「ストレージ仮想化は誤りだ」、CA担当者が痛烈批判

2003/9/5

 「多くのベンダが取り組んでいるストレージの仮想化は、誤っている」。米コンピュータ・アソシエイツ(CA)のストレージ・ストラテジー担当 ディビジョナル・バイス・プレジデント マルコ・コルター(Marco Coulter)氏はこう述べて、ストレージベンダが開発を急ぐ仮想化技術を痛烈に批判した。

米コンピュータ・アソシエイツ(CA)のストレージ・ストラテジー担当 ディビジョナル・バイス・プレジデント マルコ・コルター氏

 コルター氏はストレージの仮想化について、「技術としては面白い」としながらも、「システムを仮想化環境に移行させた場合のバックアップをどうするのかという問題が解決されていない」と指摘。「今の技術による仮想化は大変リスクが高い」と述べた。では、複雑化し、利用率がばらばらなストレージ環境に対して、CAはどのようなソリューションを提供するのか。コルター氏は「仮想化技術はいろいろなストレージに対し、共通の管理を導入しようとするだけ。しかし、CAのBrightStor Portalは管理のインターフェイスポイントを1つに集約し、ヘテロジニアス環境のシステムを管理可能だ」とアピールした。「仮想化技術は素晴らしい。しかし、その技術が実現できるのはBrightStor Portalが持つ機能のごく一部だけ。BrightStor Portalとは管理のレベルが違う」というのがコルター氏の考えだ。

 コルター氏はまた、企業の情報システムが抱えるストレージの問題点を説明した。問題の1つ目は、非効率なストレージ管理。2つ目は、1000ドルの価値しかないデータを1万ドルのコストをかけてストレージに保存するなど、コスト構造に見合ったことができないこと。そして、3つ目がデータをバックアップする時間枠に関する問題だ。1点目と2点目の問題は、ストレージの統合で解決できると、コルター氏は見ている。ストレージベンダがアーキテクチャを統合することで一括管理が可能になり、運用管理にかかわるコストが低減。データ価値に見合ったバックアップも容易になるという。

 しかし、3点目の問題は未解決だという。現在、多くの企業では日中処理したデータを夜間に時間をかけてバックアップしている。だが、これは「誤りだ」とコルター氏は言う。夜間に時間をかけてバックアップする処理では、急なデータのリカバリが必要になった際に対応できず、ストレージのデータをビジネスに生かすことができないからだ。

 コルター氏は、この3点目の問題を解決するには「連続的なバックアップと即時のリカバリを組み合わせるのが重要」という。スケジュールに従って画一的にバックアップを行うのではなく、ビジネスに合わせてどのようなタイミングでバックアップし、どのようなケースでリカバリを行う、というポリシーを策定することがストレージ管理ソフトの主要な仕事になる。CAが目指すのは「バックアップで業務を手助けするのではなく、リカバリで業務を助けること」。将来的には、データはポリシーベースで自動バックアップされ、企業の情報システム部はどのケースでデータをリカバリさせるかというポリシーを策定するだけでよくなるというのだ。

 コルター氏はストレージ担当のエンジニアについても言及した。「米国の大手企業ではSANがかなり普及している。しかし、日本はNASが多い。おそらく日本も1〜2年でSANへの移行が進んでいく」として「私自身がエンジニアならBrightStor SAN Designerを使ってSANの知識を蓄えておくね」と語った。

(垣内郁栄)

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