2005年、すべてのストレージが統合管理される
2003/11/12
東京大学生産技術研究所 戦略情報融合国際研究センター長で、ストレージの業界団体「SNIA-J」(ストレージネットワーキング・インダストリ・アソシエーション日本支部)の顧問を務める喜連川優氏は、企業情報システムにおけるストレージの位置づけについて、「ストレージが主役になる時代がいよいよ来た」と述べ、ストレージが中心となる情報システム作りの重要性を訴えた。
東京大学生産技術研究所 戦略情報融合国際研究センター長 SNIA-J顧問 喜連川優氏 |
喜連川氏はストレージ関連のイベント「STORAGE NETWORKING WORLD/TOKYO 2003」(主催:IDGジャパン、Computerworld、SNIA)で講演。喜連川氏は企業で蓄積した情報を基にデータマイニングやデータウェアハウスなどの利用が広がることで、「データは資産という考えが重要になってきた」と指摘した。ストレージはこれまでサーバの周辺機器で、「へばりついている」(喜連川氏)存在だった。だが、データの重要性が増す中で、ストレージが中心になり、サーバが周辺機器として利用される状況になってきたという認識だ。
ただ、ストレージが主役となる時代では、その膨大なデータを確実に管理し、ビジネスの展開にあわせて柔軟、低コストで利用できる環境が必要になる。そこで注目されているのが、異機種混在状況のストレージリソースを仮想的に1つのシステムに統合し、必要なアプリケーションに対して、必要なストレージのリソースを割り当てるストレージの仮想化テクノロジだ。SNIAの試算によると、3.5TBのデータを管理する場合、DAS(サーバ直結型ストレージ)を使うと管理者が7.1人必要だが、SANやNAS環境だと3.3人で管理できる。さらにストレージを仮想化した場合は2.4人になり、人件費など大きなコスト削減効果を期待できるという。
異機種混在環境でのストレージ仮想化を実現するには、さまざまなストレージを管理できる統合的なツールと、そのツールを受け入れるためのストレージ管理の標準規格が必要になる。SNIAでは、別組織の「SMI」を設立し、ベンダと協力してストレージ管理の標準規格「SMIS」を策定している。SMISは管理対象となるストレージやネットワークデバイス、データベースなどにエージェントをインストールし、管理ツールと連携させる。管理ツールとの通信には「CIM-XMLプロトコル」を利用。SNIAの計画では、2004年第2四半期にSNIA会員の50%以上がSMISに対応した製品を出荷するようになり、2005年にはすべてのストレージがSMISで管理できるようになるという。
(編集局 垣内郁栄)
[関連リンク]
SNIA-J
STORAGE
NETWORKING WORLD/Tokyo 2003
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