。CAのVice PresidentのDmitri Tcherevik氏は、CAの強みについて「サードパーティのアプリケーションに柔軟に対応できる点」とし、ハードウェアやミドルウェアのプラットフォームを持たないことで柔軟性に富むと強調した。実際、同社のUnicenterシリーズが企業システムの管理ソフトとして登場したのは、TivoliやOpenViewより早い。アプリケーションおよびシステムの自動管理という概念の具体化は、Unicenterが最初とする声もある。
CAではUnicenter WSDMと同時にWebサービスソリューションとして、「eTrust Directory release4.1」も発表している。同社では、大規模システム向けのディレクトリ製品としてUDDIを組み込んだ最初の製品と胸を張る。
■“水中音波探知装置”を自社ソリューションに
CAにとって、システムの“マネジメント(管理)”は、製品戦略上の要(かなめ)となる概念である。同社が提唱するオンデマンド・コンピューティングとはシステムを“管理”することで、コンピューティング・リソースを効率的に利用可能にする構想を指しており、同社のすべての製品は、この構想に沿って開発、リリースされている。それは、メインフレームからクライアント/サーバ、Webへとコンピューティング・システムのパラダイムが変化し続けても変わることではない。プラットフォーム・フリーを標榜する同社にとっては、まさにあらゆるコンピューティング・リソースを“管理”するソリューションを提供することこそが強みとなる。会長兼CEOのサンジェイ・クマー(Sanjay Kumar)氏は、「オンデマンド・コンピューティングの核はマネジメント・ソリューションであり、ハードウェアやビジネス・アプリケーション、OSといった個々のコンポーネントの問題ではない。重要なのは、システムのコンポーネントを統合的に管理することである」と述べ、自社の強みをアピールしている。
7月14日に同社が発表したコードネーム「Sonar」と呼ばれるテクノロジがある。UnicenterやeTrust、BrightStorなどに組み込まれる新技術で、ネットワーク上のトラフィックを監視し、アプリケーションの稼働状態をコントロールする。CAにとってすべての製品は、“混沌を秩序に変え、制御する”思想なしに存在しえないようだ。
(編集局 谷古宇浩司)
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