情報漏れのうっかりミス防ぐRights Managementとは
2003/11/12
マイクロソフトのサーバープラットフォームビジネス本部 Windows Server製品シニアプロダクトマネージャー 井口倫子氏と、エンタープライズサーバビジネス本部ITインフラストラクチャ推進部の森屋幸英氏は、発売したばかりの「Office 2003」に搭載されている新技術「Rights Management」(RM:企業の機密データの配布と利用の管理および保護する技術)について、その技術の根幹となるサーバソフトウェア「Windows Rights Management Services for Windows Server 2003」(RMS)の特徴を語った。
マイクロソフトのエンタープライズサーバビジネス本部ITインフラストラクチャ推進部の森屋幸英氏 |
「今回のテクノロジは、セキュリティソリューションではない」と冒頭に語った森屋氏。RMは、悪意のあるユーザーから守るソリューションではなく、悪意のない行動による“うっかりミス”――電子メールやファイルを意図しない人に転送してしまった――など企業で起きがちなミスを防止するテクノロジだという。
具体的には、権利保護がかけられたデータについて、読み取り、コピー、印刷、保存、有効期限を設定など、どのように使用するかといった利用ポリシーを決められること。また権利保護がかけられた情報にだれがアクセスしたかをログにより監査することも可能。利用権利はオンライン、オフラインなどネットワークの範囲に限定されず、適用できる。さらに、利用ポリシーを集中管理できる、といった機能が用意されている。井口氏は「従来のアクセス権利といった情報に対する出入り口ではなく、利用に関するポリシーという新しい考え方によるもの」と、その先進性を説明した。
RMのシステム要件としては、サーバ側にはWindows Server 2003(for RMS)、Active Directory、SQLデータベース(SQL ServerまたはMSDE)、IIS6.0(または.NET Framework1.1、MSMQ)などが必要。クライアント側には、Windows RMクライアント、RM対応アプリケーションが必要となる。RM対応アプリケーションとしては現時点ではOffice 2003 Professional Edition(Word、Excel、PowerPoint、Outlook)が唯一の対応製品である。しかし、別途提供されるSDKによってアプリケーション開発が可能となる。具体的には、CADなどのOffice製品以外のデータや、Windows 98 Second EditionなどOffice 2003を搭載できない環境用にもSDKでアプリケーションが開発できるという。「RMSは基盤でしかないため対応アプリケーションは必須である。パートナー企業にさまざまなアプリケーションを開発してほしい」と森屋氏はSDKを使ったアプリケーション開発により、RMの適用範囲の広がりを期待する。
また「Windows Rights Management Services for Windows Server 2003」(RMS)の提供に関しては、Windows Server 2003の追加コンポーネントとなるため、すでにWindows Server 2003サーバライセンスを入手済みの場合は、無償となる(同社Webサイトからダウンロード可能)。 ただし、RMSの使用については、クライアントアクセスライセンス(CAL)、RMS CALが別途必要となる。また、外部ユーザー向けにRMS CALの代わりとしてRMSエクスターナルライセンス(RMS EL)を選択することも可能。
ライセンスには、中小企業を対象としたOpen Business Licenseと大企業を対象にしたSelect Licenceがあり、参考価格として、Open Business Licenseの場合、1クライアント当たり7000円。Select Licenceはクライアント数などの条件により価格が変動するが、レベルAのユーザー企業では1クライアント当たり4400円となる。
また、ボリュームライセンス顧客(CoreCALユーザー)向けに、RMS CALを特別価格で提供するキャンペーンを11月1日に開始した。例として、RMS CALのSelectL&AレベルA2年(ライセンス&アシュアランス)を通常価格6100円を1700円で提供する。
(編集局 近藤孝一)
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