鈴鹿8耐を彩った無線LAN
2003/8/12
国内二輪レースの大イベント「鈴鹿8時間耐久ロードレース」が、7月31日〜8月3日に鈴鹿サーキットで開催された。鈴鹿の8耐は、真夏の炎天下で延々8時間に渡ってスピードを競い合う過酷なレース。全国から集まったレースファンは、レース本番前から、前夜祭やスペシャルレースを観戦したり、会場に立ち並ぶブースのイベントに参加したりで、毎年多いに盛り上がる。
出場者側からの要望にこたえ、ピット内にも無線LAN環境を設置。TEAM京都デザイン専門学校は、「チームつかもと」提供のウェアラブルPCと無線LANを利用し、情報データを共有した。鈴鹿から提供されるラップタイムが無線LAN経由でチーム内サーバに転送されると必要な情報に加工され、装着したヘッドマウントディスプレイに表示される |
その8耐で今年、インテル、日本ヒューレット・パッカード、マイクロソフトの3社がITを利用したデモなどを共同で行った。3社はITを利用した新しいレース観戦の形態などをアピールした。具体的には、3社は次のようなデモやサービスを披露した。
- サーキット会場にITブースを設置、最新技術のデモンストレーション
- 最新のストリーミング配信プラットフォーム
- サーキット内での無線LAN環境&インターネットアクセス
昨年の鈴鹿8時間耐久ロードレースで初めて映像配信サービスを行ったが、今年はコンテンツをさらに充実させた。例えば、常にトップを走る車両の映像を提供する「スイッチング映像」や、通常あまりTVなどで放映される機会が少ないピット内の映像「スペシャルエディット映像」などのストリーミング映像を配信した。ストリーミングの映像は鈴鹿サーキット内でも無線LAN(IEEE802.11b)を利用して配信され、観客席に無線LAN対応のノートPCを持ち込むことで、観客席からの視界に入らないコースでのレース中継や、ラップタイムなどを見ることができた。
鈴鹿サーキット モータースポーツ事業部業務室長 三原哲夫氏 |
実際の配信プラットフォームとしては、マイクロソフトの「Microsoft Windows Media 9」を使用、HPはCentrino搭載ノートPCやPocket PCを提供した。無線LANやブロードバンド環境構築の技術提案やとりまとめは、トランスコスモスが行い、J-ストリームが配信サービスを請け負っている。Jストリームの鈴鹿サーキット内中継基地のエンコーディング用マシンや東京データセンター内のサーバには、HPのXeonマシンも使用されている。
鈴鹿のIT化構想は、運鹿8耐の運営責任者である鈴鹿サーキット モータースポーツ事業部業務室長 三原哲夫氏のアイデアが発端となった。同社に26年勤務する三原氏は、レースの内容を視聴者にすべて伝えるには、テレビ中継だけでは無理と考え、長年それ以上の方法を模索していたという。そこに、ブロードバンド技術を利用し、固定カメラの映像を瞬時に切り替えることができるストリーミングサーバがあると聞き、とにかく実際に試してみようということで、昨年と今年と続けてストリーミングの提供を行っているという。
(遠竹智寿子)
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