KDDI、携帯電話とグループウェアをつなぐ新サービス

2003/10/1

 KDDIは9月30日、携帯電話から企業内のグループウェアを利用できるリモートアクセスサービス「ケータイオフィス」を11月25日から提供すると発表した。会見でKDDIソリューション事業本部長 伊藤泰彦氏は「携帯電話をパーソナルゲートウェイとしてビジネスに利用すること、つまりSFA(セールス・フォース・アシスタント)を目指すのがこのサービスの狙い」と語った。SFAを実現するデバイスとしてPDAも候補に挙がるが、「ユーザー数や利便性を考えると、携帯電話を進化させ、あらゆる機能を持たせる方が現実的」と、携帯電話にリッチな機能を搭載していく方針を示した。

 従来グループウェアはイントラネット内に配置されるため、外出先や自宅から容易に接続できないことも多いが、「ケータイオフィス」は面倒なネットワーク構成を使わずにファイアウォールを通過できるようになる。ユーザーは使用中のグループウェアやメールサーバに専用アプリケーションをインストールするだけでよく、数十分間の作業で利用できるようになるという。

 携帯電話側のアプリケーションには、auに搭載されているプラットフォームBREWを採用した。BREWアプリケーションをダウンロードした携帯電話から会社のグループウェアに接続すると、リクエストは「ケータイオフィス」サービスサーバを経由してファイアウォールを通過し、イントラネット内のグループウェアへ送られる。サービスサーバにデータをストアせず、直接社内の各サーバへのアクセス・パスが用意される仕組みだ。携帯電話とイントラネット内のグループウェアまではAES(Advanced Encryption Standard)方式で暗号化され、エンド・ツー・エンドのセキュリティが提供される。

KDDI ソリューション商品開発部長 山本泰英氏

 このサービスの他社に対する優位点として、ソリューション商品開発部長 山本泰英氏は、「従来のブラウズ型サービスでは、回線をつないだ状態でなければスケジューラを閲覧できなかった。ケータイオフィスではデータを更新する際につなぐだけ。差分を取り込んだら回線を切断して使用できるので、電波の届かないところでも業務を行える」と、BREWによって提供されるデータ蓄積/シンク(同期)機能の優位性を強調した。同様に会社のメールサーバにもアクセスできるため、会社のアドレスを使ってメールの送受信が可能になる。「ビジネスマンにとってプライベートツールだった携帯電話は、会社のアドレスでメールが使え、外からでもスケジューラの閲覧・更新が可能になることで、ビジネスツールに進化する」(山本氏)。

 対応するグループウェアは、サービス開始当初はロータスの「Notes/Domino R6」のみで、順次「Notes/Domino R5」、サイボウズ(対応バージョンなどは今後決定の予定)、「MS Exchange Server5.5/2000」、IMAP/POPメールサーバに広げていく予定。携帯電話側に実装される機能は電子メール、スケジュール、アドレス帳。料金は導入企業ごとに一時金1万円と携帯電話1台ごとに月額500円で、ユーザー管理機能も提供される。

(編集局 上島康夫)

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